表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消滅のダンジョンマスター  作者: 未定
Prologue
1/5

転生

 人間やエルフ、妖精など数多な種族が行き交うこの世界は様々な摩訶不思議なもので満ちていた。例えば理論上あり得ない空飛ぶ島や、見かけ上でも種族間に平和条約がある事自体そうであろう。

そしてそんな摩訶不思議の代名詞の三つが自分の身で起こっているのは不幸なのか幸運なのか。俺は今置かれている状況を入念に分析する。


 周囲は薄暗い暗闇の中、唯一の灯りは目の前に光る半透明な看板のようなものだった。どういう原理か浮いているし、その看板に触れようとすると自分の手が貫通した。


というか、自分の腕はこんなに細く白かっただろうか?


 少し疑問を抱いたが、今はそんな事よりその光る看板に書かれた文字に意識がいく。



 [名前:アナイア][レベル:2]

 [種族:不明][性別:無し]

 [称号:ダンジョンマスター・転生者]

 [HP:150][MP:30]



 [ステータス]

 身体能力値:70



 [スキル]

 パッシブスキル:思考加速 Lv.Max

 アクティブスキル:無し



 [固有スキル]

 ダンジョンマスター:Lv.1

 (種族とステータスを強制的に変更し、自身のダンジョンの権利を全て獲得する。一部のシステム補助が入る。ただしダンジョン外に出る行為を制限する。)

 アナイアレイション:Lv.1

 (触れた部分を消滅させる)

 


 まず言いたいのが、どうやら自分は転生者らしい。確かに過去の知識はそのままあるのに、自分について思い出す事ができないという気持ち悪い違和感があった。


 なんなら名前から性別、称号にあるダンジョンマスターまでこの半透明な看板を信じない方が難しい状況である。


 そんなことを考えている時だった。まるで自分の中に異物が入り込んだような気持ち悪い感覚に襲われる。


 それと同時に半透明の看板に赤文字で警告の表示が現れた。


[警告:一名の侵入者を確認。マップを表示しますか?]


 前世でのダンジョンマスターの感覚はダンジョンのラスボスという存在だったが、実際はダンジョン全てが自分自身だったのだ。


 凄く不快だ、今すぐ取り除きたい。


 アナイアはすぐに表示すると唱え、自分のダンジョンの全容と侵入者の様子を光る看板に示させる。


 これはエルフだな


 耳が長い事と見た目が老いにくい事で特徴のエルフだが、表示されたエルフを見るとしわが深く刻まれていたのでかなりの時を生きてきたんだろう。


 そして好都合な事に左足が完全に潰れていて、苦痛から表情は歪み額には汗が滲んでいる。


 そんな状態でも、ゆっくりと奥にあるこちら側へ進んでいる精神力はかなりのものだろう。


 それからマップを見てみると、自分のダンジョンは二階層で成り立っていた。


 おそらく一階層目の見た目が洞窟のようになっているので、左足を失った元凶から身を隠すためにここへ逃げ込んだという展開が高そうだ。


 弱っている今のうちに殺してやる


 何よりすぐにでもあの異物を取り除きたいアナイアは、思考加速の中で無意識にそのエルフを殺そうと一歩踏み出していた。


 しかし理性から発せられる警告のおかげから、殺したい衝動を抑えつける。


 追手が近くにいるのなら連戦を強いられる可能性が高いし、ましてや何百年と生きているエルフが片足が潰れた程度で無力になるわけでもない。


 理性を取り戻したアナイアは方法を模索するために光る看板で何かできないか漁る。


 この調子で進んでいくならば、そのエルフが自分の階層に到着するまであと20分。それまでに何かしらの解決策を見つけなければ殺される。


 転生して数分、二回目の転生を期待せざる負えない状況に負けず光る看板を調べているが、今のところ殺せるようなものは見つからなかった。


 そんな時、目の前に新しく現れた光る表示にアナイアは薄く安堵の笑みを浮かべる。


[警告:一名の侵入者を確認。マップを表示しますか?]


「表示しろ」


 その画面には、ショートカットの珍しい赤色の髪をしたエルフが洞窟よ奥へ歩いていく姿が写っていた。

次話投稿日:翌日19時

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ