ー 俺は“この”世界の一般人 ー
※とりあえず思いついたままに書き始めました。足したり削ったりして試行錯誤しながら進むなんかよくわからない物語です。本当に何も考えてない。ヤバイ。
ここは魔法戦闘の街、ヴァルック。ルッカーと呼ばれる魔法戦士の発祥の地にして、全国のルッカーの憧れの場所。しかし、ヴァルックは元々、国一番の魔法学力を持つ「ヴァルック魔法大学」と、その街の人々にとって“は”最高の娯楽である総合格闘技「ヴァル」の二つを売りにした、弱小国のいまいちぱっとしない街だった。それがなぜ、国内一いや世界一の有名な街となったのか、それは一人のルッカーの登場と、その裏にある世界規模の「災害」が関わっているといえよう。
それは約二年前、ヴァルックがまだ、ぱっとしないただの街だった頃の話。まぁ厳密にいえばもっと昔からなんだと思うけど、「俺」には分からない事ばっかりだから……。俺がルッカーになったその日の朝日が昇った辺りからの話をしよう。
その日、カーテン越しに見た太陽は、まぁ今までと特に変わりなく、明るく無遠慮に昇ってきた。
ちっさい頃から何度も見ていたもんだし、(あっ、やべぇまた朝まで起きてたわ)ぐらいにしか思ってなかった。ずっと暗い中でチカチカやってたもんだから、目の奥が麻紐で締め付けられてるみたいに痛い。目が開けてられないから、取りあえずつむったままグッと背伸びしてみた。胸辺りでバキッと嫌な音がして、肩が軽くなる。
「ちょっと、ひーちゃんまた今から寝るの!?」
辛うじて右目をこじ開けて振り返れば、二段ベットの上からピンクもふもふが降りてきていた。双子の弟のフタハだ。信じられないと言いたげな冷たい目も毎朝見ればもう慣れっこだ。ふと、女みたいな寝間着だなって言ったら、マカマカのパジャマに女も男もないからとか言われて、首を捻るしかなかった。なんだよ魔可魔可って。
「昼夜逆転してるからそんなゾンビみたいな顔なんだよ」
「いいだろべつに。お前みたいにガッコ行ってるわけじゃねぇしさ」
「ひーちゃんだって行こうと思えば行ける癖になにいってんの?」
「いけねぇよ俺は。フタハじゃあるまいし」
フタハは、意味が分からないとオーバーリアクションで首を振ると、なんかよくわからん液体をボトルから手のひらに移し、ペチャペチャと塗りだした。顔洗ってないのに塗っていいもんなのかそれ、気持ち悪くね?って前に聞いたら殴られた。結構いいストレートだった。
「ボク、部活の朝練あるから今日朝食作れないけど、ちゃんと三食食べてよね」
さっきのと別の液体を制服に二プッシュ振りかけると、嗅ぎ慣れた甘ったるいにおいを残してフタハは部屋を出て行った。と、扉から顔をこちらに出してぎゅっと眉間にしわを寄せて、いつもの小言を吐き捨てる。
「それから、その意味のわかんない魔法術式ちゃんと閉じてから寝てよね。顔洗って帰ってきて昨日みたいに発動してたら部屋から追い出すから」
「わぁったよ」
欠伸混じりに答えた俺の足元には、一昨日の夜から書き始めたオリジナルの魔法陣がチカチカと不満げに横たわっていた。
__ つづく
※まだまだ序盤です。