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杖の作り方

 休憩所に戻った俺たちは、全員が集まるまで兵士と手に入れた小角を確認していた。


「十二か、Bランクにしてはよくやった方だな。それに対してあの五人は……」


 兵士が小角を並べながら明石や今村たちをちらっと見る。

 俺たちが入手した小角の隣には数個の小角が置かれていた。おそらくこれが明石たちの入手した小角なのだろう。


「とにかく、結果はAランクとほとんど変わらないほどいいから、評価に期待していい。もう下がっていいぞ」

「ありがとうございますー」


 小角回収か、何に使うのだろうか。やはり売る、それとも鍛冶屋にでも渡すのか。


 あれは魔物だから、皮を剥ぎ取ったり、肉を手に入れたり、などはできない。

 が、『魔獣』と呼ばれる魔物に限っては、普通の動物のように消えずに倒れる。

 動物が魔大陸の魔力によって突然変異した姿なので、正確に言うと魔物ではないのだが、魔物とほぼ変わらない凶暴性で、とても強い。

 魔獣同士で交尾もするので、倒さないと増え続ける一方だという。というか、魔大陸にいる動物は全部魔獣である。通常の動物よりも体が一回り大きく、牙なども発達している。


「今日はもう帰って寝るだけかな?」

「だろうな、馬車で休むか」

「うん。あ、そういえば剣返さなくていいの?」

「忘れてた、ちょっと待ってろ」


 馬車に戻ろうかと思ったのだが、俺としたことが剣を返すのを忘れていた。

 Aランクの持ってきた素材を整理している先程の兵士に近づき、声をかける。


「あの、剣ってどこに返せばいいんですかね?」

「ん? 剣なら自分で持ってていいぞ。寮の入口に剣置き場があったはずだから、そこにかけておけ」

「はあ」


 マジで? 貰っちゃっていいのかこれ。

 いや別に強くもなんともないんだけども、鋭さはあるぞ。それをあいつらに渡していいの? クラスメイト全員で反乱起こしたらこの国終わるよ?

 やはり初心者の剣技など怖くないということか。奴らに実際、剣技なんてないようなもんだけど。


「なんだって?」

「剣返さなくていいってさ、つまり今持ってる武器が自分の武器」

「え? 私剣貰ってないよ?」

「ミントはどちらかと言うと杖だろ、杖がある方が断然魔法を出しやすい……らしいし」


 説明している途中で先生や井ノ原が集まってきたので、言葉を濁らせる。危ない、なんでそんなに詳しいのって言われるところだった。


「あー、イアちゃんとかブルーちゃんも杖持ってるよね。あれって木じゃダメなのかな?」

「さあ? でも配らないってことは普通の木じゃ作れないんじゃないか?」


 と言ってみたが、杖の作り方は簡単だ。

 まず、木の枝、じゃなくても細長いもの、先端が細くなっているものならなんでもいい、それを用意する。

 次に杖自体に魔力を流し込むか、魔力の濃い水に枝を漬ける。

 元々魔力の通りが良いものなら何もしなくても杖として使えるが、枝などは先に魔力を馴染ませないと魔力の通りが悪いのだ。

 そして魔力の通りが良くなった棒の持ち手に皮を巻くとか、握りやすいように工夫したら完成。

 剣なら職人見習いの練習などで大量に手に入るが、杖は生産性が悪いのだ。


「えー、素材の整理が終了した。剣は返さずに自室に持ち帰るように。杖を使いたい者は城に着き次第声をかけろ、以上だ、全員馬車に乗れ!」


 誰だっけ、リビング……リビアルか。リビアルがその場にいた全員に説明をし、馬車に乗った。


 そして指示を受けた俺たちは、言われた通りに馬車に乗り、壁を越え、魔大陸を後にした。


* * *


 城に到着した俺たちは、剣を持っている者は部屋へ、それ以外の人は貰えるものは貰っておこうと杖を貰いに行った。

 部屋に戻り、剣組の俺と相良と藤沢はそれぞれ剣を抜き、同じ剣であることを確認した。


「裏切るかもしれないのに、剣を渡すなんて、何を考えてるんだろう」

「それだけ戦力に自信があるのかもな、わかんねぇけど」

「それにしても急に変わったよね、神裂くん。指示を出すからっていうのはわかるけど、いきなり過ぎてちょっとびっくりしたよ」

「いや、あんまり前に出てなかっただけで、素はこんな感じだったのかもしれない」


 相良も、その喋り方が素なのかはまだわからない。

 俺の喋り方が素なのは確かだが、それでも大昔の俺の素はまだ柔らかかったはずだ。850年は長いよ。


「おいーっす、戻ったし」

「杖もらってきましたよー」


 井ノ原と先生が部屋に帰ってきた。それに続いてミントと風間が談笑しながら入ってくる。

 順調に仲良くなってるな、俺誰とも友達になってないけど。


「なんかね、リビアル……さんが夕食後にやることがあるからその場に残るようにだってさ」


 一瞬の葛藤が見えた。リビアル(一応さんつけとくか)さんって感じの言い方だろう。


「え、めんどくさいね」


 相良、本音が出てる。


「だしょ? でもなんか明日からは城内で稽古するのが基本になって今日より楽になるらしいし、明日の起床時間を遅くするから、今夜だけ時間が欲しいって話してたし」

「そこまでしてすることがあるのか……?」


 なぜ今日それをする必要がある? 明日ではダメなのか?

 ひとつ考えられること、ひとつわかることは、急ぎの用事ができたということだ。

 用事がないのなら、今日する必要は無い。明日の朝にでもやればいい。


「あ、剣も持ってね」

「剣?」


 ますます不安になってきた。

 だって剣だぜ? 戦闘ってことじゃないか。

 またヘリドが何かするのか。でもヘリドは今脳震盪で倒れているはずだ。起きていたとしてもふらふらだろう。

 その場にいた全員が不安を覚えながら、皆武器を持ち食堂へ向かった。

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