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伝言悪魔

 俺が魔袋から取り出したのは、10個の結晶。取り出された瞬間、声が聞こえてきた。


『英雄、久しぶりだな。それで、今どこにいるのだ?』


 結晶から聞こえてくる低い声は、数ヶ月前、俺が結晶化魔法で結晶に変えた魔王軍の悪魔だ。

 あの後、村を抜けてアイコスの街に移住したんだっけか。


「おーう、久しぶり。ここはメビウス側の森だ。早速で悪いんだけど魔王城に戻ってくれ」

『魔王城に……いいのか?』

「ああ、でも俺のことは伝えろよ? 魔王にユウトが大魔王を倒すために頑張ってるってな」

『良いが……して、どうすれば元の姿に戻れる』

「今戻す」


 俺は10個の結晶を一つ一つ間隔をあけながら地面に置いた。

 そして、その全ての結晶にかかるように水魔法で水をかけた。

 巨大なシャワーで濡れた結晶は光り輝き、元の悪魔の姿に変わってゆく。


「おお……! この姿では久しぶりだな、お前達」

「隊長……!」


 そもそも隊長が早とちりしたからこうなったのでは。

 まあいいか、久々の再会をしているところ悪いがさっさと魔王城に向かってもらおう。


「あれだ、魔袋の中で何を見たのかの感想は後にしてくれ、俺も時期に魔王城に行くことになる。そん時また会おう」

「うむ、状況は理解出来ぬがとりあえず行くぞ!」

「城へ戻れえぇぇ!」


 悪魔たちは翼を広げてバッサバッサと森の奥へ飛んで行った。

 それを見送った俺は後ろを振り向く。そこにはとんでもない顔で俺を見つめてくるソウル。


「なななっ!? なんだよ今のおい! 魔族! 石が悪魔になってユウトと話して……ええ!?」

「落ち着け、気にしなくていい。魔王に伝言を頼んだだけだ」

「くっ、気になる……後で聞かせろよ?」

「そのうちな」


 誤魔化しっぽいことを言っておく。

 別に話しても面白い話でもないから、このまま自然消滅が妥当だ。


 休憩所に戻った俺たちは、準備が完了した兵士たちと共に、魔物の狩りを始めた。

 兵士たちはザンやダン、俺が育てただけにかなり成長している。とても強い、がんばれー。


「すっごい……」


 井ノ原がザンとダンの戦闘を見ながら声を漏らした。

 ザンとダンの動きは、会ったばかりの頃とは違い、敵を倒すための動きに変わっている。そのため、狩りのスピードが尋常じゃない。

 相良が千里眼で魔物の多いところを教え、そこにザンやイアが突っ込む。追いついた時には魔物はいない。


「なーんか手応えねぇぜ、奥行こうぜ?」

「いいねぇ、イアも賛成です」


 なんか俺らが寄生してる見たいじゃん。寄生で先に進むとかモンスターをハントするゲームかよ、オンラインになってからコバンザメ増えすぎだろあれ。

 まあ俺は2017年までのゲームしか知らないんだよね、今ってどんなゲーム出てるんだろう。新しいハード出したかな。

 でも日本って俺が死んだ日からそこまで変わらないんだよね、クラスメイトが転移してきたの俺が死んだ次の日だし。

 そんな事考えてる場合じゃない。


「奥へは行き過ぎないでくれると助かります。俺たち休憩所から離れすぎると怒られてしまうので」

「わかったぜ、ユウトも戦えよ」

「です」


 おいおい随分フレンドリーじゃねぇか、俺は神裂雄人であってユウトじゃねぇぜ。

 会ったばかりの人に馴れ馴れしいとかいけないと思います! まて、俺会ったばかりの頃めっちゃ馴れ馴れしかったよな。

 違うんだ、あれはこの世界に戻ってきたばかりで、数日前まで魔王を倒す以外の興味がなかったユウトなんだ。許してくれ。


「なんか神裂って異世界の人と仲良くなるの上手いよね、コツとかあるん?」

「名前をユウトにする」

「なにそれ、無理じゃんウケる」


 事前に会っておくとは言えねぇ、何がなんでも言えねぇ。

 とにかく、俺たちも戦力にならなくては。正確には、戦力になっているように見せなくては。


 俺は、井ノ原や相良、先生たちを連れて魔物に向けて走り出した。


* * *


 数時間後、魔物を狩り尽くした俺たちは、そろそろ戻ろうかという話になっていた。

 昼飯に受け取った黒パンも随分前に食べたし、もういいよ、帰ろう。この先の探索はイアたちに任せよう。


「私たちそろそろ休憩所に戻らないといけないんですけど、抜けてもいいですか?」

「もう帰るのー? じゃあイアたち奥行っちゃっていいかな」

「え、奥って魔物強くなるよな……でも離れなければ大丈夫か、うん、大丈夫だ」


 ソウルが自分に言い聞かせている。そうだ、挑戦すれば強くなるぞ。近いうちに覚醒させるからな、それまでに強くなっとけ。


「お疲れ様です! ユウトさん!」

「お疲れ、頑張れよ」

「はい!」


 杖を抱えながらイアたちの元に戻るブルー。少し感情深いな、昔は魔法もまともに使えなかったのに、才能って怖い。

 レッドやグリーンも半透明な武器を持っている。こいつらは大物になるぞ。マールボロの星だな。


「神裂くん、行きましょうか」

「はい。ミント、行くぞ」

「あ、今行く!」


 イアと談笑していたミントを呼ぶ。

 暗くてはっきりは見えないが、遠くに休憩所が見える。今日は快晴だったはずなんだが、やはり魔大陸は暗いな。基本雲で覆われてるから仕方ないといえば仕方ないが。


 マールボロの軍と離れた俺たちは、手に入れた小角などが入った袋を揺らしながら、休憩所へ向かった。

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