めぐみ先生の説明会
めぐみ先生の話を真剣に聞くべく、俺とミントは先生をまっすぐ見つめながら布と一転、座りやすくなった敷物の上に座っている。
「まずクラスの人気者、金町雄大くんですね。彼はノリが良く、話しやすいというところから休み時間には彼を中心にしたグループが集まっています。チャラチャラしているのが玉に瑕ですが……」
「能力は、ファイアマスターでしたね」
「そうです。炎を自在に操れる能力、なんですが、私は一度しか見たことはありませんね。使い慣れてなく、あたふたしていました」
金町雄大、俺を下に見ている典型的な人間だ。
もう一人、隣にいた女もそうだが、この二人は危ない。力を軽い人間が扱うと、ろくなことにならない。
森での戦闘を見た感想だが、まだ能力を扱いきれていない。というイメージ。
無駄な炎が多いし、魔力を無駄に使いすぎているので、効率がとても悪い。戦闘を重ねていけば、とんでもない強さにはなるだろう。
「次に芳乃凍子さん。彼女も金町くんのグループに居ますね。先生の私が言うのもあれなんですけど、女子のクラスカーストのトップが彼女ですね。能力が、ブリザードマスター、金町くんとは真逆の氷を操る能力です」
芳乃凍子、ね。クラスカーストワンツーの二人はこれからも危険物として観察しよう。
もし絡めるなら、絡んでみてもいいのかもしれない。
森での能力の使い方だが、遠目から見てもその能力の強さがわかった。まず氷なので燃える、などという心配はない。森でも心置き無くぶっぱなしができるだろう。
戦闘スタイルは魔力にものを言わせた氷塊ぶっぱ、相手を凍らせる侵食する氷。
「そしてクラスの委員長、笹谷涼太くん。みんなに慕われていて、常に他人のことを考えてる子です。説明されたとおりに言うと、能力は、二撃必殺。能力を発動させた状態で同じ場所に二回攻撃すると、生命力を消し去ることができる。という能力ですね」
「飛び抜けて強いですね、当てられなきゃ意味がないですが」
実際に見た戦闘では、ヒットアンドアウェイで当てて引いての繰り返し。
二回で済むので大抵の敵は倒せるだろう。だが、敵の強さによっては、倒しきれない、ということもあり得る。それでもかなりのダメージになるので、チートはチートだけど。
「えっと、その次が棗杏さんです。カチューシャを付けている女の子で、活発なイメージがあります。能力はブラッドエクスペリエンス……でしたっけ。倒した相手の血を力に変えることができる能力らしいです」
「相手の血を……」
「チート揃いですね」
能力調査の時に隣にいたやつか。身長は小さいがありえないくらい強い能力だ。
だって、戦えば戦うほど強くなるんだろ? まさにRPGじゃねぇか。俺たちは訓練とかしないと強くなれないのに。
「最後は秀吉匠くんなんですが……彼はこれという特徴はないですね。能力は強化系、とは言っていましたが、それ以外のことは知りません」
「秀吉くん……見た目も性格も普通だったよね」
後ろで話をしていた相良たちが入ってくる。
「あいつねー、別にクラスの隅で集まってるオタク集団ってわけでもなかったし、金町たちともそんなに絡んでた訳でもないし……うーん、普通だし」
普通って言ってやるなよ、まあ俺も全然思い出せないんだけども。
能力は強化系、敵に触れることなく倒しているところを見たが、あの能力はなんなのだろうか。
考えてもわからない、能力を推理するには、ヒントが足りない。
「まあのちのちわかってくるでしょう。それ以外に聞きたいことはありますか?」
「じゃあ隣の男の子達の名前とかって教えてもらえますか?」
いいね、俺今村しか知らないよ。
「あー、あの『あ行組』ね」
「あ行組?」
あ行組とはなんだろうか。まさか頭文字があいうえおなんて言うまいな。
「頭文字があいうえおになるんだし、部屋を決めた時になんとなく思いついただけなんだけど」
当たってたよ、あいうえおか、いが今村だろうな。
「明石直人くん、今村鉄平くん、内田颯斗くん、枝野駿介くん、岡本恒平くん、この五人が隣の部屋にいる男子です。確かにあいうえおになりますね」
「すごい偶然ですね、能力とかってわかります?」
「全員はわかりませんが、五人中三人ならわかります」
「おお、教えてください」
まあいくら先生でも人間だ、記憶力には限界がある。むしろよく覚えていたほうだろう。
それにしてもすごいメンバーだ。あいうえおって、奇跡かよ。奇跡的な世代だよこいつら、バスケした方がいいんじゃないかな。
「まず明石くんですね、能力は硬化、皮膚や道具を硬くする能力です。次に今村くん、言語理解、文字が読めるようになります。最後に内田くん、ハイスピードムーブメント、魔力を使って物凄いスピードで動くことができます」
二人知ってるぞ、今村は当然知っているが、内田、こいつも俺の近くで能力調査をしていた男だ。速さならグリーンの方が上じゃないか? まだ見たことないからわからないが。
高速移動、あまりいいイメージはないな。速すぎて止まれないとか、アイドルオタクになったりとか、飛びながらカツサンドを買ったりとか、そんなイメージしかない。どんなイメージだ。
「能力自体は優秀ですよね、やっぱり魔力が足りなくて満足に使えていないと言ったところでしょうか」
「ですかねぇ、特訓して、強くならなきゃですね!」
「特訓かぁ……」
特訓、というワードにその場にいた全員の食う気が重くなる。気持ちはわかるがやらなきゃ強くなれないぞ。
俺たちはその後も話し続け、明日に備えるため途中で区切り、就寝した。




