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取り引き

 ミントを追いかけ上の階に上がると、息を切らしたミントが座り込んでいた。


「ミント」

「ユウト……」


 涙目になって俺を見つめるミント。よく頑張ったよ、あの状況で、よく演技を続けてくれた。

 怖かっただろう、それを考えると、罪悪感が心の底から湧き上がってくる。

 だけど、まだ終わってない。まだまだこれからも、ミントには頑張ってもらわないといけない。


「ノワールだ。これから俺がやろうとしていることに従ってほしいんだが、いいか?」

「……わかった、なんでも言って」


 涙を拭い、目元を赤くしたミントの目が俺を刺す。こんな俺のために、真剣になってくれているのだ。


「まずな、俺はここの王様、メビウス王に頼んでミントをここの冒険者、上手く行けば俺と同じ異世界人たちと行動できるようにしてもらおうと思ってる」

「私が、ユウトたちに混ざるの?」

「ああ、そうすれば俺がいるからある程度はカバーできると思ってな。リビアルが危ないが、そのへんは王様に何とかしてもらおう」


 ミントを戦力にするのは、実際かなり有用だ。

 向こうから見たらミントはノワールに騙されていた少女。復讐のために加入したことにすれば不自然ではない。

 国の王子であるリビアルがやらかした事なので、簡単に切り捨てることは出来ないだろう。


「ユウトは、どうするの?」

「俺は敵になる。ミントは、ノワールに復讐するために俺たちに混ざるっていう設定で頼む。俺は、メビウスに狙われる存在として、大魔王の手下のフリをする、偶にだけどな。そうすりゃ焦って戦力の強化が早くなるだろうし」

「えっと、じゃあ転移するの?」

「おう、今から王様のいる部屋まで転移だ。兵士がいたら、追い出すさ」


 隠蔽魔法を使い、お互いに認識されにくくなった。

 これで兵士に姿を見られる心配はない。もし凝視されたら、はっきりと見えてしまう前に部屋の外に無理やり投げる。

 いくら魔法を使っても青い光は出るので、怪しまれることは間違いなしだが、このまま上がって兵士に見つかるよりはマシだ。


「行くぞ」

「うん」


 俺はミントの後に立ち、ミントの肩に手を当てる。

 肩に手が触れた瞬間にミントの身体がビクッと震えたが、無視して転移魔法を使った。

 青い光が全身を包み、俺とミントは光になった。


* * *


 青い壁、青い床。一面青の何もかも全てが青。これが緑だったら緑一色。言うなれば青一色。

 薄い水色の髪をオールバックにし、長い髭を生やした王様、メビウス王。幸い部屋には王様以外誰もいないようだ。

 俺は隠蔽魔法を解き、急いで扉を念動力で固定した。


「驚いたな、そんなことまで出来るのか」

「お話、いいですか?」

「構わんよ、おおそうだ、リビアルはどうした?」

「地下で倒れてます」

「……そうか、後ほど部下を回収に向かわせよう」


 回収って、扱いがひどいな。仮にも息子だろう。

 自分勝手な事ばかりで、王様もバカ息子だと思っているのだろうか。


「王様、頼み事があります」

「……そちらに迷惑をかけたのは確かだ、申せ」

「はい。実は——」


 俺はミントを異世界人の集団に、出来ればBランクに入れてほしいこと。ミントをリビアルから守ってほしいこと。そして、俺を、ノワールを大魔王の手下として、敵として扱ってほしいということ。

 この三つの頼みについて話した。

 ちなみにクラスメイトについては兵士の会話を盗み聞きして存在を知ったことにした。


「お前は何故このようなことをする、目的はなんだ?」

「俺も大魔王を倒したいですから、その為にはこの国に強くなってもらわないと困る、わかりますよね?」

「明確な敵を作ることによって、全体の士気が上がる……か。しかし、自分が犠牲になってまですることではないと、私は思うがね」


 犠牲、ね。

 俺としては、国が戦力を上げ、Cランクの冒険者である神裂雄人が有利になるための最善の方法だと思ったんだけどな。


「何もしなかったら、リビアルは動かないですよ。それに、貴方達が、俺を敵に回すよりかは、そっちの方がいいと思いますけどね」

「ふっ、いいだろう、だが、こちらとしても本当に敵として扱うぞ。いいな?」


 当たり前だ、本気で倒しにこないと、あいつらにノワールが敵だと信じ込ませることができない。


「望むところです、そうでもしないと、信憑性がない」

「面白いやつだ、実に気に食わん。ミントと言ったな、異世界人の指揮はリビアルが執っている、私たちが守る範囲は、最悪の場合に限られるため、全ては守りきれない。それでも大丈夫だな?」

「はい、自分で守れることは、自分でやります」


 ミントには他にもマジックアイテムを渡しておこうか。アイテムを使う才能を開花させたのだ。せっかく冒険者になるなら、色々なことを試すのは良いことだろう。

 あと、種も渡しておく。小さな種から、大きな種。植物を急速に成長させ、それを自由自在に操ることが出来るミントだ。種があるだけで戦闘の幅は広がるはずだ。


「もうそろそろ城を出ます。最後にリビアルに伝言を。『ミントはもう必要無い、そう遠くない未来にメビウスを潰す』と」

「物騒なやつだ」

「やる気を出させるためですよ、もちろん異世界人たちにも全てを説明してくださいね」

「はっ、さっさと行け。お前がいると兵士に命令もできん」


 メビウス王はシッシと手首を動かし、俺に早く出ていくようにジェスチャーした。


「じゃあなミント、頑張れよ」

「うん!」


 まあ夜辺りに会うと思うけどな。

 俺は王様の顔を一瞬見てから転移魔法を使い、城からマールボロの仮拠点に転移した。

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