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最高壁ロマネス

 白い壁、所々にヒビが目立つその壁の横を俺たちはスピードホースの馬車で移動している。

 本当は飛行魔法を使う予定だったのだが、この人数での飛行魔法は大変危険な移動になってしまう。

 そのため、兵士と共に連れてきたスピードホースを利用して巨大な壁の門へ向かっているのだ。


「相変わらずでけぇ壁だな」

「ね、私初めてロマネスを直で見たよ」

「ロマネス?」


 ロマネスってなんだ。この壁の名前か? この壁に名前なんてあったのか。

 俺の時はただでかい壁という認識だったが、いつの間にか名前が付けられていたらしい。


「うん、最高壁ロマネス、地殻大変動の時に一切崩れなかったからその名前がついたんだよ」

「へぇ、そんなことが……最高壁ロマネスか」


 改めて壁を850年前の壁と比べてみる。やはり、あの頃よりもヒビが多くなっている。

 まだ頑丈だが、そのうちどこかのヒビが広がり一気に崩壊、ということもありえない話ではない。

 そんなことを考えていると、壁から何かが突き出しているのが見えた。


「見えてきたぞ、あれか」

「多分ね」


 無限に続いているのではないかと感じてしまうほどの壁の先には、左右に炎が炊かれている門が堂々と建てられている。

 よく見ると、青い鎧を着た兵士が立っているようだ。間違いなくメビウスの兵士だろう。


「止まれぇい! 魔大陸へ入りたくば、冒険者カードを見せよ」


 兵士が冒険者カードを要求してきた。冒険者制度が広まってから冒険者カードは現実でいう免許証のような存在になっている。

 ちなみにミントは冒険者カードは持っていない、当然だな、作る必要がなかったのだから。


「ど、どうしようユウト」

「大丈夫だ、こういう所は強いやつが一人でもいれば入れる」


 そう、なにも全員のカードを見せなくてもよいのだ。誰か一人の、SSランクのカードを見せればそれで済む。

 イアが馬車から降りて兵士に近づく。

 兵士はイアの格好を見て一瞬たじろいだが、瞬時に仕事モードに戻った。


「これでいいですか?」


 イアのカードを受け取った兵士が目を見開いた。イア=デュランダルといえばあの英雄の子孫、ザンもいると知ればもっと腰が低くなるだろう。


「イア=デュランダル!? 失礼しました! どうぞお通り下さい」


 やはり権力とは素晴らしい。どうでもいいところは権力でどうにかしたいね。

 でも乱暴はしたくない、向こうから仕掛けてきたのなら考えなくはないが。


 何事もなく、門を通る。

 北大陸から魔大陸へ移動する馬車を見送る兵士は、荷台に乗っている俺たちを観察していた。

 ふと、兵士と目が合う。


「そこのお前、何者だ」

「……イアの仲間だ」

「カードを見せてみろ」


 なんで俺だけそんな扱いなんだ。

 やっぱり見た目が悪かったか、そりゃ現実でも全身黒だったら職質されるわな。

 仕方がない、Cランクのカードを見せるとバレてしまうのでYランクのカードを見せる。


「これは……!?」

「もういいだろ、じゃあな」


 俺のカードを見て固まった兵士からカードを奪い、馬車を走らせる。

 多少離れた後に振り向いてみると、その兵士は全く同じ体制で固まっていた。

 Yランクが最高ランクだということは世界中で有名になってしまっている。これは俺のカードが使えなくなるのを防ぐためだ。

 免許証のような顔写真は載せなくて良いので、顔バレの心配はない。


「あー怖かったぁ、おいどうしたレッド」

「ここが魔大陸……」


 ソウルがレッドに話しかけるが、レッドは魔大陸の風景を見てフリーズしている。

 無視されてやんの、ドンマイドンマイ。


 みな減速する馬車に揺られながら辺りを観察している。

 少し進んだ先に何かがある、あれは、村だろうか。

 いや、こんなところに村なんてない、あれは冒険者用の拠点だ。


「とりあえずあそこに馬車を止めよう」

「了解です、はっ」


 イアがスピードホースを鞭で叩く、そこまで強くは叩いていないので急発進はしていない。

 あっという間に拠点に到着。この森で狩りをする冒険者がいるようだ。

 いかにも屈強そうな男達からひょろひょろの魔法使いまで、様々な冒険者が集まっている。


 ここまで来たので、もう転移で魔大陸まで来れるようになった。

 どんどんマッピングが進んでいく。昔来たことがあるはずなのに転移ができないのは、やはり世界転移のせいか。


 馬車を置き、拠点で休んでいる冒険者から情報を集める。


「ちょっと聞いてもいいか? この辺りに五人ほどの男女を連れたメビウスの兵士って来なかったか?」

「ああ、来たよ。なんでも、初めて魔大陸に来たってんで色々説明を受けてたな」


 ここに来たのか、ってことはSランクメンバーにこの拠点の存在を教えたということだな。

 安置を知っているかどうかで生存率は大きく変わるからな、いい判断だ。


「どこに行ったかわかるか?」

「ここから西へ進んだ先で魔物と戦うとか言って行っちまったよ」

「そうか、ありがとな」

「おう、お前らも頑張れよ」


 知らないおっさんに親指を立てて会話を終了させる。おっさんも親指立ててくれた、ちょっとだけ嬉しい。


「西ってどっちだ」

「西、だから向こうだな」


 ここから見える壁、最高壁ロマネスは魔大陸側から見ると南の方向にある。

 つまり、西はロマネスをこちらから見て右、ということになる。

 ここから先は、ユウトパーティ、ザンパーティ、イアパーティの3チームに分かれての行動だ。

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