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魔大陸に行こう

 何回転移をしただろうか、既に城には待機する兵士と、王様しか残っていない。

 拠点の建設予定地には草刈りを終えた場所に仮拠点を建てる兵士と、荷物を運んでいる兵士、草を集めている兵士と、皆それぞれの役職についている。

 そう、俺は全員運び終えたのだ。とても疲れた、ユウトもう寝たい。


「あとは拠点を建てるだけだぜ、このあとどうするんだぜ?」

「えーっとな、みんなには魔大陸に行ってほしいんだ」

「魔大陸ですかぁ、確か昔の知り合いさんたちが壁の向こうで腕試しをしてるんですよね」

「そうだ、そいつらの近くで狩りをしながら観察してほしい。なるべく関わらないようにな」


 イア一人でも余裕な場所だろう。壁の向こうにある森の手前の魔物はさほど強くない。ピースの調査班が調べたから正確な情報のはずだ。


「僕はどうすればいいのさ」

「ザンかダンについて行けばいい、必ず三人以上で行動しろよ」


 ソウルが一人で行動するとか絶対にボコボコにされてしまう。

 ザン一人でもふとした事件でやられてしまう可能性だってあるのだ。魔法があればなんとかなるが魔法無しで二人行動でもまだ危険性はある。

 ソウルは強いわけではないが弱いわけでもない。ザンやダンのサポートがあれば魔大陸の魔物でも倒せるくらいの力は持っているはずだ。


「はい! 私たちはどうすればいいでしょうか!」

「ブルーたちは……イアと一緒に行動だな。ザンとダンとソウル。イアとお前達三人。このパーティでいいだろ」


 片方が脳筋パーティになってしまったが、まあ大丈夫だろう。

 剣士が不利な魔物が出るわけでもないし。中級者向けの狩場なのでソウルでもそうそう死ぬまい。


「私はどうすればいいかな」


 ミントか、俺がいるとはいえ、二人だともしもの事態に備えられない。

 しかもミントには戦闘力がないのだ。素質はあっても、戦闘経験がないので、危険極まりない。

 せめて戦えるだけの力があれば……


「ミントにも来て欲しいけど危険だからな……あ! ちょっと待て」

「?」


 ふと思いついた。魔法が使えなくてもマジックアイテムを使えば戦えるのではないか。

 アイテムマスターの娘なのだ、きっと使いこなせる。そうでなくとも自動で守ってくれるアイテムにすれば、危険は大幅に減る。

 その要素が入っているアイテム、そう考えながら魔袋を漁る。

 そして取り出す。


「これだっ」

「これは…… ペンダント……?」


 魔袋から出てきたのは緑色の宝石が使われたペンダント。

 確か、木の世界で手に入れた『植物操作プラントコントローラー』 だ。

 その名の通り、身につけることで植物を自由に操ることが出来るアイテムだ。

 攻撃が来てもある程度なら地面から根っこが生えてきて守ってくれる。便利だが飛び抜けて強い訳でもない。


「それは植物を自由に操れる道具だ。ちょうど森だし、これがあればミントでも戦えると思ってな。あと、勝手に守ってくれるから安心しろ」

「そんな凄い道具なんだ……使っちゃってもいいの?」

「おう、どうせ魔袋の肥やしだし」


 あと俺が使っても上手く動かないから。

 だって根っこをウネウネ動かすんだぜ? 難しいに決まってるだろそんなの。

 でもこれで二人でも行動できそうだ。

 隠蔽魔法を使っても音は消しきれないので、枝の落ちている森ではあまり動けないだろうと判断し、実際に戦いながら観察する方向に決めた。


「よし、とりあえず兵士はこのまま拠点建設を進めてくれ。俺たちは魔大陸に移動する」

「お気をつけて」


 上等兵さんに指示し、魔大陸に行く準備をする。

 ダンは草刈りが終わってヘトヘトだ、一応パーティ分けの話は聞いていたようなので、無視していいだろう。

 問題は俺の服装だ。どうするよ、この服だとメビウスの異世界人だってバレる。

 服を変えても顔でバレるだろう、きっと俺たちBランクも魔大陸に行くのだろうし。

 というわけで鎧を身につけよう。魔袋から鎧を取り出し、ガシャンガシャンと地面に置いていく。

 顔を覆う兜がついた鎧だ。暗黒魔鉱を使っているので真っ黒である。


「おお、鎧だ。鎧って動きにくくて嫌いなんだよね」

「これは動きやすいように関節部分とかは滑らかに曲がるようになってる、重いのは確かだけどな」


 その辺は重力魔法でどうとでもなる。

 俺はいつもの魔力の服に着替え、上から鎧を付けていく。

 傍から見たら暗黒騎士だぞこれ。調子に乗ってマントとか付けようかな。


「ユウトさんかっこいい!」

「真っ黒だ……」

「ありがと」


 兜をかぶり、完全に鎧に包まれた状態になる。

 ブルーから見たらかっこいいらしいな、鎧ってかっこいいよな。白の鎧もかっこいいけど黒もいいよな。

 でもなんだろう、この鎧着てると暗黒面に堕ちた感がすごいするんだよね。ユウトオルタになっちゃうよ。


「あとは、よっと」


 魔袋からアイアスの盾を取り出す。

 転移に忙しくて存在を軽く忘れていた。


「出すの遅いんですけど!」

「アイアスさん、久しぶりです」

「おーブルーちゃんじゃん。おひさおひさ」


 軽いノリのアイアスを片手に、北にそびえる巨大な壁を見る。北大陸から魔大陸に入るためには巨大な壁にある門を通らなければならない。

 幸い壁に近い場所なので壁沿いに走っていけばすぐに到着するだろう。

 経路は決まり、俺たちは魔大陸に入るための門へ向かった。

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