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深夜の小屋

 笹谷とリビアルの会話を聞いた俺は、小屋まで戻りこの事件について考えることにした。

 俺はすでに隠蔽魔法を解き、小屋の目の前まで来ている。


「神裂くん。入らないんですか?」


 背後から声が聞こえた。先生だ、見回りから帰ってきたのだろう。


「入りますよ、あと、あのリビアルという男、警戒した方がいいです」

「はぁ、いい人に見えましたが」


 いい人に見えたか、まあ表面上はそう見えるだろう。

 だが本性は違う、あれは普通に性格悪い。口調がSのそれだった。


「とにかく、Bランクは一番下のランクです。国からしたら戦力外、捨て駒にされたり、奴隷商に売られたり、城から追い出される可能性もあります」

「奴隷……」


 この選択の中なら、城から追い出される方が何倍も楽だな。

 捨て駒はまだしも、奴隷商人に売られるとか最悪だ。俺もう奴隷になりたくない。


「さ、入りましょう」

「……そうですね」


 考え込んでいる先生を部屋に入れる。

 教え子が奴隷にされる可能性があるのだ、気が気でないだろう。

 こういう時は最悪な場面を想定して動くもんだ、そうしたら捨て駒にされた時に「奴隷にされなくてよかったー」くらいの気持ちで受け入れられる。多分。

 少なくとも気持ち的には楽になるだろう。


「ただいま」

「お、おかえり神裂くん」


 この小屋には照明がない、つまり、夜になれば外以上に暗くなってしまう。

 真っ暗の中起きている意味は無いので、全員もう就寝するべきだろう。

 一応俺は暗視魔法を使えるので暗くても見ることは出来るのだが。


「もう暗くなってるし、寝る?」

「いや、ウチらはまだ起きてるし」

「ねー」


 喋る方のギャルが取り出したのはピンク色のスマートフォン。なるほど、魔法を満足に使えないのだから明かりの確保ができないと思っていたが、スマホがあったか。

 それはそれで困るぞ、ライトをつけるとスマホの充電が早く減ってしまうし、寝てもらわないと俺が帰れない。


「明日は早起きしないといけませんよ」

「わかってるし……でも、明日からきっと辛いことが増えるし。だったら今少しでも楽しんでおくし」

「だよね」


 ギャル二人の顔が、一瞬悲しくなったような、そんな気がした。

 明日、起きたら嫌なことが増えるのだと、察したのだ。俺もわかる、明日、俺たちBランクにとってはかなりキツい一日になるだろう。


 どうやって時間を潰そうか、と考えていると、どこかからぐぅぅ〜と音が鳴った。

 誰だ?


「……腹減ったし」


 あなたでしたか。ギャル子さん。


「だいたい、黒パン一つでお腹が膨れるわけないし……」

「それなぁ……あぁ……」


 心なしか相槌も弱々しい。

 そういや俺も食べてないな、夕飯は氷霧亭で食えばいいと思っていたので、その全員寝るまで帰れまてんは俺に効く。

 俺も腹が減っているのだ、貰った黒パンも食ってねぇし。


「今は寝よう、寝て空腹を紛らわせよう」

「……わかったし」


 これ以上起きていても空腹を感じるだけだ。今寝るのは向こうにとってもいい事だし、俺にとってもいい事だからな。


 ギャル二人がスマホの電源を切る。

 再び訪れた静寂、暗闇。後は全員が寝るまで待機。

 寝た振りをして、監視を続ける。


 あれから数十分経ち、全員が眠りについたので、俺は転移をするために小屋を出た。

 アイコス、氷霧亭の自分の部屋まで転移しよう。

 周りに人がいないことを確認して、転移。

 見慣れた青い光、夜中にこの光は目立ってしまうがこんな夜更けだ、見た人がいても特定はされないだろう。

 だんだんと視界がはっきりしてきて、目の前に俺のベッドを確認した。あの硬い床とはおさらばだ。


 そしてそのベッドの上には……ミントが寝ていた。


「……何やってんだ」


 ミントは熟睡中のようだ、なんで俺の部屋で寝てるの。ここちゃんと03の部屋だよね?

 とりあえず、ミントにも何があったのか聞いてほしいので、起こす必要がある。

 揺すっただけでは起きないのはわかっているので、さっそくビシャッと水をかける。


「な、なに!?」

「おはようございます」

「……おはようございます」


 キョトンとした顔で俺を見つめる。数秒の沈黙後、現状を理解して顔を真っ赤にした。


「なっ! ユ、ユウト、こ、これはその」

「ちょっと厄介なことになった、今から城に向かうから準備しといてくれ」

「えっ? え?」


 困惑するミントを部屋に残し、ソウルやザン、イアを起こしに行く。

 全員をたたき起こし、半目状態のミントたちを玉座の間に転移させた。

 そこには王様が……いない。


「王様寝てんの?」

「ちょっと待ってろ」


 王様の部屋に行こう。確か王様の部屋は……ここだな。槍を持った兵士さんに敬礼されながらドアを開ける。

 ベッドで寝ているのは寝間着姿の王様。頭にモコモコの帽子つけて寝る人初めて見た。


「王様、起きてください」

「あと、あと少しだけ寝させて……」

「失礼しますね」


 王様の襟を掴み、玉座の間まで転移する。

 寝間着姿でもいいので、とりあえずメビウスで起こった事件を聞いてほしい。


「わっ! なんで玉座に……敵襲か!? あれユウトくんがなんでここに? というか何その服」

「全員揃ったな」


 状況説明を一切せずに全員を玉座の間に集めた。

 無理やり叩き起したのだ、全員そのくらい重大な何かが起こったのだと、薄々気づいている。

 今この場にいるのは、俺、ミント、ソウル、ザン、イア、そして王様だ。


 ああそうそう、アイアスも起こさないとな。

 寝ているのかはわからないが、魔袋から取り出す。


「ふぁーあ、あれ、どうしたのユウト」

「今日あったことをみんなに話すんだ、お前も手伝え」

「ふぃ……あぁ……眠い」


 夜のアイアスさんはポンコツですね。毎日だらけた生活してるからそうなるんだぞ。


「おいユウト、北大陸に行ってたんだろ? 何かあったのか?」

「そうだぜ、無理やり起こすくらいなんだから絶対に大事なことだぜ!」


 ソウルとザンはもう目が覚めているようだ。俺が北大陸であったことを話そうとした時、背後から大きな足音が聞こえた。

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