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部屋決め

 部屋を決めるため、SランクとABランクの二手に分かれた。

 城内を歩き、外に出る扉を通る。城と連結された寮のようなものがあるな。あれが俺たちの住む予定の場所だろうか。


「元気に歩きましょう!」


 先生がみんなを励ましながら歩く。俺たちジミーズ三人は俺がたまに反応するくらいで無言。ギャル二人はギャハハと不愉快な笑い声を上げている。

 ああ、こいつらは自分たちの方が兵士より上だと思ってるんだな。召喚されたのだから、それ相応の準備はしているはずなのに。


 例えば、命令に背けば奴隷商人に売りさばく、とかな。


 または反逆ができなくなる道具でもあるのだろうか、それを付けられたら俺も流石に困る。マールボロに帰れなくなってしまう。


「Aランクはこの寮を使え」

「おお!」

「でけぇ!」


 兵士が大きめの寮の前に立ち止まり、Aランクを寮に入らせた。

 六部屋くらいかな、ひとつの班で一部屋と考えると、Bランクまで入り切らないな。

 

 中には案内役の兵士が居るようだ。俺たちは引き続き目の前の兵士について行くらしい。


 Aランクと同じ部屋じゃないのか。

 ふと城に目を向けると、ぴったり張り付くように城の大きさに合わない小さな小屋が建てられていた。

 と、なるとまさか……あのボロっちい小屋じゃないだろうな。


「Bランクはここだ」

「ここですか!?」

「ボロい……」


 やっぱりか。こんな小汚い部屋嫌なんだけど。

 まあ、全員が寝てからマールボロに転移して氷霧亭に行けばいいか。


「何か文句でも?」

「大アリだ! 俺たちはお前らの都合で召喚されたんだぞ! なら住みやすい部屋くらい用意するべきじゃないのか!」

「ふん、Bランクの冒険者などそこら中にゴロゴロいる。別にお前達じゃなくても他がいるんだ。それをわざわざ部屋まで用意してやったんだ、むしろ感謝するべきだと思うがな」


 まあ確かにBランクの冒険者のかわりに国のAランクの冒険者とかを追加した方が有利だよな。

 Bランクでも能力があるおかげで生かされてると言っても過言じゃない。

 いちいち鼻につく言い方がムカつくが、言っていることは正論だ。捨て駒扱いされる日も近いかもしれない。

 だから大人しく従うべきなんだが、頭チンパンジーの彼女らは不満だらけのようだ。


「先程通った扉から城へ入ることが出来る。お前らの寮は取り壊すはずだった寮だ。召喚は多くても30人程度だと思ったんだがな、余計な奴らが10人も出てきやがった。ま、もう一人ゴミも居たがな」


 誰でしょうね、そんなゴミは。


「誰でしょうね?」


 おっと、つい口に出てしまった。

 兵士は顔に血管を浮かばせながら俺を睨みつけてきた。それでも冷静を装うか、訓練されてるな。

 もっと煽ればよかったかな。


「……チッ、食堂は城の中にある、好きに食事をしろ。召喚して驚いているだろうからな、今日のところは自由行動だ」


 へー、結構優しいところあるじゃん。

 てことは明日の朝まで自由行動だ。夜になるまでクラスメイトについて調べようかな。


 などと考えていると、兵士が城内に帰ってしまった。本当に野放しですか。


「と、とりあえず中に入りましょう!」

「寮って言うより、小屋じゃん」

「それな」


 隣のヤツはそれなしか言ってなくないか?

 あれだ、相槌だけで会話成立させるやつ、数々の文字を覚えてきた俺でもあの会話方法は意味不明だ。


 寮、もとい小屋に入った俺たちはその機能性にドン引きしていた。

 まず部屋は二部屋。しかも狭い。寝るスペースはあるが、個人が自由に使用できる場所はないだろう。

 そして寝床だが、長方形の布と藁で作られた枕。


 奴隷かな?


 中学の頃やったゲームで主人公が奴隷生活に入った時に使ってた寝床がこんな感じだった気がする。

 ってか俺が奴隷になった頃より酷い、俺の時は敷き藁があったはずだ。

 なんてコストパフォーマンス、人を人と見てないぜ。

 幸い床は土剥き出しという訳では無いようだ。だが埃だらけだし土も床にちらほら落ちている。

 掃除すれば幾分かマシになるかな。


「男は男で部屋使ってよ!」

「あ!? 七人も寝れるわけねぇだろ!」


 おっとここで男と女が揉めはじめたァーー!

 俺はハンカチを取り出すふりをして折りたたんだ魔袋を口元に持っていく。

 そして誰にも聞こえないような小声でアイアスに話しかけた。


「解説のアイアス教授、これはどのような試合展開になるでしょうか」

「え? ああ、えっと……そうですね、男の主張は最もです、物理的に無理ですからね。対して女の主張はただのわがまま。この状況なんですから男女の優先度など皆無ですよ、皆無」

「なるほど、ありがとうございます」

「ちょっとこれ何? 待ってもう戻すの!?」


 軽い悪ノリを挟んだところで魔袋をポケットに戻す。

 とまあ実況風にアイアスの意見も聞けたことだし、観察に戻りますか。


「ウチらの部屋相良と神裂が一緒なんですけど!? 怖くて寝れないんですけど!」

「知らねぇよ! この二人にそんなことする度胸ねぇだろ!」


 おっと? 二人とも後で屋上に来てくださいよ?

 だがそんな度胸がないことは確かだ。でも誰がこんなやつ襲うかよ気持ち悪い。


「ま、まあまあ。ほら、先生もいますし、ないとは思いますが何かあった時でも大丈夫ですよ!」

「……先生がいうなら」

「俺と相良くんも寝床の場所は遠ざけるよ。ね!」

「もちろん」


 相良くんがコクコクと首を縦に振る。

 この子、ヘタレだ。でもラノベ主人公感あるからいい女の子が現れるさ。


「俺たちは左の部屋な」

「じゃあウチらは右の部屋ね」


 ようやく部屋決めは終了。こういうのは率先して行動するやつに任せるのが吉だ。

 自分たちの部屋に入る。相変わらず狭い。隣の部屋から男子の話し声が聞こえてくる。何を言っているのかは聞き取れないが盛り上がっているようだ。


「神裂くん、ちょっと話があるので来てくれませんか?」

「……ええ、いいですよ」


 先生が俺を外に誘ってきた。

 話がある、つまり俺の情報を聞き出すつもりだろう。

 この先生に限って脅しなどはするはずがないが、一応警戒だけはしておく。


 相良が置いていかないでくれという顔を向けてきたが俺にはどうすることも出来ない。

 仲良く余った女の子とお話してればいいんじゃないかな。頑張れ少年。


 俺は相良の助けを無視して先生について行き、小屋の外に出るのだった。

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