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南魔大陸へ

 中央大陸、南の港まで転移した俺はすぐさま飛び立とうと膝を曲げた。

 転移場所は港の入口付近なので、人に見られないように周りを確認する。


「ガルル……」

「魔物!?」


 振り向くと目が赤く光る、狼の魔物がこちらを睨みながら唸っていた。

 封印したはずの魔物がなぜここに? 850年の間見つからずにいるなど無理に決まっている。

 だとすれば、いや、まさか。


「あの時の兄ちゃんじゃねぇか! こいつはなんだ!?」


 クラーケンの取り巻き、イカの魔物を倒した時に近くにいた漁師のおっちゃんが近づいてきた。

 近くに人がいたか。あの電撃砲を見せた相手だが、飛べることまでは知られていない。


「狼の魔物だ」

「あのでっかいイカと同じだろ!? 倒してくれ!」

「いいけど、あんたは港に戻ってた方がいいぞ。港の中までは入れないからな」


 人の集まる場所、長く人が住んでいる場所には弱い魔物は近づけない。

 この狼も弱い魔物なので、街の中に入る心配はない。


「イカの魔物は入ってきたぞ?」

「あれは上位の魔物だ。いいから逃げとけ」

「そ、そうか。頼んだぞ!」


 おっちゃんが港に逃げていくのを確認した俺は、再び魔物を確認する。

 すると、視界の奥、狼の後で黒い炎が上がり、目の赤い狼が現れた。

 魔物が湧いた!?


 魔物を封印した今、魔物が湧くなどありえない。

 ならば、魔大陸からの魔力の招待は……


——世界中への魔物召喚。または、封印の解除


「まずい!」


 氷の棘を発射し、魔物の体を貫く。

 魔物の体に霜が広がり、やがて全身を凍らせた。


 さっさと魔物を処理した俺は風魔法を使い、魔大陸へ向けて飛び立った。


* * *


 音速を超える速さで飛ぶ俺の頬を風が叩く。

 飛行魔法、速度魔法、重力魔法、風魔法。この全ての魔法を一度に使い、一気に飛行速度を上げている。

 自分自身が早すぎて周りが見えないが、一瞬横を通った巨大な影は鳥の魔物だろう。


 ほんの数分で魔大陸が見えてくる。いや、あの辺は南魔大陸か。

 速度は下げられないので、目の前に風のバリアを数枚作り、それに当たって速度を下げていく。

 バリンバリンと透明なバリアを破壊し、徐々に速度が下がる。

 下降を開始、このくらいの速度なら前に風魔法を放出させれば急ブレーキができる。


 着地の瞬間に風魔法を地面に叩きつける。

 そして、砂埃が舞う大地に着地した。


「ボヘーム、だったか」


 目の前に見える街、石材でできた家が多いその街は、俺が理想とする人間と魔物の共存を目指す街。


「ザンとイアを探さなきゃな」


 街の中に入り、二人を探す。

 街もざわついてるな、人間も魔族も困惑している。


「ちょっといいか」

「なんだ?」


 どうせなので魔族に話しかける。

 ゴブリン族の魔族だな、緑色の体に低身長、まさにゴブリンといったところ。


「青髪のマッチョと、ピンク髪で下着とマントしか着てない変態って知ってるか?」

「あー、昨日きた二人だな。街の修練場にでも居るんじゃないか?」

「修練場ってのは?」

「戦闘員の練習場だ。時計塔が見えるだろ? あそこの地下が修練場になってる」

「そっか、ありがとな!」


 ゴブリンに礼を言い、時計塔まで走る。

 時計塔か、ほかの街には時計なんてなかったが、ここにはあるのか。

 時間の概念はあるのにな。


 時計塔の真下までついた。

 ちょうど建物内に入ろうとした瞬間、ゴーンゴーンと鐘が鳴る。11時か。


 魔力探知をしたが、周りの魔族たちが普通に魔力が高いので、ザンの魔力が上手く見つけられない。

 ならイアの魔力を探そう。あいつの魔力は群を抜いている。

 …………やはり地下、修練場と呼ばれている場所だ。


 どこから降りればいいのかわからないので、また人に聞くことにした。

 すると、椅子に座って新聞のような、記事を見ているじいさんを見つけた。


「じいさん、地下ってどこから行くんだ?」

「ん、修練場に入りたいのかの?」

「えっとな、イアとザンっていうやつを探しに来たんだ」

「おお、あの二人じゃな。連れてってやろう。わしのあとについてくるのじゃぞ」


 じいさんはそう言うと、座っていた椅子から立ち上がり、椅子を横にずらした。

 そして、椅子の置かれていた石でできた床の溝に手をかけ、前に押す。

 石版が隣の床の下に入り、地下へのはしごが現れた。なにそれかっこいい。俺もやりたい。


「先に入れ」

「さっきついてこいって言ったよな?」


 仕方なく先に穴に入る。

 人一人分降りたところでじいさんもはしごに手をかけ始めた。

 そして、蓋である石版を元に戻す。同時に視界が真っ暗になる。

 暗いよ怖いよ帰りたいよ。俺暗いところ好きじゃないよ。


「なんも見えないんだが」

「黙って降りるのじゃ」


 真っ暗ではあるが、下を見るとうっすらと光が見える。あそこに修練場があるのか。


「よっ」


 めんどくさいので飛び降りた、着地はなんのその、この程度の高さならダメージは受けない。

 完全にゲーム脳である。


「若いものはええのぉ」

「先行ってるからな」


 さて、ザンとイアはどこかなー。

 先程の魔力探知でイアの魔力を探知できたが、イア以上の魔力を持っている者が一人、この修練場にいることを確認できた。

 イアの師匠か、それとも、この街の強豪か。


「イア〜ザン〜、変態〜筋肉〜」

「あ? おお! ユウトだぜ! なんでここにいるんだぜ?」


 なんでこいつ気づいてないんだ。あれか、脳が筋肉で出来てるから危機感がないのか。

 ひとまず魔物が湧くようになったことを伝えなくては。


「いたいた。王様が言ってた魔力なんちゃらが発動したみたいでさ、外に魔物が湧くようになった」

「なら倒すべきだぜ!」

「街には入ってこないから大丈夫だ。イアと……もう一人強い奴がいるな。どこにいる?」

「それなら……」


 ザンが来た方向と逆の通路からピンク色の髪が見えた。イアだ。

 そしてその後ろを歩いていたのは……


 金色にきらめく、魔女の格好をした豚だった。

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