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エルフについて

 揺れている、なんだ? 地震か?

 だんだん強くなってくる、相当大きい地震だ。

 このままじゃ危険だ。目を開けよう。


「あ、起きた」

「あれ?」


 目を開けるとミントが顔を覗き込んでいた。

 ミントが俺の体を揺らしている、地震じゃねぇじゃねぇか。

 寝起きは判断力が鈍るんだからやめてくれ。


「おはよ、ユウト。片付けて行くよ」

「ユウト早くしてー」


 片付け? 体を起こして部屋を見ると布団がすべて片付けられていた。

 なにこれ、本当に修学旅行思い出しちゃうからやめてよ。なんであいつら起こしてくれなかったんだよ。


「おはよう。できればもっと早く起こして欲しかった」

「近くに水がなくて……」

「なんで起こすのに水が必要なんだよ」


 水が覚醒に必要な材料とかおかしいだろ。

 そういえば部屋にいるのはミントとアイアスとムーンだな。ソウルはどこいった。


「ソウルは?」

「着替えてる、私達も着替えるから出て行ってもらったの」


 言われて気づいたが、みんな普段着になっている。

 ってことは俺が寝ている横で着替えてたのか。なんでそのタイミングで起きれなかった俺。


「多分トイレで着替えてるよ」

「じゃあ俺も着替えてくるから」


 布団を畳んで念動力で布団の山に乗せる。念動力は細かいことはできないけど運ぶだけならできる。こういう時に便利。


 部屋を出てトイレに向かい、服を着替えた。

 着替えと言ってもあの服は魔力で作るものなので服を脱ぐ必要は無い。っていうか脱いだら自分の魔力に戻る。

 なら部屋で着替えればいいだろと思うかもしれないが、仮にも着替えだ。ある程度の配慮はする。


 部屋に戻り、残りの荷物などを持って宿を後にした。

 相変わらず人が多い。人だけじゃなくエルフもかなりいる。


「街を調べよう、ちょっと調べたらマールボロに戻って、今後の方針を決める」

「何を調べるんだ?」


 と、ソウル。

 大陸自体は特別大きいわけではない。西大陸、中央大陸、東大陸は地図で見るとほとんど同じ大きさだ。

 だが、東大陸はそれぞれの島に巨大な畑がある。

 ほぼ全ての食材が手に入るのだ、調べるまでもない。てか調べても覚えられない。

 よって調べることはひとつ。


「エルフについてだな。この大陸の食料は正直多すぎて手がつけられないし、それだけ調べたら帰ろう」

「エルフかぁ……あんまり良い印象はないなぁ」


 まあイージスがエルフ耳だからな。

 イージス、お嬢様口調のツンデレ女だ。アイアスとは同じ盾同士なのに仲が悪い。


 一応これは俺たちの問題だ、ムーンを巻き込むわけにはいかない。

 マールボロに返すか、このまま同行するか。本人に聞こう。


「ムーンはどうする? 先に城に帰してもいいぞ」

「行く」

「ん、わかった」


 行くっていうなら連れていこう。

 王様も本人が言うなら許してくれるはずだ。


 エルフか、どこにいるとか詳しいことは知らないし、歩いてるエルフに話しかけよう。

 ちょうど目の前を通りかかった緑髪のエルフに話しかける。

 ナンパじゃないよ。


「あ、お姉さん、今暇?」


 ナンパじゃねぇか。


「ふふっ、いいわ、付き合ってあげる」

「あ、いや。ナンパじゃないから」


 ん? これナンパなら成功してたってことか。

 もしかして俺って結構イケてる? 日本にいた頃にナンパしてれば彼女作れた? ないか、ないわ。


「あら、そうなの。じゃあ何かしら?」

「この街にエルフの偉い人とかっているか?」


 エルフの偉い人、まあいうなれば族長だ。

 この街にいるのかはわからないが、一応聞いておく。


「ピースにいるエルフは飲食系の仕事をしている人か、遊びに来ている人だけよ。偉い人とお話したいならエルフの森まで行かないと」


 エルフの森か。やっぱりそっちにいるよな。

 確かエルフの森は春の大陸にあったはずだ、宴の時に隊長さんに聞いた。


「この街にはいないのか……ありがとな」

「うわすげぇ、本物だ……」

「別の大陸から来たのね、なら見たことないのも無理はないわね」

「じゃ、そういうわけで」


 エルフをガン見しているソウルを引っ張って歩く。

 珍しいからって失礼だからな。


「あっ、遠いわよ? 場所わかる?」

「……春の大陸だよな」


 よくよく考えてみたらそれだけしか知らない。

 飛び回って探すか。空から見えるのか?


「そう、その春の大陸の一番遠い場所にあるわ。でもいきなり入ると警戒されちゃうから私の名前を使っていいわよ」

「おお、それはありがたいな。教えてくれ」

「シェリフよ、門番さんに伝えてね」


 じゃあねー! と、走り去るシェリフ。

 若々しい外見だが、魔力量からして結構歳いってるはずだ。エルフ、恐るべし。

 見た目は若くて歳いってる……まるで誰かさんみたいだ。ユウなんとかさんみたいだ。


「ユウト、エルフの森? に行くの?」

「おう、昔はエルフも魔族扱いされてたし、話を聞こうと思ってな」


 この大陸が繋がっていた時代、人々はエルフを悪と決め、森を燃やしていた。

 そんな関係だったエルフと人間が同じ街に住んでいるのは街の人が優しくなったおかげだろう。

 この街の人が優しいのは食べ物のおかげ、やっぱ食べ物って偉大だわ。


「あたし寝てていい?」

「お前はムーンを乗せて飛べ」

「ぐえぇ……」


 女が出す声じゃない。

 カエルみたいな声だったぞ。


 さて、エルフの森への行き方だが、ここから飛ぶのでは時間がかかってしまう。

 この大陸、中央にある島に来る途中に春の大陸の上を通ってきたのだ。昨日ソウルを起こした時のように上空に転移しよう。


「よし、転移するから準備しろ」

「ムーンちゃん、ちゃんと捕まっててね」

「うん!」


 人の少ない場所、旅館の裏まで移動し、転移魔法を使った。

 目指すは春の大陸、エルフの森へ。

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