飲めや歌えや
俺、ミント、ソウル、ムーンの順番で椅子に座る。
アイアスはどうしたって? 今人化したら余計にピース王の興味を引いてしまう。
だから人化せずに俺の背中にぶら下がっている。
「その盾からなにか出ていたな、見せてくれないか?」
「えっ」
王様それは流石にまずいですよ。
これ人だよ?
「よっと」
「ちょっ!?」
「なっ!」
ピース王が俺の背中に手を回してくる。
なんで正面から取ろうとするんですかね、顔近い顔近い。
ミントはこっち見んな。
「おぉ……これは美しいな。なんという盾だ?」
「アイアスです。アイアスの盾」
「アイアス……へぇ、どうやってあの衝撃を防いだんだ?」
「ちょっと貸してください」
見せるか、減るもんじゃないし。
どうせ敵にも味方にもならないんだ、機嫌をとるに越したことはない。
俺は返してもらった盾を左手に持ち、アイアスの盾を発動させる。
ふっ、と魔力を入れると盾の淵からブゥンという音とともに赤いマジックシールドが現れる。
ビームサーベルかよ、と言いたくなるがまさにそんな感じなのだ。
「……想像以上だな、私の国にも兵力はあるつもりだったが、まだまだなのかもな」
「見せたのは特別ですよ。もてなしてもらったお礼です。アイアス、戻っていいぞ」
自分から戦力を見せつけるのは脅しになるからあまり好まないが、この王様には別だな。
アイアスの盾に人に戻っていい事を伝えると、盾が赤く光り、赤髪の女、アイアスに変わる。
「な、なにぃ!?」
「やっと戻れたぁ」
いつも思うのだが、アイアスは盾と人のどちらが元の姿なんだ?
戻れたっていうからには人の方が本来の姿なのかもしれないな。
「面白い! 原理はわからないがいいものを見せてもらったぞ!」
「それはよかったです」
盾が人になったことにより周りの人たちはざわついているが、ピース王がさほど警戒していないため、気にしなくても良いだろう。
「料理が完成いたしました!」
「うむ、並べよ!」
ピース王は手を前に出しながらドヤ顔で指示を出す。
俗に言う『かっこいいポーズ』である。
なんか麻雀やってそう、もっと上の役が揃ってるのにタンヤオとか言いそう。
「宴の始まりだ!! 騒げ騒げぇ!!」
テンション高いな女王様。
「おー……」
「おー!!」
「すげぇ! なにこれ、頭? 魚の頭乗ってるぞこれ」
ソウル、それは尾頭つきっていうんだ。
尾頭つきって刺身にしか言わないのかな?
ソウルが言ってるのは煮てるやつだし。
すると、隣の席に座っているリーダーっぽい男がカップに飲み物を注いでくれた。
「あ、どうも」
「王に捕まるなんて気の毒にな……頑張ってくれよ」
「え? 一体何が始まるんです?」
第三次大戦だ。
てか気の毒ってなんだ、宴はいいことだろ。
「王は客をもてなすのが大好きなんだ、ただ、長い」
「長い」
「最低三日はやるな」
「三日」
三日だと……?
三日ってお前そりゃ、三日だぞ(混乱)
「俺そんなに居たくないんですけど」
「断ったら死ぬぞ」
なにそれこわい。
つまり宴が好きで、その宴を断ったらキレられるってことか。
普通なら最高なんだけど俺からしたら迷惑極まりないな、三日もここに縛られたら観光すらできないじゃん。
「温泉とかは?」
「あるが……雨だからな。止むまで入れないだろうよ」
マジか、どのみち温泉には入ることになるから数日はここに滞在しなきゃならないのか。
雨止まないかな、天候を変える杖とか持っとけばよかったな。
「どうしたユウト、食え食え」
「俺たちはここで三日過ごすことになるらしい」
「三日!?」
驚いているソウルを見ながら肉を頬張る。
うっま、味染み込んでるな。
スパイシーだ、香辛料って高価じゃないの?
香辛料もたくさん生産しているのかもな。
「でも三日楽しめるならそれもいいかもね、温泉も入れるし」
「雨が止まないと温泉には入れないぞ」
「ええ!?」
露天風呂か、普通の温泉とかないのかよ。
お風呂はあるだろうけどな。
料理を食べながらどうしようかと考えていると、キラッキラした杖を持ったピース王がステージ的な場所に立った。
その場にいる全員がピース王を見る。
「皆の者! 食べてるかー!!」
「「「「「おおおおおお!!」」」」」
「声が小さい!」
「「「「「うおおおおお!!」」」」」
「うるさい! では、御客人、自己紹介を頼む!」
え、なんでそんなことしなくちゃいけないの。
もしかしてあれか、三日お世話になるからか。
ふざけろ(ギャンブラー並感)
そんなことを思いつつ言われた通りにステージに上がる。
兵士たちからフォーー!! という声が上がる。
特に何もすごいことしてないのにこういう声が上がるのなんでだろうな。
なんでだ、なんでだ、なんでだ、なんでだろ〜。
「ユウトです、えーっと、色々できます。よろしく」
「いぇぇええええええい!!」
そのテンションやめろ。
「ミントでーす、中央大陸にある小麦村からきました! よろしく!!」
「かわいぃぃぇぇええええええい!!」
混ぜるな。
「アイアスです! ユウトの武器の一人です! よろしく!」
「いぇぇええええええい!! ……武器の一人?」
疑問に思うな、他にもいるのかとか思うな。
「ムーンです。マールボロの姫、です。よろしく」
「いぇぇえええええ……え? マールボロの姫? なんでこんなところにいるの」
「色々あるんだろ」
こいつらが悪い奴らじゃないことはわかったな。
まさに平和の国。
「ソウルです! 850年前、魔王を倒した英雄の子孫! よろしくううう!!」
「いえーい、よし。食うか」
「あれ!?」
軽く流されてやがる。
てか余計なこと喋るなよ、英雄とか英雄とか英雄とか。
「自己紹介ありがとう! これから三日よろしく頼むね!」
やっぱり三日やるのかよ……
体力持つのか……?
俺たちは今日から三日間続く宴に、覚悟を決めたのだった。
50話になります。ブクマなどしていただけると嬉しいです。




