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成長のために

 いつもの玉座の間、いつもの玉座の前。

 王様に東大陸に行くことを相談しに来たのだ。

 アイアスは既に盾だ。


「……それでユウトくん。そこのお嬢さんは?」

「小麦村のミントです」

「ミント? あいつの娘かな?」

「多分それであってます」


 いくら王様でもミントは見たことなかったか。

 でも名前は知ってたみたいだな、ミントの親父さんと仲いいよね絶対。


「お父さんと仲いいんですか?」

「ああ、あいつは面白いやつだよ。今頃魔大陸で遊んでるんじゃないかな」

「そ、そうですか……」


 王様が軽いキャラで驚いてるな。

 ミントの記憶の中では父親を魔大陸に行かせた男ってことになってるからそうなるのも仕方ない。


「で、ユウトくん。ミントちゃんの紹介だけじゃないよね?」

「ええ、今度東大陸に行くことになったんです。何かやってほしいこととかありますかね?」

「東大陸! いいねぇ、いいところだよ、あそこは。王様以外はね」


 意味深だな、向こうの王様にいい記憶が無いのか?


「向こうの王様ってどんな方なんすか?」

「うーん、自国大好きっていうか、自分の大陸が大好きっていうか」


 いいことじゃないか。


「食べ物は美味いから他国に売ったりしてるんだけどね、それ以外は他国を干渉させないんだ」

「協力関係にはならないと」

「そういうことだね。刃向かったら即敵扱いされるんだ。でも味方は作らないんだよね」


 刃向かったら敵扱い? 刃向かわなきゃいいじゃん。


「何もしなければ無害ってことでしょう? じゃあただ単に飯が美味い国って思っとけばいいじゃないですか」

「そういう認識でいいよ。でもなぁ、協力くらいしてくれてもいいのになぁ、頼まれればこっちだって守ってあげれるのに」


 違った、この人がお人好しなだけだった。

 単純にこの人が人に干渉したいだけだった。


「って、君たちみんなが行くの? ザンくんとイアちゃんには残ってほしいんだけど」

「俺はどっちでもいいぜ?」

「イアはちょーっと勿体無いですかねぇ」


 そういやザンとイアに話があるとか言ってたな。


「理由を聞いても?」

「でもだね……うーん、まあいいか」


 いいのか、極秘的な感じではないのか。


「ザンくんとイアちゃんにはボヘームを拠点として魔大陸を調べてほしいんだ」

「それ俺じゃダメなんすか?」

「これはこの国最強の二人をさらに成長させるためなんだよ」


 成長か、でも戦争とかもしてないしそこまで強さを求める必要ってあるのか?

 国としては自衛できるだけでいいと思うが。


「なぜ二人を強くさせようと?」

「僕は魔力に敏感でね、ユウトくんも感じてるかもしれないが、魔大陸から嫌な気配を感じるんだよ」

「まあ魔大陸ですし魔力くらい流れてくるでしょう」

「いや、魔大陸から魔力の風が流れるなんて普通はないんだよ」


 え、マジでか。

 この世界に来てからずっと感じてたからこれが普通なのかと思ってたよ。


「近いうちに大きな事件が起こる、間違いない」

「そのために二人を強化すると」

「そういうことさ、でもその事件が起こるのがいつかまではわからない。大規模な術式を組んでいると考えて、もうすぐ完成するかもしれないし、まだ数ヶ月かかるのかもしれない」


 大規模な術式、というからには禁術の類だろう。

 ってことは召喚魔法か? 俺と同じく異世界から人が来たりするかもな。

 日本人が来たらどうしようか。


「明日、いや、数時間後にその魔法が発動するかもしれませんよ」

「わかってる、だからこれは賭けなんだよ。先に二人を魔大陸に行かせる。どうせ魔大陸で起こる魔法なら先に行かせといた方が楽だ」


 そんなことしたらザンとイアが危険じゃないのか。

 どんな魔法が発動するのかわからないんだろ。


「死ぬ可能性もあるかもしれないんだぞ」

「小を切り捨ててでも大を助けるのが冒険者さ。もちろんその覚悟はある、そうだよね?」

「もちろんだぜ」

「ちゃんとわかってますよ」


 二人の目は本気だった。

 魔物がいなくなり、国の警備員となっていた冒険者でも、危険なことへ飛び込んでいける心はあるのか。


「何かあったら加勢する、いいよな?」

「うん、僕もそうしてくれると嬉しい。まあユウトくんがいなくても充分な強さかもだけどね」

「足りねぇよ、ザンじゃ魔王軍に適わない。イアの強さはまだ良くわかってねぇけど、幹部といい勝負するって程度だろうよ」

「ッ!」


 ザンがピクっと動いたな。

 自分の強さじゃ適わないって聞いたらまあ反応するわな。


「なんでそんなことを言いきれるんだい?」

「このあいだ小麦村に魔族が襲ってきたろ? その魔物とザンの強さは五分五分ってとこだ。そしてその魔族は魔王軍の幹部。あとはわかるな?」

「驚いた、そんなに強いのか……軽率だったよ、軽い言い方をしてしまって悪かったね」

「こっちこそ、口調が粗くなってました」


 魔大陸の情報は少ない、いくら王様でもそこまでは把握出来ないだろう。

 だからこそ慎重に行くべきだ。


「お前らは魔大陸に行くってことでいいのか?」

「おう!」

「ですね」


 ならば止めるまい、ザンもイアも昨日の戦いで自分の強さを見直したのだろう。


「ごめん、ありがとうね」

「絶対強くなって帰ってくるぜ!」

「イアも、ひと回りもふた回りも強くなります」


 こいつらはきっと強くなるだろう。

 問題はソウルだ。

 この二人が修行ともいえる旅に出て、劣等感を感じてしまうかもしれない。


「……じゃあ東大陸に行くのは僕とミントちゃんとユウトの三人?」

「あたしは!?」

「ああそうだった、アイアスさんもね」


 脳内で組み立てていた計画を崩し、四人で行った時の計画を練り直す。

 何をしようかな。


 その時俺は、背後から忍び寄る人影に気づかなかった。

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