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アイコスの街工場

 ソウルたちが稽古に行き、アイアスが一人で街の冒険に行ってしまったため、今は俺とミントの二人きりである。

 彼らの帰りを待つのもいいが、さすがに暇すぎる。

 何もしないわけにもいかず、俺はミントと二人で散歩をすることにしたのだ。


「この街のことはユウトの方が詳しくなっちゃったね」

「そうでもないぞ、ぶっちゃけアイコスのことは生産物くらいしか知らないからな」


 東大陸程ではないが、この大陸だけで自給自足できるくらいには生産物が整っている。

 魔法機の製造が盛んだと言う話も聞いたがそれはまだ見てないな。


「じゃあ二人で冒険しよう!」

「だな、まずは魔法機の工場でも見るか」

「うへぇ、地味」


 なんだと、機械ってのはカッコいいんだ。

 あんな鉄の塊が力強く動く様なんて感動すら覚える。

 ロボットなんてもう胸熱だ。


「ミントだって、ハーヴェスターがどうやって作られてるか知りたいだろ?」

「それはちょっと興味あるかも」


 正直俺も知りたい。

 魔力で動く機械とか最高じゃん。

 そのうち魔力で動く車とかも開発されるのだろうか。

 ワクワクだな。

 ひとまず、ミントと街の工場が密接している地域を目指して歩き出すのだった。


「ここか」


 ついた、この辺りは煙突のついた建物が多い。

 技術的には中央大陸はかなり上をいっているのだろうか。


「なんかすごいうるさいところだね」

「金属の加工をしてるんだ、仕方ないさ」


 うるさい方が機械っぽくてかっこよくない?

 ガシャンガシャンいう感じがたまんないよね。

 ロボットアニメってアニソンも素晴らしいよね、アニソンシンガーさんくっそかっこいいよね。

 ゼットって叫んだりへっちゃらだったり金髪でムキムキだったり。

 マジで夜もヒッパレって感じよ、見たいし聞きたいし歌いたいんだよ。


「こんちはーっ! 見学してっていいっすか?」

「な、なんだお前は!」


 持ち前の馬鹿力を遺憾なく発揮し、金属の扉を勢いよく開けて挨拶をする。

 大声での挨拶が第一印象に大きく関わってくるぞ、笑顔も大事だ。

 日本にいた頃の俺にはできなかったことだ。


「ここは子供が来る場所じゃないんだぞ? わかってるのか?」

「この機械かっこいいな!」

「わかるぅ!?」

「ゲンさんなにやってんの」


 工場長っぽい(おそらくゲンさん)は切断機をバンバン叩きながら自慢してきた。

 横から注意した人はおそらく部下だろう。


「いやなに、この小僧がなかなか話のわかるやつでな」

「見学していいっすか?」

「うーん……変なことしなければ好きにしてていいよ」


 部下さん、気前がいいね。

 それじゃ遠慮なく見学させてもらおうかな。


「お、お邪魔します」

「見ろよミント! ハーヴェスターだ!」

「あ、ほんとだ!」


 壁に立てかけられていたのは数台のハーヴェスター。

 せっかくなので解析させてもらおう。

 合金鋼、さすがに丈夫な素材を使ってるな。

 これは……結晶? いや、コアか?

 魔力によって信号が送られる物体が機械の中につけられている。

 歯の部分には信号を受けて動く石が取り付けられている。

 意外と簡単な構造なのね。


「これは?」

「魔力を打ち出す機械なんだが、開発中でな。これが完成すれば弓矢なんて不要になるんだ」


 魔力銃、にしては大きい。

 魔力の大砲か、巨大な魔力弾を打ち出す機械ってところだな。

 武力が上がるのは嬉しいことだが、兵器の開発が進むっていうのは少し悲しいな。


「農業系の機械が多いな……ん?」


 反対側の壁、そこにあった巨大な機械。

 腕のようなものが付いているが、ロボットには見えない。


「この機械は?」

「こいつも試作中だ。歴史上の魔物にはゴーレムっていうのがいたらしくてな。そいつを機械で作るのが俺の夢なんだ」

「ゴーレム……」


 ロボットを作ろうとしている、ということだろう。


「あんたは、これを作って何をするつもりなんだ?」

「何をする……か。考えたこともなかったな。そうだな……やはり人手不足の解消だな。こいつを使って、畑仕事をさせるんだ」

「戦わせる、とかは?」

「ああ、そういった使い方もできてしまうのか……」


 便利にするために開発されたものが、争いに使用される。

 ダイナマイトだって、元々は採掘用の爆弾なのだ。

 飛行機だって、空から攻撃するための手段として使われてしまった。

 その知恵を受け取ったものが、開発者の理想の使い方をするとは限らないのだ。


「あんたには平和を守るようなロボットを作って欲しいね」

「ロボット……いい響きだな、初めて聞いた単語だがしっくりきた」


 ロボットって言葉がないのか。

 存在しないんだから言葉があるはずないか。


「ユウト! 水を撒く機械だってさ!」

「スプリンクラーってとこだな」

「よく知ってたな」


 え、正解なの?

 よく良く考えればハーヴェスターも収穫を英語にしたようなもんだし、機械の名前なんてすべて安直なのかもしれない。


「うちの村にも欲しい機械がいっぱいだねぇ」

「こういう機械が一般的に使えるようになればいいんだがなぁ」

「それも俺の目標だ」


 数年後には便利な道具が沢山生まれてるかもな、楽しみだ。

 それまでに、魔族と人間の争いをなくさねば。

 魔大陸の技術はどれほどのものなのだろうか。

 知りたいことが多すぎるな、ゆっくり、この世界を知ろう。


 その後、様々な機械を見て『ほー、へー』と言うしかなかった俺たちであった。

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