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住人急増化

 魚を大量に買った俺は、ほくほく顔で海を見ていた。

 この先に魔大陸があるのか。


「今更だけどさ、その袋どうなってんの?」

「魔袋っていう名前の袋。いくらでも物を入れられる優れものだ」

「収納魔法の強化版?」

「収納魔法は空間から取り出せるから便利だけど、入る量が少ないからな。魔袋はいくらでも入るし、スペアもある」


 自分の魔力で登録した魔袋は全て同じ空間に繋がる。ドラ○もんの四次元ポ○ットみたいなもんだ。

 中に入れたものを把握できていなかったりする。


「収納魔法ですか……使える人少ないですよねぇ、イア使えないので羨ましいです」


 イアは使えないのか。

 マフォは使えたのにな、時代は変わるものだねぇ。


「昔は使えるやつも多かったんだけどなぁ……ミントは収納魔法になんか入れてる?」

「わ、私? 私は村のお手伝いに使うことが多かったからいつも空にしてたなぁ、大事なものをしまうって使い方はしてないかな」

「使えばいいのに」


 この時代では珍しい魔法ってことになってるんだからもっと前面に出していいと思うんだがな。


「私はほら、村が一番好きで、大切だから……」

「……だな、俺も好きだ」

「えっ、あ、そそそうだね」


 ミントがそっぽを向いてしまった。

 もう太陽が沈みつつある、西日が眩しいな。

 西日……? まて、確かこの世界の太陽は北から登って南に沈むんだ。

 ということは南日ってことだ、聞きなれない言葉ができたな。


「イチャイチャしてないで早く帰ろ?」

「い、いちゃいちゃだなんて……!」


 背中から女性の声が聞こえてきた。

 まず間違えなく俺たちに向けた言葉だろう、イチャイチャしてねぇよ。


「起きてたのか、アイアス」

「そりゃあんな大声で叫ばれれば起きるって」


 ということはあれか、ミストゴーレム戦で使ったミストボルグ並に本気を出したあのサンダーを聞かれていたのか。

 雑魚相手に本気を出したとか恥ずかしいんだが。

 絶対オーバーキル表示とか出ちゃってたよあれ。


「お前らどうする? なんかすることあるか?」

「僕はもういいかな、帰って稽古したいし」


 イアとザンもうんうんと頷いている。

 今日の小麦村三番勝負に思うところがあるのかな?

 イアは手加減していたとはいえ不意をつかれていたし、ソウルはあと少しのところで負けになるほどに押されていた。

 なにより、ザンは負けてしまったのだ。

 決着をつけるという気持ちでで頭がいっぱいになり、落ちてくる木剣の破片を記憶から抹消してしまっていた。


「……なら帰るか。ミントもそれでいいよな?」

「うん!」


 特にすることもなくなった俺たちは、一旦港の外に出て、転移魔法で城下町へ帰るのだった。


* * *


 入口に転移するのはめんどくさいので、俺の部屋の中に転移する。

 全員が一気に転移してきたため、床がギシッと音を立てた。

 よかった、床は抜けなかったか。


「相変わらずユウトはすごいなぁ……どこここ」

「まあ俺だし、ここは酒場だ」

「久しぶりに聞いたよその言葉」


 小麦村にいた頃はこの言葉を多用してたっけ。


「僕たちはちょっと稽古してくるよ」

「そうか、夜には帰ってこいよ」

「お前は僕の親かなにかか」


 そりゃ年上としてソウルの面倒を見なければならないからな。

 こんな扱いだけど、ゼーレの子孫なわけだし。

 ……ああそうだ。


「お前さ、強くなりたいって思うか?」

「何急に、なりたいに決まってんじゃん」

「……そか、やっぱなんでもないわ」

「なんだそりゃ」


 俺もずっとここにいる訳にもいかないので、一旦食堂まで降りることにした。

 ケイトさんにミントを紹介したいし。

 で。


「この子がミントです」

「よろしくお願いします!」

「はぁ……別に構わないけども、随分増えたものだねぇ……イアちゃんも帰ってきたし」


 俺が来た時は俺とザンとソウルの三人だったな、今じゃ俺、ソウル、ザン、イア、アイアス、ミントの六人だ。

 部屋は確か九部屋だからあと二人は住めるな。

 一番奥の部屋がケイトさんの部屋だから実質八部屋だが。


「ユウトくんの『あれ』かい?」

「『あれ』が何を指しているのかはわかんないけど多分違う」


 なぜ大人はみなこうやってからかおうとするのか、俺はいいがミントが可哀想じゃないか。

 もうからかわれるのはごめんなので、適当に街をぶらつくことにした。

 とりあえず氷霧亭の外に出る。


「ミント、適当に散歩しようぜ」

「そ、そうだね……アイアスさんも来ますよね? ね?」

「買い物したい気分だなぁ! 悪いけど二人きりでぶらついてて! じゃねばいっ!」


 アイアスは金色に輝く貨幣をチラつかせながら走り去っていった。

 あの野郎、魔袋から取り出すのをめんどくさがった俺がポケットに金貨を入れてたの知ってやがったな。

 いつの間に盗みやがった。


「そ、そんなぁ……」

「結局二人きりか、あの日と同じだな」

「あー、そういえばそうだね」

「あの日は途中でソウルも参加してたからさ、今回はちゃんとした村人二人の街観光だぞ」


 小麦村が襲われるなんて思ってなかったからな、まさか中断して村から出ることになるなんて。

 俺が転移魔法を使ったせいなんだけどね。


「ミント、アイコスの街の風呂は銭湯だぞ」

「ほんと!?」


 どうせ夜行くことになるんだし、風呂の期待値を上げておこう。

 そして西大陸にある温泉と比べるのだ。

 ひとまずはほのぼの、まったりと散歩をしよう。

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