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第一回『小麦村最強は誰だ』part2

 一回戦のイア対ブルー戦も終わり、次のソウル対グリーン戦が始まろうとしていた。

 グリーンとソウルには魔袋から取り出した木剣を持たせている。

 魔法を使えるグリーンが有利か、グリーンの補助魔法がどれほど成長したのか見ものである。

 ソウルもソウルで意地ってものがある、Aランク冒険者として勝たねばならぬと。


「手加減しろよな!」

「手加減するのはお前だアホ」


 実際ソウルは弱い。

 だって覚醒してないんだもの。

 覚醒していない時のソウルは他の冒険者、いや、一般人よりも成長が遅いのだ、ゼーレも最初はそうだった。

 覚醒する方法は……あまりいい方法じゃあない、俺が嫌いなことをさせなければならない。

 近いうちに覚醒させてやるか、ちょっと心が痛むがな。


「この剣を当てれば勝ちですよね?」

「まあそうな、当てりゃなんでもいい。投げてもいいし、それこそ普通に当ててもいい。転ばせるって方法もあるけどな」

「転ばせる……なるほど」

「正確には背中が地面についたらだぞ」

「わかりました」


 先程のような魔力弾対決にはならないだろう。

 グリーンの魔法はあまり戦闘向けではなかったはずだ、錬成魔法や補助魔法なので、一人で戦うのにはあまり向かない。


「僕はもう準備できてるけど」

「はい、僕も大丈夫です」


 一人称が僕同士の戦いか、グリーンは男の娘だからボクっ娘って感じがするがソウルはベビーフェイスで口調がアレなのでウザさしか感じない。


「さっきと同じで石が落ちた瞬間だからな」


 二人とも中腰になり、剣を構える。


「よっ」


 魔法使い戦の時よりも少し高めに石を放る。

 石は昔数学の授業で見たような軌道を描きながら減速し、落下に変わる。

 あれが動く点Pか、絶対許さねぇ。

 受験の時あれだけド忘れしててギリギリだったのを思い出してしまった。


 ——ガサッ


「うおおおお!!」

「はぁぁぁぁ……!」


 石が落ち、戦闘が始まる。

 ソウルはグリーンに向けて走り出したが、グリーンはその場から動かず、剣を構えたままだ。


「やぁっ! はあああ!」

「くっ、重い!」


 普通より弱いとはいえ年上で体格も違う、グリーンにはソウルの攻撃は重いのだろう。


「へへっ思ったより強くないじゃん」

「甘く見ないでください!」


 グリーンの髪が一瞬揺れる。

 その瞬間、グリーンの動きが早くなった。


「補助魔法か」

「風魔法です、単純に自分のスピードを上げる魔法ですけど、使いようによっては強力ですよ」


 一緒に魔法の特訓をしていたであろうブルーが、魔法について教えてくれた。

 確か俺もあんな魔法使えた気がする、普通に戦った方が早いから使ってないけど。


「力はないけど、早いねっと」

「ありがとうございますっ」


 ソウルは剣を受けながら後退する。

 危なくなってきてない?


「はああああああ!!」


 ソウルが剣を高く上げ、振り下ろす。

 あれは、ザンが俺相手に使った剣技だ。力任せの振り下ろし、全力で叩けば剣を弾けると考えて使ったのだろう。

 意外に、頭を使うやつなのかもしれない。


「うぐぅっ……うわぁ!?」


 全力の振り下ろしをグリーンは受け止めきれず、後によろけてしまった。

 チャンス、とばかりにソウルは身体に剣を当てようとする。

 が。


「なぁっ!?」


 ソウルが突然バランスを保てなくなり、倒れる前に後に飛んだ。


「今のは?」

「錬成魔法です、一瞬地面を錬成して地面を動かしたってところですかね。魔力消費が大きいのであんまり多用はできないですが」


 確かに、一瞬地面を揺らす程度なら錬成魔法でも可能だ。

 ソウルが片足立ちになった時を狙って使ったのか、よく見てるな。


「今の俺の得意技だぜ!」

「多分お前の技パクッたんだろ、近くで見てきたからこっそり練習してたんじゃないか?」

「あー、そういえば力の入れ方教えてくれとか言われたことあるぜ」


 あいつも弱いなりに努力はしてるんだな。

 なら覚醒時の身体への負担は計り知れないだろう。

 今まで成長しなかった分が全て返ってくるのだ、そりゃあ負担もかかる。


「あともう少しだったのにさ……」

「はぁ……はぁ……危なかった……」

「ふぅ……よし!」


 お互いに距離を置き、走る。スピードを上げているグリーンが先に攻撃、再び剣と剣がぶつかり合う。

 振り下ろし攻撃は横に避けるか、剣で横に受け流せば避けることが出来るので、二度目は通じないだろう。

 あの攻撃はザンの筋力によるスピードあっての技なのだから。


「くそっ……ぐっ! はぁ!」


 胴狙いで横凪された木剣を間一髪で避ける、ギリギリだな、グリーンのスピードも上がってきているような気がする。


「ふっ」


 ソウルがグリーンの足首に足払いをした。

 ほう、バランスを崩す作戦か。


「っ!」


 ……今、グリーンのスピードが一瞬上がったような。

 気のせいか、しかしよくあのスピードについていけるな、ソウルは俺が思っていた以上に戦えるやつのようだ。

 だが、ソウルの作戦は失敗、あともう少しというところで躱されてしまった。


「はぁ……はぁ……」

「まだまだぁ!」


 グリーンはかなり疲れているようだ、木剣に汗のシミがついてしまうほどに。


* * *


 その後も剣と剣が何度も、何度もぶつかり合う。

 強化しているとはいえ、よくソウルにあれだけ攻撃ができるな。

 グリーンも剣を貰える日はそう遠くないだろう。


「あぁあぁ……がぁ……!!」

「まだ早くなるのかよ!?」


 そういいつつソウルは剣を受ける。

 お互いに決定打がないため、消耗戦になってしまっている。

 ソウルも、余裕そうにしているが、相当疲れているはずだ。


「! よしっ……あ」

「おっと、え、大丈夫か!?」


 突然、グリーンの体がプツンと何かが切れたように動かなくなった。

 そして、剣を受けた衝撃でそのまま後に倒れてしまった。

 背中が付いたからソウルの勝ち、だな。


「ソウルの勝ちだぞ」

「そうだけどさ……こいつ動けないみたいなんだけど。あんなに早く動いてたのに……」

「早く動いてたからこうなったんだ。あの早さで動いたんだから、体への負担が小さいはずがない」


 体力の消耗も、スピードに比例して上がっていくのだ。


「とりあえず木陰で眠らせとけ」

「お、おう。……持ち上げるぞ。ふっ!」


 なんとも煮え切らない終わりだな。

 体が耐えきれなくなって自滅か、自分の体力を考えて動けないうちはまだ二流だな。


 さて、次の戦いでラストだ。

 ザン対レッド、俺が一番気になっている試合だ。

 ずっと喋らずに考え事をしていたレッドも、木剣を持ち準備を始めた。

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