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21回目の召喚

 ゴーレムのコアを破壊したことによる爆発に巻き込まれてしまった。

 転移魔法ではソウルとザンが魔力爆発を受け、魔力中毒になってしまう。

 俺の魔法で爆発を防げても、この量の魔力を防ぐのは無理だ。

 

 無意識に伸びていた手の先には所々に修理した跡が残る魔袋だった。


 守ることに特化した奴といえば……!


「アイアス!」


 魔袋の中に入れた手がなにか硬いものを掴む。

 そしてその手に持った物を目の前で起ころうとしている爆発に向けて魔力を込める。


 取り出したのは召喚石。

 相手との召喚契約で作り出した石だ。

 この石に魔力を込めることでその相手を呼び出すことが出来る。


 その召喚石が一瞬赤く光り、人間に変わる。

 現れたのは赤髪の女性、座った姿勢での召喚だ。


「え!? なにこれ!?」

「盾化だ!」

「あー! もう!」


 アイアスが人間の姿から赤く、丸い盾の姿に変わる。

 俺はその盾を持ち、アイアスの能力を発動させる。

 盾を中心にして半透明な赤いマジックシールドが広がっていき、魔力の爆発を全て受け止めた。


「ぐっ……!」


 いくらアイアスでも衝撃はくるか……

 何はともあれ、これで完璧にゴーレムを倒したと言っていいだろう。


「ユウト! なんだよその盾! っていうか一瞬女の人出てこなかったか!?」

「一旦降りてからだ」


 霧が消え、はっきり見えるようになった地面に着地する。


「この盾はマジックシールドが出せる盾だ。さっきの赤いやつだな」

「アイアスよ、よろしく」


 盾からアイアスが声を出す。


「盾が喋った!?」

「盾が喋るとか初めて聞いたぜ……助けてくれてありがとな」

「どういたしまして」


 盾状態でも喋れるってのは驚きだよな。

 なんでノワールは喋らなくなっちゃったんだろ。


 盾が光り、アイアスが人間の姿に戻る。

 赤髪に赤いスカートをはいた全身まっかっかな女が現れる。


「ユウト、もう私を呼ぶことなんてないんじゃなかったの?」

「そのつもりだったんだけどね、状況が変わっちゃってさ」


 魔王を倒して倒してを繰り返していた頃、持っている召喚石の人たちを呼び出して、別れを告げたのだ。

 本人の希望で召喚石は残していたが、まさかまた使う機会が来るとは。


「なにこの綺麗なお姉さん」

「あら、ありがとう」

「騙されるな、こいつは基本仕事をしないやつだぞ」


 きっと俺の作ったこたつでダラダラと過ごしていたのだろう。

 働けただけありがたいと思え。


「じゃ、あたし帰るからね」

「おう、お疲れ。たまには運動しろよ?」

「うっさいわよ! はぁ……あれ?」

「どした」

「帰れないんだけど……」

「は?」


 え、なんでこの世界は頑なに他の世界への転移を拒むの?

 そのおかげで留まれてるんだけどね。

 ってそれどころじゃない、帰れないだと?


「帰れないって、他の武器との連絡は?」

「……繋がるみたい。あ、グラム? あたしー。うん、なんかねー……」


 アイアスは他の武器と連絡を取り合っているようだ。

 グラムか、懐かしいな。

 てかその能力本当に欲しい、でも俺は武器になれないから使えないらしい。

 スマートフォンが使いたいよ、ママン。


「なんか、こっちに来たいって言ってるんだけど」

「はぁ? 誰が」

「全員が」


 全員って、確かにあの世界は狭いし人少ないしで暇だろうけどさ。


「いやいや、さすがにあの人数を泊める場所とかないから」

「泊める場所がないってさ……うん、うん、伝えとく。呼べるようになったら呼んでくれってさ」


 いつか大量の寝床を確保しないといけないのか、最高に面倒くさいぞ。

 そうだ、この壊れた水晶玉も回収していこう。

 そう思った俺は念動力で水晶玉の欠片を魔袋に入れた。

 何でもかんでも集める癖がある俺、俗にいう物を捨てられない病だ。


「早く帰ろうぜ、もう洞窟はごめんだぜ」

「そうそう、なんでこんなところにいるの? なんで爆発したの?」

「ゴーレム倒してコア破壊したら爆発した、以上」

「よくわかんないけど間抜けさんだね」


 ほっとけ。


「王様の目の前に転移するからな」


 あらかじめ場所を言っておく。

 さっさと報告して状況整理などをしたい。


 数秒後、俺は青い光に包まれた。


* * *


 光が収まり、景色が暗い洞窟から明るいお城に変わる。

 お城ってこんなに綺麗だったっけ? 昨日と違くない?


「な! き、貴様らどこから入ってきた!」


 目の前にいたのは昨日話した王様……んん?

 誰ですか。

 顔つきは似ているがヒゲも生えてないし、顔もゴツゴツしてない。


「あの、王様は?」

「あれが王様かー、ダンディーだね」


 アイアスは礼儀なんてクソ喰らえという人間だ、俺と同じだが俺よりも遥かに適当。

 ダンディーではなくねぇか。

 少なくとも昨日の王様よりは若々しい感じだぞ。


「王は我だが……昨日の者だろう、貴様ら一体何者なのだ。そこの女は誰だ」

「アイアスっていう仲間の一人です。それは置いておいてですね、洞窟の調査を終えてきました」

「! そうか……して、どうだった」


 期待していないという顔だ。

 前にも霧の調査に行った人がいるのだろう。


「霧の排除に成功しました」

「なに!? ボーク、我は外出するぞ! 貴様らも付いてこい!」

「はっ!」


 横にいたボークという兵士はNPCのような典型的な返事をした。


 王様は城から飛び出してしまう、言われた通り俺たちも付いて行く。

 城を出ると目の前に王様が立ち止まっていた。


「貴様! 霧が晴れていないではないか! この我にホラを吹くなど万死に値する!」


 俺も街を見る。

 確かに霧が残っている。

 だがゴーレムは倒したのだ、時間が経てば勝手に消えるだろう。

 問題はこの王様がそれを信じるかどうかだ。


「もう霧は出ないんでしょ? ならユウトが吹き飛ばせばいいじゃん」

「確かに」


 俺はさっさと転移魔法を使い、街の外に出た。

 そして風魔法を使い、街全体に暴風を当てる。

 霧が消えたのを確認したら戻ってくるだけの簡単な作業だ。

 もう一度転移魔法を使う。


「ほい、終わりましたよ」

「おお! おおお! これが霧のない街……」


 王様は初めて見る街の姿に目に涙を浮かべていた。


 魔法の弱体化がとけてる……

 それに気づいたと同時に視界が歪む。

 なんだよ……これ。

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