20回以上再生する体
体から霧が吹き出るゴーレム。
調べてみたところ、ミストゴーレム【幻】という名前らしい。
幻……?
やれることをするしかない。
俺は飛行魔法を使いながら剣先をゴーレムに向ける。
そしてロケットのようにゴーレム目掛けて飛び出し、ゴーレムの体を貫通する。
貫いた体には巨大な風穴が開き、ゴーレムが体勢を崩す。
「やったか!?」
「まて、様子が変だぜ」
ザンの言う通り、ゴーレムは体に穴が空いたものの、倒れることは無かった。
それどころか、ゴーレムの体が再生している。
砕けた岩の部分に霧が集まり、新たな岩が作られている。
「どうやって倒すんだよ……!」
「お前らはひたすら斬ってろ! 俺が何とかする!」
剣が効かないのなら魔法だ。
俺は先の尖った氷を大量に出し、ゴーレムに向けて発射する。
「ウゴゴゴゴゴ……」
効いている……? これは効いているのだろうか。
氷を少しずつ大きくしていく。
体に当たっていない時に怯むことがあるのは何故だろうか。
ソウルとザンにも魔法攻撃をしてもらうため、二人の剣に光と闇の魔法をかけた。
ザンが光でソウルが闇である。
「なにか弱点があるはずだ!」
そうザンとソウルに呼びかける。
今までだってそうだった。倒せないと思っていた相手でも、弱点を見つけることで比較的簡単に倒すことが出来る。
俺は氷魔法をやめ、風魔法に切り替える。
真空の刃をゴーレムにぶつける。
すると、刃が霧を吸収し始めた。
当たりか……?
洞窟内の霧がどんどん吸い寄せられていく。
僅かだが、視界がはっきりしてくる。
「ンゴゴゴゴ……ゴオオオオオ!!」
無機質な声が響き、何も無かったはずの背後でズシンと岩の落ちる音がした。
え……後ろ……?
振り向くとそこには淡い青色をした水晶玉が宙に浮いていた。
コア……コアだ!
「ソウル! ザン! あれを壊せ!」
「言われなくてもっ!」
「行くぜ!!」
ソウルとザンの同時攻撃が水晶玉に炸裂する。
双方から叩かれた水晶玉は見た目通りヒビが入る壊れ方をした。
ボロボロと半透明な欠片が地面に落ちる。
俺たちが攻撃していたゴーレムがいたはずの場所には、何も無かったかのように霧が立ち込めていた。
「終わったか……?」
「はぁ……はぁ……あ、案外簡単に倒せたね」
ダラダラと汗をかきながらソウルが言う。
あの程度の戦闘で息切れしてたらこの先やっていけないぞ。
それよりも、気になっていることがあった。
「ザン、気づいてるか」
「ああ、霧が収まってねぇぜ」
そう、ゴーレムを倒したはずなのに霧の噴出が止まっていないのだ。
ま、地面からも霧が出てた時点で嫌な予感はしてたんだけどね。
「……なんか、揺れてないすか?」
「あー、これはあれだな。飛行魔法使うからお前らちゃんと飛べよ」
「え? なんでここで飛ぶ必要が……うおっ!?」
揺れが一層激しくなった。
ここで飛行魔法を使う理由、それは……
「地面がヒビ割れてるぜ……!」
「飛ぶぞっ!」
直下型の縦揺れが激しくなった瞬間、したから押し上げられるように地面がヒビ割れた。
親玉の登場だ。
ヒビ割れた地面が落下していくのが見える。
地面の下から現れたのは先程のゴーレムとは比べ物にならない大きさの岩の塊。
ボス戦に見せかけた中ボス戦でしたか。
なんでこんなに広い空間が地下に広がってるんだよ。
「な、なんだよあれ!」
「さあな、俺が魔法で先制する。コアが出たら飛びながら一気に斬るぞ」
ソウルとザンが背後にいるので、全力で魔法を使うことが出来る。
さらに濃くなった霧で視界は真っ白だ。
そんな真っ白な視界からでも見える光る目、そこに魔法を叩き込む。
この霧は煙ではない。
霧というのだから水分だろう。
なら、そこで水魔法を使えばどうなるか。
「お前ら! 離れてろ!」
俺の目の前に水の塊が現れる。
そこに風魔法で周りの霧を凝縮させる。
洞窟内の力が集まってくるのがわかる。
水の塊は次第に形を変え、巨大な槍に変わる。
名付けるなら、ミストボルグ。
ゴーレムから霧が湧き出れば湧き出るほど槍は大きさを増し、威力も増す。
極めつけは光魔法を中心に入れて、槍の速度を上げる。
ゴーレムからは霧で出来た白い柱が槍と繋がっていた。
1日ぶりの霧のない視界でゴーレムの目を狙い——
————撃つ。
着弾地点が光魔法で光り輝く。
水でも光の速さで飛ばせば確かな殺傷能力を秘めた槍ができる。
ゴーレムとはいえ、ただでは済まないはずだ。
「コアを探せ!!」
俺の掛け声でソウルとザンが件を構える。
コア、大きな水晶玉のはずだ。
「あった! 下だ!」
ソウルの声を聞き、地面に程近い位置にある水晶玉を見つけた。
その水晶玉は中に黒い雲のようなもやがかかり、周りに雲海のような霧が充満していた。
「叩けええええええええ!!」
俺もノワールを抜き、魔力を注ぐ。
光、影、闇魔法による黄黒紫の三色の斬撃が3mほどある水晶玉を6つに分断する。
直後、水晶玉の中心から光が溢れる。
魔力爆発の予兆を感じる。
霧が消えたことにより、魔力探知が復活しているらしい。
「おい! こ、これまずくない!?」
「逃げられないぜ……!」
二人が同時に俺に助けを求めるように顔を向ける。
転移魔法を使おうとするが、爆発スピードからしてギリギリ間に合わない。
——彼女なら。
俺は無意識に魔袋に手を入れていた。
次回、再会




