14つの質問
王様が冒険者カードを作ると言ってどこかに行ってしまったため、動くに動けなくなってしまった。
ついていけば良かった。
「なあユウト、こうさ、僕が手っ取り早く強くなる方法、ない?」
「俺は青タヌキじゃねぇぞ」
「タヌキは青くないだろ」
やはり異世界人には通じないネタか。
「ユウトよぉ、冒険者の登録をしたはいいけどこの後どうすんだ?」
「適当に街でも歩き回るさ、明日はどっか別の大陸に行く予定」
これも今決めた、どっか別の大陸に行ってどう変わってるのか見てみたいし。
「それ冒険者登録した意味あんのか?」
「実はさ、王様が帰ってきたら聞きたいことがあるんだよね」
やりたいこと、それは国同士の外交だ。
少なくともこの国のトップは自分の理想とする平和を願っているのかもしれない。
俺の理想には魔族と人間の交友関係が必要だ。
「よいしょっ」
暇なので氷で椅子を作り、座る。
ひんやりしていて気持ちがいい、丁度いい冷たさである。
「なにそれ!? 僕にも作ってよ」
「いいぞ」
同じ椅子を作る。
ソウルはそれはもうウッキウキで椅子に座った。
「ケツが凍る!?」
「氷の椅子なんて冷たいに決まってるだろ馬鹿か」
座って2秒で飛び上がったソウルに言う。
俺が座ればひんやり程度だが常人が座ればただの氷だ。
座り続けられるわけが無い。
「ケツが使い物にならなくなるわ! なんでユウトはこんなのに座れるんだよ……」
「氷の世界に転移すればこうなるぞ」
氷の世界。
そう、最初に特殊世界に転移したのは氷の世界だった。
北海道なんて目じゃない、氷河期って聞いて鼻で笑う寒さだ。
常に身体の周りに炎を出して乗り切ったっけな。
あの世界での俺はファイヤーマンとして伝説になっている。
もちろん嘘だ。
炎の人だ。
「ユウト様、王がお呼びです」
「えっ?」
いきなり声をかけられて若干ビビりつつ、声の主を見る。
メイド……?
それよりも王だ、呼んでいるとはどういうことだろう。
カード渡すのに場所が必要なのか?
* * *
「待っていたよ、ユウト君」
そんなゲームマスターみたいに言われても、僕はキ○ト君じゃない。
「王様、冒険者カード渡すのにわざわざ玉座の間まで呼び出したんすか?」
「いや、ちょっと聞きたいことがあってね」
「俺も聞きたいことあるんすよね」
「それは丁度よかった」
この人と関わるとお互いに都合のいいことになるな。
「じゃあ僕から話させてもらうよ。ユウト君、君は何のために冒険者になったんだい? 君がこの国の冒険者になる必要はないと思うんだよ」
「この国に力を貸してあげようと思いまして」
「ほう……何のためにだい?」
そんなもん決まってる。
毎日好きに過ごすためだ。
変な目で見られても困るな、言い方を変えよう。
「世界平和」
「……これはまた、大きくでたね」
「そうすか?」
争いを無くすなんて簡単なことだ。
俺が武力行使で強制的に争いを無くせばいい。
だが、それじゃあ意味が無い。
それは俺が理想とする平和じゃない。
「次俺の質問っすね。王様は魔大陸、魔族のことをどう思ってるんすか?」
「小麦村も含め、過去に衝突したこともあるからね。ちょっと良くは思ってないかな」
それは同感だ。
でも小麦村を襲ったのって間違いからなんだぜ。
まあ人間を敵と思ってる魔族がやった事だからあながち間違いじゃないけど。
「じゃあ、魔王は?」
「難しい質問をするね、英雄にそんなことを聞かれるとは思ってなかったよ」
だろうな。
魔王を倒した男に魔王についてどう思うか聞かれているのだ。
「そうだね……僕は魔王がどんなやつなのか知らないけど、少なくとも好戦的ではないと思っているよ」
「その心は?」
「ここ十数年魔族との争いがないんだ。でも、何年か前に魔大陸に調査を送ったんだが、帰ってきていないんだよね……」
「それって、アイテムマスターの男っすか?」
「よく知ってるね、この大陸一番のアイテムマスターだったよ」
キウィのお父さんだ。
調査のために魔大陸に行かされたのか。
確か王の命令で魔大陸へ行ったとかキウィさんが言ってたな。
「なんで、その人だけを魔大陸へ?」
「行きたがってたから」
ん?
「家族のことは考えなかったんすか?」
「多分家族には魔大陸に遊びに行くとか伝えてるんじゃないかな」
伝わってないじゃん。
無理矢理じゃなかったよ、よかったなキウィさん。
「伝えてないんですけど!」
「なんだ、知り合いなのかい?」
「その家族と面識があるんすよ。仕方なく雇われたって聞いたんすけど」
「めっちゃ行きたがってたよ」
「めっちゃ行きたがってたんすか」
キウィさーん、旦那さん生きてるぞー。
「話戻すけど魔王についてだったね、争う気がないって言うなら交友関係を持ちたいよ」
お、都合いいな。
「そこで提案があるんすけど」
「提案?」
「俺をこの国の外交官にして欲しいんすよね」
「外交官ってなんだい」
「他の国との交友を援助する人ですかね、多分」
本物の外交官がどんなのかよくわかんないけど多分そんな感じだろう。
「それなら大歓迎さ! 勝手にやってくれるんだよね?」
「勝手にって……まあ王様が他の国と仲良くなりたいっていうなら行って話とかしますけど」
飛行魔法でひとっ飛びよ。
「やった! 仕事が減った!」
「おい今なんつった」
もしかしてこの人仕事したくない人か?
俺と似てるね。
「なあユウト……そこに王様いるんだよな?」
ソウルには王様が見えていないらしい。
そんなに存在感ないのか。
「……ユウト君、僕の存在感を出す方法って、あるかい?」
「ねーよ」
やはり王様は存在感のなさを気にしているらしい。




