SSランクと規格外
SSランクの四人は、それぞれ能力を使い大魔王に攻撃していた。
笹谷は剣で斬っている、二回ごとの斬撃で大魔王の魔力がガクンガクンと消えていた。これが二撃必殺か、大魔王相手だとこうなるんだな。
棗杏、カチューシャの女子は血を操って攻撃している、液体になったり、剣の形に変わったりと、使い勝手はいいようだ。盾にもなっている。チートかよ。
金町雄大と芳野凍子は炎と氷で攻撃、普通に見えるが、威力が馬鹿でかい。
俺も参加しようとチャージ無しで撃てる一番強い魔法を当て続ける。一番出しやすくピンポイントで当てられる雷だ。
バチバチと身体中に電気が走る俺を見た金町と芳野は、キッと睨みつけてきた。
炎を放射し続ける金町が口を開く。
「神裂、お前ずっと隠してたのかよ」
「……ああ、それより、秀吉はどこに行ったんだ?」
「秀吉? なら反対側に回るとか言ってどっかいったよっ……だぁぁっ!」
芳野が女らしからぬがなり声で氷柱を高速で撃っている。反対側か、こっちはSSランクに任せて向こうに加勢しますかね。
俺は空中から雷を出しながら飛行魔法で空を飛び、他の魔法も出して追撃しながら大魔王の上を飛び越えた。
「ゴピ! そっちはどうだ!」
「こっちは魔法が使える兵士が少ないぞ! 加勢を頼む!」
「わかった! 大魔王の攻撃は魔物召喚、腕や足での攻撃、遠距離は投石、たまに炎か氷のブレスだ! 兵士に口から炎か冷気が見えたら引くように指示してくれ!」
「うむ!」
大魔王のブレスは炎か氷、魔物がいなくなってから広範囲にブレスを吐くので魔物が居る時が攻撃するタイミングだ。
流れ的には召喚→パンチやキック、投石→魔物が消えてからブレス→召喚というサイクルだ。
大きくなった分行動も制限されているのだろう。それだけならいいのだが、魔力が多すぎるし、半分も削れていないように見える。
「秀吉は……あれか!」
魔法を使いながら人の少ない場所で立っているローブの男を見つけた。十中八九あれが秀吉だろう。
秀吉が膝を曲げ、ジャンプする。秀吉の姿が消えた。
「なっ!? 消えっ」
「ジオオオオオオオドオオオオオオオ」
大魔王が叫ぶ。上を見ると、空中で秀吉が拳を振り切った状態になっていた。
殴った……?
困惑していると、グラムがこちらに向かって飛んできた。
「旦那! 剣が効くようになったぞ!」
「本当か!」
グラムの報告を聞く限り、魔力の供給が間に合わなくなり物理攻撃が効くようになったのだろう。
しかし、秀吉のあの攻撃はなんだ……?
使っていなかったノワールを抜き、空を飛んで落下する秀吉の元へ向かう。どうやってあそこまで飛んだのかわからないが、あの高さから落ちたら怪我じゃ済まない。
再び秀吉が膝を曲げたと思うと、俺の体が落ちそうになるほどの風が吹いた。
秀吉は、さらに上に飛んでいた。
「馬鹿な! 空中でジャンプだと!?」
隣にいるグラムが声を上げた。確かにありえない、魔法を使っているようには見えなかった、足の力で、飛んだのだ。
「グラム! ひたすら斬り続けろ!」
「おうよ!」
指示を出して、俺はさらに飛んだ秀吉に近づく。
大魔王は、秀吉に向かって岩を投げた。
「秀吉!」
「……神裂か、心配しなくていい」
秀吉は岩を思いっきり殴った。岩は、通常の三倍ものスピードで大魔王に直撃する。シャアも大歓喜。
「……は?」
あれが、秀吉の能力か? スピードを何倍にも変える能力だろうか。だとしたら岩を跳ね返したのはどうやったんだ。
「秀吉、一旦下で話そう」
「じゃあ先に行ってる」
そう言うと秀吉は空中をパンチした。秀吉が一気に落ち地面にぶつかる。地面にはクレーターができている。
「マジかよ」
飛んで降りるのも面倒なので転移で移動する。
青い光に包まれ、転移した。
「……転移か、チートかよ」
「お前が言うなお前が!」
秀吉は無傷で立っていた。どうやって助かったんだよ、思いっきりぶつかってただろ。
「あれはなんだ」
「あれって?」
「高く飛んだり、空中でジャンプしたり、高速で落ちて助かったり、能力の全部だ。というか、お前の能力はなんだ?」
「力」
今なんて言った、力、ちからだと?
聞き間違いかもしれない、もう一度聞いておこう。
「なんて?」
「力だ」
力、単純な力だけということだろうか。ありえない……でももし、規格外の力だとしたら、全部説明がつく。
高く飛んだのは脚力、空中ジャンプは空気を蹴ってジャンプ。高速で落ちたのはパンチで空気を殴ったのだろう、着地は地面付近を殴って減速。
信じられないが、そうだとしたらこのクレーターも納得がいく。ただ落ちただけならこんなクレーターはできない。
まあなんだ、要するに。
「化け物か」
「もういいだろう、わしはもう行くぞ」
わしって……そういやクラスに変な一人称の奴いたな、お前だったのか。ごん。いやごんぎつねは関係ない。
「もうひとつ、今まで攻撃をしてなかったのはなんでだ?」
「効かなかったからだ、定期的に石を飛ばして確認していた、魔力が減れば攻撃が通るかもしれないと思ってな」
「そうか」
ある意味、一番不利で一番有利だったのだろう。攻撃さえ通れば、こいつは最強なのだから。
秀吉は再び飛んだ。空中で空気を蹴って移動しながら攻撃する秀吉を見る。今見てもありえない動きだ。
「行くか」
剣に残り少ない魔力を注ぎ、俺も空を飛んだ。
あと少しで、すべて終わる。




