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魔物大量発生

 魔力での攻撃でしか効果がないことを伝えた俺は、合流したメビウス軍とセブンスタ軍を引き連れて大魔王の元へと進軍し始めた。


「ジイイオオオオルドオオオオオオオォォォ!!!」

「なんだ!?」


 大魔王が叫ぶ、すると、大魔王の周りに魔法陣が展開された。その魔方陣の周りにさらに小さな魔法陣が規則性のない配置で次々に現れる。

 魔法陣が上下に動き、何かが現れた。あれは……魔物!


「大魔王が魔物を召喚した! 俺は大魔王を叩く! 他は魔物を倒せ! 余裕ができたら大魔王にも攻撃しろ!」


 命令をした俺は空を飛びながら大魔王の元へ移動する。あれだけ大きいなら、ゴーレムを倒した時と同じ魔法で……!


 光の槍を作り、水を纏わせる。とびきり濃い魔力だ。

 巨大な槍になったそれを、大魔王の中心目掛けて投げる。


「ミスト……ボルグ!」


 魔力量が増えたことにより、霧がなくてもミストゴーレムの時と同じくらいの大きさの槍を作ることが出来た。

 大魔王の体に、大きな風穴が空いた。ジジッと体の周りの魔力が薄くなったように見えたが、すぐに元に戻る。風穴も、魔力も。


「ジ……オ……ドオオオオオオオオオオ!」

「なにっ!?」


 飛んでいる俺に向かって大魔王が岩を投げてくる。ありえない速さで迫ってくる岩をノワールで切り裂き、魔袋に手を伸ばす。


「出番だお前ら!」


 魔袋に入った手に力を入れ、念動力を使って武器を取り出す。出てきた剣や斧、盾が宙に浮きながら大魔王を見た。


「旦那、あれを倒せばいいんだな?」

「グラム、あいつは魔法じゃないと——」

「大丈夫、魔袋の中で、聞いてた」

「なら話が早い。やるぞ」


 武器たちが一斉に大魔王に向かって突進をした。

 ある杖は距離をとって魔法で攻撃し、ある武器は剣に魔力を宿しながら攻撃した。


「休むな! 叩け!」


 元に戻ろうとする大魔王に魔法を当て続ける、まだ足りない、削りきれない。


「ユウト!」

「ミント、動きを封じてくれ!」

「わかった!」


 魔物を倒し、大魔王の目の前まで近づいてきたミントが植物で大魔王の手足を縛り、動きを止めた。


「ジオオオオオオオオオォォォ!!」


 大魔王は叫びながらぐぐぐっと体をこわばらせ、植物を一気に引きちぎった。

 そして、新たな魔法陣が浮かぶ。また召喚かよ!


「ギィィィ!」

「ゴゴゴゴゴ」


 ゴブリンやゴーレムなどの魔物が次々に現れる。面倒だ、俺が倒してしまおうかと思った次の瞬間、背後から声が聞こえた。


「ユウトくん! ミント! 伏せるんだ!」

「お父さんぐっ!?」

「伏せろ!」


 ミントの頭をつかみ、地面スレスレのところで止める。顔だけ上げて様子を見ると、クダミさんが大きなビンを魔物の集団に向けて投げているのが見えた。

 そしてそのビンが落下する前に、ナイフを投げた。


 シュッと飛んでいったナイフがビンに刺さる。ピシッとビンが割れ、中の液体が漏れたのが見えた瞬間、そのビンは爆発した。


「なんだ、そりゃ……」

「液体爆薬だよ、大魔王にも当たったみたいだね」


 煙が消え、爆破跡が見えるようになる。そこには生えていた草が焼け、茶色い地面が広がっていた。何も残っていない、反対側にいる魔物までは倒せていないが、こちら側の魔物の殆どを一発で消し飛ばしたのだ。


「まだダメか……」


 大魔王の魔力は、先程の爆発でかなり減っているが、また元に戻り始めている。早く次の攻撃をしなければ。


「よいしょー!」

「はぁぁ!」


 高い声が聞こえた。大魔王の体にピンクと水色の魔力弾が大量に命中する。あの魔力弾の色は、イアとブルーか。


「イア! 避けろ!」


 大魔王がイアに向かってパンチをした。

 イアは咄嗟にブルーを背中に乗せて空を飛んだ。

 地面をパンチした大魔王は、再び召喚の準備を始めた。周りに魔法陣が作られていく。


「イアたちは空から地味に攻撃します!」

「ユウトさんも頑張ってくださいね!」


 ふわふわと飛びながら普通じゃありえない数の魔力弾を飛ばすイアとブルー。ピンクと水色の魔力弾が重なり、ビームのようにも見える。


「ミント! また大魔王の動きを封じてくれ!」

「うん!」


 ミントが植物を動かしている間に、俺は腕に電気を走らせる。イカの時は一瞬で終わったけど、今度はどうかな。


「まだだ、まだ貯められる。あと十、いや二十秒なら……!」


 邪魔をされない今なら、最大火力で魔法を撃つことができる。ただし、時間がかかる。

 しばらく動けないな。この大きさの魔法だと、同時に別の魔法を使うことができない。魔法を混ぜることならできるが、この魔法に合う魔法はない。


「あと五秒……」


 脳内でカウントダウンを始める。腕の周りでバチバチと電気が漏れ始めた。


 魔法を当てられ動きが鈍っている大魔王は、植物で縛られさらに動けなくなっている。

 ふと足元を見た、何かいる。あれは兵士か……? いや、あれは……


「ゴブリン!? まだ残ってたのかよ!」


 もう全て魔物は倒したと思っていたのに、どうする、誰も気づいていない、今からじゃ間に合わないし、魔法を止めることもできない。


 ゴブリンが俺に向かって走ってくる。魔法を撃つ前に、手に持っている短剣で斬られてしまう。

 どうする……? どうする! 首を切られたら即死だぞ!

 どうせ間に合わないんだ、痛みに耐えて、この魔法を撃つしかない。

 俺は大魔王の体に向けて腕を出し、次にくる激痛に備えて目を閉じた。


「ギィ!?」


 痛みが——ない。

 何故、と思っているあいだにチャージが完了していた。

 恐る恐る目を開け、音のした方を見る。白髪の少女が短剣でゴブリンの心臓を貫いていた。


「おまたせ」

「……ムーンか」


 なんでここにいる、という質問は後にしよう、今はこの魔法を大魔王に当てることだけ考えればいい。


「最大火力のサンダーだ! 耐えてみやがれ! ……サンッダァァァーーーーーーッ!!!」


 雷の柱が大魔王の体にぶつかる。前に撃った時とは比べ物にならないくらい太さ。魔力が抜けていく感覚。


「ジオオオオオオオオルドオオォォォォ!!!」

「ぐぁっ……だぁぁぁぁ!!」


 物凄い勢いで魔力が減っていく。俺も、大魔王も。しかしこのままでは、こちらが先に枯渇してしまう、ここで切って、みんなに任せるか。

 サンダーを止め、一旦下がる、入れ替わるようにして、SSランクのメンバーが前線に出た。


「ムーン、どうやってここに来た?」

「荷物の中」

「一緒に転移されたってことかよ……なんでみんなは黙ってたんだ?」

「バレたらユウト城に返す」

「そりゃあお姫様だからな……」


 これから先もマールボロにはお世話になるんだ、もしもの事があったら困る。


「おーいユウトー!」

「お疲れミント、クダミさんと師匠はどうした?」

「二人は向こう側の魔物を倒しに行ったよ。それよりなんでムーンちゃんが……」


 息を切らしながらムーンを見るミント。二人揃って気づかなかったらしい。


「実はよ、最初から来てたらしいんだ。俺も全く気づかなかった。戦ってくれるのは嬉しいんだが危ない目に遭わせるわけには……」

「ユウト助けた」

「うぐっ、いやそれは……まあ、そうだな。よし、怪我しないように気をつけろよ」

「任せて」


 助けてもらったのは事実だ、もうどうにでもなれってんだ。王様には悪いけど。


「さて、ここからどうするか……」


 大魔王には、SSランクの四人が相手している。

 あと一人、秀吉匠だっけか。あいつはどこだ。

 SSランクの四人の周りを見ても、見つからない、後でいいか。それより次の攻撃の準備をしなければ。


 俺は新たに展開される魔法陣の光を見ながら、大魔王目掛けて走った。

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