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大魔王ルヴァンシュ

 顔を上げ、みんなの顔を見ると、ぽかんとした表情で固まっていた。


「よく、わからないけど。すごい、大変な思いをしたんだね……私たちより何十倍の」

「……そりゃ、性格も変わるし、城の地下で会った時から違和感あったし」


 完璧に演じていたつもりだったが、違和感あったのか。まあ完全再現なんて無理だからな、よく覚えてないし。


「みんなは、どうするの?」


 ミントが間に入ってきて声をかけた。そう、それが一番の問題である。


「まあ、ここまできたんだし、最後までついて行くし!」

「僕も」


 私も私もと、藤沢や風間も同調する。その言葉に、先生の表情がぱあっと明るくなった。


「よかったですね! 神裂くん!」

「ええ、本当に。ありがとう、みんな!」


 俺がそういうと、みんなが微笑んだ。

 深呼吸をし、辺りを見回す。他の軍は、まだ来ていないか。

 とりあえず休憩の提案をしようとしたが、塔からの強い魔力を感じ、言葉をしまった。


「ユート、なんか、変だよ」

「……塔か」


 大魔王が、何かをしたのだろう。一瞬で塔から感じる魔力が上がった。


「みんなはここで待っててくれ。俺と魔王で偵察してくるから」

「でも……」

「俺には転移魔法がある。危なくなったら逃げるから安心しろ」


 ぽんとミントの頭に手を乗せ、くしゃくしゃと撫でる。


「うわっ!? もう……気をつけてね」

「はいはい」


 ミントの頭から手を離し、魔袋からアイアスの盾を取り出す。

 もう隠さなくてよいのだ、存分に使おう。


「人使いが荒いなぁ」


 人じゃないだろとツッコミたくなったが、ぐっと我慢。無視だ無視。


「ユート、結界壊すの手伝って」


 魔王に声をかけられ、塔の入口まで歩く。

 目には見えないが、確かに扉に結果が張られている。全然開かない。

 というか左右の扉に別々の結界が張られてるな、同時に壊さなきゃ開かないってやつだろう。


「同時に魔力流し込んでね」

「おう」


 扉に触り、息を整える。


「せーのっ!」

「「はぁ!」」


 魔力を流すと、結界が砕けて魔力へ変わった。魔力は空気に消えていった。

 すると、嘘のように扉が軽く動く。片手に体重をかけていたので、少しよろめいてしまった。


「大魔王は、どこかな」

「ここがデビルホーンの塔か……」


 塔の中は、意外と広い。中心にあるデビルホーンを囲うようにして建てられたので、デビルホーンの観察ができるように広くなっているようだ。


「遅かったな、魔王よ」


 上から声が聞こえた。見上げると、紫色の肌に、銀色の髪の毛、大きな角を生やした魔族が柵に座り、足を組んでいた。

  ペンダントや指輪などの装飾もつけている、上位魔族か……?


「お前が! 大魔王……なんとか」

「大魔王ルヴァンシュだ。呑気な人間だ、この俺の名を忘れるなど」


 ああそうそう、ルヴァンシュね。おけ把握。

 で、そのルヴァなんとかさんはなんで高いところから俺たちを見下ろしてるんですかね。


「何が大魔王だ! 魔族の王はボク一人だよ!」

「ああそうだ、王は一人。ならお前を殺せばいい。そうすれば俺が王だ」


 王が一人なら確かにいなくなれば誰かが王になるわな。まて、魔王には跡継ぎはいるのか?


「魔族はお前のことをよく思っていないみたいだけど、そこん所はどうお考えで?」

「どうせ俺が征服するのだ、いずれ従うことになる。……魔王よ、この男はなんだ」

「ユート」


 やめろその紹介。


「先代魔王を倒したユウトだ、知らないってことはないだろ?」

「ああ、あの850年前に消えた英雄か……実力は知っている。確か、光る剣を持っていたな」

「残念、お兄さん随分古い情報仕入れてるね」


 俺はノワールを取り出し、大魔王に見せる。


「まあいい、一つ提案がある。魔王、俺の味方につかないか?」

「断る!」

「……だろうな。それにしても残念だ、もう少し早く来れば、俺を倒せたかもしれないのに」


 大魔王はそう言うと、かつかつと足音を立てながら階段を下りてくる。

 攻撃しようか迷ったが、まだ偵察、アイアスの盾の能力が間に合う一定の距離を保つ。


「そういえば、貴様らは俺の準備が整ってから入ってきたな? 大きな魔力を感じた、とかだろう?」


 バレている、いや、それよりも。俺の準備が整う、とはどういう意味だろうか。


「これを使ったらどうなるのかは自分でもわからない。だが、目が覚めた時にはきっと、一面が更地になっているはずだ」

「魔王、俺の後ろに下がれ」


 腕で魔王が前に出ないように気をつけながら、大魔王の出方を見る。


「これが貴様らとの最後の会話になるだろう。俺は力を手にする、誰も辿り着けない、高みへ!」


 大魔王はデビルホーンに魔力を注ぎ出した。何をしているのかわからず、手元を見ると、大魔王の手がデビルホーンに埋まっていた。


「体が、デビルホーンの中に……」

「魔力の相性が良ければ魔力結晶を直に体に入れて魔力に変えることができる、それは知っているけど、まさかデビルホーンと相性のいい魔族がいるなんて……」


 もう大魔王の体は半分がデビルホーンの中に入ってしまっている。


「これだ……この魔力……これこそが俺が求めていた力だ……! 全ての人間に絶望を……! 魔族に戦いを!」


 大魔王の目的は、デビルホーンの魔力を取り込むため……だが、あれほどの魔力が体に収まるとは思えない。

 ついに、大魔王の体が完全にデビルホーンに取り込まれた。それと同時に、大魔王の赤いペンダントが光ったのが見えた。


「……! アイアス!」

「了解!」


 俺は咄嗟にアイアスの能力を使い、マジックシールドで自分と魔王を包み込んだ。

 少し目を離した隙に、デビルホーン全体が光りだした。その光はどんどん強くなり、ついに直視できないほどの閃光に変わる。


 次の瞬間、デビルホーンが爆散した。

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