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遠征開始

 城に戻った俺たちは、それぞれの準備を済ませ、自室に戻った。


「もう寝るの?」

「明日早いからな、あと、眠いし」


 その後、覚醒してから支給された高級な剣や杖を壁にかけ、明日の遠征に向けて眠りについたのだった。


 翌朝、四時頃に起床した俺は、まだ薄暗い空の下、各国を飛び回り、ピースの軍勢はボヘームの街に、それ以外の国は魔の森の休憩所付近に、転移させた。

 シロの魔力が加わったからか、複数回の転移で受ける負担が少なく感じた。


 部屋に戻ってくる頃には、空は明るくなり、クラスメイトたちも起き始めていた。

 眠い目を擦りながら、リビアルの言葉を聞く。


「これより、魔大陸への遠征を行う。だが、少々予定を変更させてもらう。目的地だが、元々は五日間で大魔王を見つけられなければ城に戻ってくる予定であった。が、大魔王の居場所がわかった」

「大魔王の居場所?」

「場所は『デビルホーンの塔』魔大陸の中央にある塔だ。実は昨日こんな手紙が届いてな、大魔王の手下のノワールからの手紙だ。そこに、デビルホーンの塔にて待つと、書かれていた」


 俺の書いた手紙を服の内側から取り出し、ヒラヒラとクラスメイトに見せる。

 それを聞いたクラスメイトはざわざわと小声で話を始めた。

 頑張って書いたんだぞ、もうちょっと丁寧に扱え。丁寧丁寧丁寧にな。


「静かにしろ、とにかく、大魔王の居場所がわかった以上、大魔王と戦闘になるのはまず間違いないと考えておけ。そして、五日間ではなく、大魔王を倒すまでだ。圧倒的な力の差があった場合は素早く撤収、十分に戦える場合は続行だ。いいな?」


 クラスメイトからはいっという元気のいい言葉が出る。完全に軍人だな。いいのかお前ら、こいつお前らを殺そうとしてたんだぞ。


「それでは出発しよう、皆馬車に乗り込め」


 こうして魔大陸を目指す俺たちは、しばらく馬車に揺られて移動することになった。

 これが最初で、最後の遠征だ。ここで大魔王を倒せば、それで全てが終わる。


* * *


 ここからはまた班に分かれて行動だ。他のチームは脱落者などの影響で組む相手が変わっているが、俺たちは変わらない。なんたって全員覚醒したのだから。


 班行動とはいえ、近くに別の班もいる。お互いが視認できる範囲で、森を進んでいく。


「全員生きて帰れたらいいね……森を抜けてから、一旦集合だっけ?」

「ああ、こっちは相良のおかげで味方の位置を把握できてるし、迷うことはないだろ。あと、仲間は死なせない」


 まあ、仲間なら、だが。


 その後も、次々に魔物を倒し、奥へ奥へ。

 木々の色も濃くなり、さらに薄暗くなる。魔の森は、その名に恥じぬ不気味さを醸し出していた。

 そんなことより驚いたのは、仲間の強さだ。藤沢の作った斬撃に、風間が能力で魔物を飛ばし、当てる。これでかなりの傷を負わせることができる。

 先生の治癒能力を使う暇もなく、敵を圧倒してしまうのだ。


「ナイス! 文乃ちゃん!」

「うん! 南ちゃんもよかったよ!」


 藤沢が笑顔で風間と話をしている。ここ数日でかなり仲が良くなっているようだ。

 今まで暗かった彼女も、風間や井ノ原に打ち解けている。仲の良さはチームワークにも影響してくるので、俺も数日会話を頑張った。


「相良、魔物はいるか」

「今のところは見えないよ」

「よし、少し急ぐぞ」


 剣を鞘に入れ、小走りで先に進む。走りすぎると、疲れがきてしまうので、一定のペースを保つ。


 ザンたちは今どこにいるのだろうか、朝一で出発すると言っていたので、俺たちよりも前にいるのは確かだ。

 それに、セブンスタだって前にいる。俺たちはそれを追いかけ、少しずつデビルホーンを目指す。


 その後は、ひたすら走った。目の前に現れた魔物のみを倒し、ひたすら真っ直ぐ。直進した。真っ直ぐなアライグマのように、マッスグのクマのように。

 マッスグ……これ以上はやめよう。


「はぁ……はぁ……ねえ、馬での移動はダメなの!?」

「無理だ、魔物に馬を殺されたら動けなくなる」

「そ、そう……」


 遠くで何かが光った。他の班が戦闘をしているのだろう。


「早く着けばそれだけ休めるぞ、頑張れみんな」

「それだけ疲れるよね、それ」


 ミントと軽く会話をしながら、ほとんど先が見えない森を進んでいく。俺とミントは暗視魔法を使っているので見えているが。

 仲間に暗視魔法を使わないのは他の班との会話になった時に矛盾するからだ。え、暗くなかったよ? とか言われたらたまらない。


「魔物だ!」

「任せなー」


 相良が横から襲ってくる魔物を見つける。ゴブリンだ。

 それを見た井ノ原が、後ろから追ってくる魔物を引き付け、紫色の弾をバラまいた。

 そして、その紫色の弾は、魔物の群れの中心に落ちた瞬間に、爆発した。

 紫色の爆煙を上げる場所には、先程まで元気に走っていたゴブリンが傷一つない体のまま地面に倒れ、ピクピクと痙攣していた。

 毒爆弾か、それも自分で爆破のタイミングを変えられるタイプの爆弾だ。


「すごいです、井ノ原さん!」

「ふふふ、ポイズングレネードだよ」


 恐ろしいな、魔力が上がっただけであんなことまで出来るのか。

 前までは水風船のように投げて、当たってやっと毒の効果が出てたのに。


 数十分後、森を抜け、ダークグリーンの草原へ出た。

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