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師匠一同

 シロが俺の中に住み着き、一人でも騒がしくなってしまった俺だったが、そんなことはお構い無し、計画通りに南魔大陸へ向かう。

 確実に寝不足だ、自由な時間が少なすぎる。こんなので大魔王と戦えるのだろうか。


『デュランダルとガラディンの師匠に会いに行くんだろ? 南魔大陸か、確かあそこって南大陸だったよな?』

『魔族を受け入れたから名前を変えたんだとよ、そのせいで魔大陸の北にあるのに南魔大陸って変な名前になってる』

『へぇ』


 知らない人が聞いたら北魔大陸じゃん! という感想が出てくるのは確実だろう。ありえないと思うが、北大陸と魔大陸が手を組んだら北魔大陸になるはずだ。


 今日も部屋を抜け出し、外に出て転移をする。

 転移先は時計塔。冒険者制度を考えている期間に、何回か来たことがある。

 その時、ザンの師匠に会ったのだが……なんというか、大きかった。

 大きい種類の魔族もいる。それはわかるが、人型で、あそこまで大きく禍々しい見た目だと、さすがにビビる。


 中に入ると、いつものじいさんが椅子に座りながら本を読んでいた。

 夜中なのによくやるよな、管理人って大変そう。


「おお、ユウトさんじゃの、修練場に用があるのかの?」

「事情があってな」


 そう言うと、じいさんは椅子から立ち上がり、その椅子を横にずらした。

 そして、石版を別の床の下に滑り込ませた。


『なんだありゃ、かっこいいな』


 シロはへーとかほーとか言っている。正直うるさい。ミュートにできないのこいつ。

 穴に飛び込み、着地の瞬間に風魔法で空気のクッションを作る。

 ふわっと体が一瞬浮き、スタッと着地した。


「ゴピの部屋は……と、ここか」


 あの金豚は入口から近い部屋を使っている。小さい体からは想像もつかないような魔力の持ち主のため、ここからでもかなり魔力を感じる。


「ユウトではないか! ……ユウトだよな? なんだその髪は!」

「騒がしいな、ちゃんとユウトだよ」


 みんな髪の毛気にするんだな。別に俺は気にして欲しくないんだけど。あれかな、女子が髪切ったのを必ず気づかないといけない、みたいな。

 または短くしすぎた男子が周りのやつにからかわれる、みたいな。


『金の豚が喋ってら、あれ本当に強いのか?』

『イアより強い』


 師匠と言うだけあって、イア以上の実力を持っている。前に見せてもらったが、魔法が大きすぎて本人が見えなくなってしまうほどだった。わかりにくいね。


「して、何用だ? こんな夜中に」

「とりあえず二人一緒に説明したいからさ、ドグラマのいる場所まで行こう」


 ザンの師匠であるドグラマは、赤黒い肌に、三メートルはあろうかという巨体の巨人族だ。

 見た目が禍々しすぎてお前の方が魔王にふさわしいんじゃないかと思うほどだ。


「あいつは考えることをしないぞ、いいのか?」

「説明だけだから」


 ザンとよく似て脳味噌が筋肉でできているため、人の話を聞かない。

 戦闘では、脳筋のため攻撃は避けない。全て受け止めて反撃をする戦法だ。初代のプリティーでキュアッキュアな人たちレベルの肉弾戦。


『ぐ、ぐぐ……あぁ……ダメだ』

『何してんだお前』

『お前の体を動かせるか試してる』

『やめて』


 そこまで行ったら完璧な乗っ取りじゃないか。というか、今エクスカリバー無いし、魔法も全然違うからそもそもシロは上手く戦えないと思う。


「ついたか」


 そんなことをしている間にドグラマの部屋に到着。地下に降りてさらに階段を降りた先にある金属のドアの部屋がドグラマの部屋だ。

 なぜそこまで下に行こうとするのかを聞いたことがあった。答えは地震が起こって怒られるから、らしい。力強すぎだろ。


「ユウトォ……ヨクキタナァ……」


 相変わらず大きい。

 目が怖い、赤黒い肌に突然青く光る目がこちらを見下ろしている。

 そして体に響くくらい低い声でゆっくり喋るせいで、迫力が三倍増しだ。


「どうも、聞きたいんだけどさ、お前ら二人以外に強いやつっているか?」

「私たちには及ばないが、街を守るボヘーム騎士団は実力者揃いだ!」

「アイツラハ、ツヨイゾォ……」


 騎士団か、魔物が現れるようになってから、仕事が増えたんだろうな。


「そうか。それで、本題なんだが、明後日、セブンスタ、ピース、メビウス、マールボロの四ヶ国が大魔王討伐に向かう」

「なにっ!? そんなに多くの国、というか全ての国が大魔王を倒しに行くのか!」

「フツカゴォ……」


 語尾が抜けるような喋り方なのに、耳に残るこの声はなんなのだろうか。


「そこで、お前らに、もし良ければその騎士団にも大魔王討伐に参加してほしいんだ」

「ふむ……私としても大魔王は見過ごせない悪だ。それだけの国が集まるチャンスは二度とないだろう。是非参加させてくれ。騎士団には私から言っておこう」

「オレモ、ダイマオウヲタオスゥ……」


 なんて頼もしい。そうなると、ボヘーム組はピースの兵隊と同時に出発することになるのか。


「ありがとう、場所は『デビルホーンの塔』だ。魔王からの情報だから、まず間違いないだろう」


 ピースの兵隊には、当日教えることになる。


「デビルホーンか、って魔王様だと!? お前、魔王様に会ったというのか!」

「魔王もそこに向かうから、会えるぞ」

「くうぅ……! あの魔王様に会えるのか! なんて素晴らしい!」

「マオウサマガ、イルノカァ……」


 なんだ、ゴピは魔王のファンか何かか?

 魔族にとって、魔王は憧れの存在なのかもしれない。


「嬉しそうだな」

「当然だ! 聞いた話によると、魔王様は人間との関係を深めたいと思っているらしいのだ! ボヘームの街は人間と魔族の共存に成功した街。あの魔王様が我々と同じ考えだと知ってから、皆意識しているのだ!」

「ダ」


 こんな遠い場所にある街の魔族ですら知っているのに、部下の悪魔が知らなくて村を襲うとか意味がわからないな。あの悪魔たちの情報どうなってんだ。


「ああそうそう、ピースの兵隊が南魔大陸から出発するから、一緒にとは言わないから、そいつらが道を間違えないように見ててくれないか?」

「別に一緒に行ってもよいのだがな……よしわかった」


 これで、ボヘームですることは終わったかな。

 もう帰るか、いや待て、どうせだからマールボロ城に向かおうか。


「おし、じゃあもう行くわ。頼んだぜ」

「二日後にな!」

「マタナァ……」


 行き先をマールボロ城にして、俺は転移魔法を使う。青い光がシュンシュンと出てくる、その光は体中に走り、俺の体を霞ませた。

 さて、王様と話し合いでもしますか。

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