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脱落者と協力者

 食事も終わり、一息ついたところで、リビアルが食堂に入ってくる。まだ昼じゃないぞ。


「えー、お前らに知らせがある。Bランクの明石、今村、内田、枝野、岡本の五人がこの計画から外れることになった。今後一緒に戦うことはないだろうから、覚えておくように」

「え!?」


 計画から外れる? おいおい、そんなのできるならみんな外れて好き勝手やっちまうぞ。


「な、なら俺も辞めたいんだけど」

「……私も」


 試練を失敗したメンバーがぞろぞろと出てくる。そりゃそうだ、戦わなくて済むんだから。


「いいのか? ここから外れたら、奴隷として過ごすことになるぞ」

「な、なに!?」

「抜けた五人は奴隷になったんだよ」

「どういうことだ、リビアル!」


 隣に座っていた笹谷が立ち上がりリビアルの前に立つ。


「どうもこうもない、あいつらは進んで奴隷になった、それだけの事だ」

「進んで……?」

「ああそうだ、このまま冒険者を続けるか、奴隷となって働かされるか選べって言ってやったら、即答だ。つまらん奴らよ」

「……くそっ!」


 笹谷は苦虫を噛み潰したような顔をしてリビアルに背を向けた。


「お前らも、ここから出て奴隷として働かされる方を選ぶというのなら、私は止めない、好きに選ぶといい」


 十人、消えた。その全員が未覚醒者だった。

 覚醒者二十人、未覚醒者五人の全二十五人が、その場に残り、昼の訓練を受けた。

 しばらくは能力や大幅に増えた魔力に慣れ、扱えるように訓練するらしい。


* * *


 訓練を続けること二日。今俺は昼休憩の合間に西大陸の王の前に来ている。

 なぜ今西大陸に来ているのかというと、今朝、リビアルが食堂で言った言葉が理由だ。

 「三日後、一気に魔大陸を攻める。状況次第で、そのまま大魔王討伐まで達成させる」と。

 俺としてもこの遠征で大魔王を見つけ出し、倒したいと思っているので、他の国も巻き込んで戦力を上げようという作戦だ。


「それで、貴様は我らセブンスタ兵を大魔王討伐に向かわせたいと?」

「ええ、三日後です。その日メビウスの異世界人の軍団が魔大陸を攻めます」


 久しぶりに貴様って聞いたよ。リビアルも言ってたっけ、忘れたわ。


「三日後……しかし、今から出発しても間に合わんぞ」

「そこは大丈夫です、その日の朝、俺が全員を魔大陸へ転移させます」

「転移、霧を吹き飛ばした時に使った魔法だな?」


 そういえばそんなこともしたな、霧を払うために上空まで転移して風で吹き飛ばしたんだっけ。


「そうです、なので三日後の朝、兵士の準備を済ませた状態で待機していてください」

「貴様の頼みだからな、断れんよ。それをわかっていて申したのだろう?」

「ええまあ」


 ふっ、とお互いに鼻で笑った。よし、これでセブンスタが戦力になった。

 この国は少数精鋭だったはず、例の霧のせいもあって若い兵士が少ないのだ。おっさんず最強。

 さて、次は東大陸か。


「では、失礼します」


 転移魔法を使い、東大陸のピース城へ転移する。


「……英雄、か」


 セブンスタ王が小さく呟いたのが聞こえた。この世界では英雄であっても、俺が別の世界で多くの命を奪ってきたのは変わらないんだぜ。

 そっと目を閉じ、青い光に飲まれた。


* * *


 やってきました東大陸。突然目の前に現れた俺にピース王は目を丸くしながら頬杖をついて固まっていた。


「ども」

「なんだ、お主か」


 俺以外に誰が来るってんだ。転移魔法使える人間なんて俺しかいないぞ。


「わざわざ来たからには何かあるのだろう? 申してみよ」

「実はですね——」


 俺はピース王にセブンスタ王に説明した内容と同じことを端的に説明した。


「ふむ、だが私は他の国と共闘するのは好まないな、大魔王戦ならばいいが、それまでを共に行動するのは回避できないか?」


 そうだった、この人は手を組まない主義だった。

 それでも大魔王戦ならば共闘しても良いというところは、流石に大魔王に思うところがあるのだろう。


「それですと……南魔大陸側からの探索というのはどうでしょうか? 当日までに大魔王のいるある程度の場所を突き止めるので、そこを目指して合流ということで」

「それならいいが、本当に大魔王の居場所を探し出せるのか?」

「ええ、必ず」


 言っちゃったけど、なんとかなるさ。魔王と力を合わせれば居場所くらいは余裕でわかる。


「……お前ならやりそうだな、よし、三日後待っておるぞ」

「ありがとうございます、では」

「おい、ちょっと待ってくれ」


 え、なに。今かっこよく転移魔法で去ろうとしたのに。


「大魔王戦が終わったら、その、また皆で宴をしないか? 久しぶりにムーンとも話がしたい」

「わかりましたよ、やりましょう」

「本当か! それではな!」


 捨て台詞を吐けなかった。

 まあこれはこれでいいだろう。


 転移魔法を使い、メビウス城に戻る。急がないと昼休憩が終わってしまう。

 長い訓練をすると思うと憂鬱な気分になるが、皆がどんどん強くなっているのを見ると、やはり必要なことなんだなと実感する。

 あと三日か、今日の夜には魔王に会いに行き、明日の朝にマールボロの拠点へ向かおう。

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