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覚醒翌日

 朝が来た、朝食を食べるために食堂へ向かうと、見慣れた黒髪ではなく、皆それぞれの魔力色の髪色に変わっていた。

 でもなんか俺だけ違う。なんでだ。


 食堂を見回すと、先生や相良、藤沢などのメンバーが見えた。その他にも全員が揃って……ないな、五人足りない。隣の部屋のあいうえお組だ。だが隣の部屋には人がいなかったはず。一体どこに?

 考えても仕方ないか。


「はぁ、美味しい……。もう黒パンには戻れないし」

「Sランク最高!」


 ギャル組が朝食でテンションが上がっている。それもそのはず、BランクからSランクに変わったことにより食事が黒パンから豪華な食事へ変わったのだから。

 というか、Aランクで覚醒できなかったやつの目がやばい。睨みもそうだが、なんと言ってもクマがやばい。パンダみてぇだ、もしかして覚醒して魔力色が目に出ちゃった? 流石にないか、プークスクス。


「おっさん、飯」

「んん? お! 坊主じゃねぇか! お前も昇格したんだなぁ、ほれ、持ってけ」


 おっさんから井ノ原たちが食っていた料理を受け取る。途中で食事をしていた笹谷も同じ料理だったな、SSランクとSランクの食事は同じなのか。

 それにしてもあいつらがSSランクねぇ、相良が覚醒した後、五人が淡々と覚醒していくのは正直ビビった。

 やばいぞ、強さ的にはザンやイアに追いつくレベルだ。


「あんがと」

「初めて会った時から、俺はお前がやる時はやる男だって見抜いてたんだ!」

「言ってろ」


 さーて、飯を食うか。ミントも飯受け取ったし、二人で並んで座ろう。

 二人分の空きスペースは……ない、なんでさ。


「ここ座りたいんだけど」

「座れば? 空いてるだろ」

「いや、二人で一緒に食べるからさ、ひとつズレてくれるだけでいいんだ、頼むよ」

「嫌だね」


 カッチーン、なんだなんだ、嫌がらせか? てか、なにこの配置、長テーブルに一人分間隔をあけながら座ってやがるぞ。映画に来たカップルの邪魔をするやつみたいだなおい。

 誰がカップルだこら。


「お前さぁ、この前までCランクだっただろうが、覚醒がなんだか知らねぇけど、うぜぇんだよ、大人しく別々に座れよ」

「ミント、向こうで食おう」

「うん」

「あっ、おい逃げんのか?」

「お前らと食べるだけで美味い料理が不味くなっちまうからな」


 後ろでおっさんの「味は変わらねぇよ!」という声が聞こえたが、熱くスルーしよう。別に人を引き付けたりしない。


「このっ……!」


 殴りかかってこようとする男を隣の男が止める。動けるじゃねぇか、そこに座ろうとは思わないけど。


「笹谷、隣いいか?」

「神裂くんか……ああもちろん、そのかわり、世間話でもしないか?」

「いいぞ、ミント、隣」


 笹谷が一人分ズレる。端の方なので、少し広めに座っていたらしい。

 笹谷、俺、ミントの順に座り、貰った料理を置く。


「びっくりしたよ、まさかBランクの七人が覚醒するなんて。最初にあの試練を聞いた時はどうなることかと思ったけど……」

「俺も同じ部屋の人が全員覚醒したのは驚いたよ」

「俺もだよ、正直に言うと、Bランクはみんな試練を達成できないと思ってたんだ。そしたら、大丈夫だろうと思っていたAランクから沢山の失敗者が出て、半分の生徒が、トラウマを抱えることになってしまった」


 本気で気にしているな、別にどうでもいいだろ、負けたヤツは。

 この世界に転移させられた時点で、飛び抜けた運か才能がないと、生きていけないんだから、切り捨てる行為は大事だぜ。


「ミントさんも、話には聞いたけど、凄く強いらしいじゃないか」

「そ、そうかな……んー、うん、私は強いよー」

「調子乗るな」

「あうっ」


 最初は遠慮してたっぽいのに後半調子に乗り始めたので軽くデコピンをしてやる。

 飛び抜けた才能、ミントもその一人だろうな。


「仲がいいんだね」

「お、同じ部屋だからだよ。ね? ね?」

「うんうんそうそう、よく話すだけだから」


 無駄に誤魔化しすぎた気がする。余計に怪しまれるぞ。


「そういえば、なんだか雰囲気変わったよね、神裂くん」


 既に怪しまれてた。ここは先に考えていたそれっぽい理由をコピーアンドペーストだ。


「実はさ、司令役? みたいなのをすることになって、で、命令するんだから口調も変えなきゃってことで心機一転、こんな口調に変えてみた。どう?」

「いいと思うよ、そうか、人に命令するんだからなよなよなんてしてられないよな……」


 笹谷にも思うところがあるらしい。お前は全然なよなよしてないよ、自信持て。


「ああ、あと、この髪の毛、なんで色変わったんだろうね。何か知ってるかい?」

「書物庫にある本に書いてあったんだけど、人によって魔力の色が違うらしいんだ。それが魔力色。これは髪の色と同じなんだ。多分だけど、魔力が急激に増えたことによってその色が出てきたんじゃないかな」


 完璧な返答、ミントも詳しくは知らないようで、へーっと口を開けっ放しにしている。乾くぞ、閉じろ。


「そうだったのか、もしかしてだけど、魔力弾の色もその魔力色と関係があるのかい?」

「魔力弾は魔力色の色になるらしいよ、ミントはこの世界の人間だから魔力色は青緑ってことになる」

「ほぉ、じゃあ俺の魔力色は朱色か」


 笹谷の髪を見ると、薄くオレンジ色になっている。黒目にも影響するので、黒目も薄くオレンジ色だ。

 目は近づかなければわからないレベル。


「あれ? なら神裂くんの魔力色はどっちなんだい?」


 なかやまきんに君みたいに聞かないでくれ。

 くーろっ! って答えそうになったぞ。


「魔力弾が黒だから魔力色は黒のはずだよ、なんで白髪になったのかはわからないけど」


 自分でもわからない、こうすれば相手も踏み込みづらくなる。中途半端に誤魔化したら気になってしまう。俺だって気になる。


 その後も雑談をしながら、食事をした。

 Bランクの五人が食堂にいないことの話題は、お互いに出さなかった。

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