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第4話 ドリームキャッスル (2) + α



広崎愛莉と入れ替わった『それ』が拷問部屋に入るや否や、突然桐谷将吾を拷問椅子に拘束し、拷問し始めた。

だが、その入れ替わりにいち早く違和感を感じた檜山暁人は疑うことなく『それ』に攻撃を仕掛け、交戦中。


そんな中、拷問を受けた桐谷将吾は深手を負い、今にも瀕死の状態であった。




檜山暁人が『それ』と戦ってくれているおかげで、渡瀬ひかりと鈴村直紀は桐谷将吾の拘束を解きに行くことができた。


「桐谷、死なないで……!」


「気をしっかり持て!」


「う……渡瀬……鈴村……」


拘束を解かれた桐谷将吾は渡瀬ひかりと鈴村直紀の肩を借りて、拷問部屋から出ようとする。


「キヒヒッ、桐谷くんダメだよぉ」


しかし、広崎愛莉に化けた『それ』は、不気味に笑いながら余裕そうに歩み寄って来る。

交戦していたはずの檜山暁人は、敗れたのか床にうつ伏せで倒れていた。体が動かないのか、床に倒れたまま『それ』を睨みつけていた。


「あ……きと……」


桐谷将吾は声を振り絞って檜山暁人の名前を呼んだ。

このままでは檜山暁人を一人残すことになってしまうから。

だが、そんなことを考えている余地なんてものは本当はなかったのだ。

広崎愛莉の姿をした『それ』が消えた。

さっきまで余裕そうに桐谷将吾達の後ろを歩いていた『それ』が消えたのだ。


そして、気づいた時には自分の腹には腕が刺さっていたのだ。

広崎愛莉の『それ』の手が。


「がはっ……!」


「もっと色んな拷問試したかったんだけど……まぁ、いっか!」


そして、『それ』は桐谷将吾から腕を抜いた。


桐谷将吾の腹部から大量の血が流れ出る。

それは全身を針のようなもので刺されたところよりも大量に血が出ていた。

桐谷将吾は全身から力が抜けたようにその場に崩れ落ちる。


「桐谷っ!!」


渡瀬ひかりが叫ぶ。

絶望的な顔をして、叫ぶ。



あぁ、そんな顔しないでくれ。

俺はお前の笑った顔が好きなんだ。

情けねぇな俺。好きな子一人笑顔にしてやることすらできねぇなんて……。

でも、せめて最後くらい男見せねぇとカッコつかねぇよな。


「わ……たせ……俺、おま……えの……ことが……す……き…………」


最後まで言い終える前に、『それ』によって首を切断され、桐谷将吾の頭部は地面に転がった。


「え……、いや……いやぁぁぁぁぁ!!桐谷っ!桐谷ー!!」


渡瀬ひかりは泣き叫んだ。

声が枯れるほど叫び続けた。

そして、桐谷将吾の一生はここにて終了を迎えた。



◇◇◇



桐谷が死んだ。

そんなの嫌!

嫌だ、そんなこと信じたくないよ……。


「桐谷ぃ、私まだ返事言ってないじゃない……。返事聞く前に逝ったりしないでよぉ……」


渡瀬ひかりは頭部のない桐谷将吾の遺体を抱き締めながら、泣き続けた。


「キヒヒ、次は誰を拷問に掛けようかなぁ」


『それ』は不気味に笑いながら次の標的を決めようとしていた。


「お、おいっ、渡瀬!ここにいたら危険だぞ!」


「桐谷……」


鈴村直紀の言葉は渡瀬ひかりには届いていなかった。桐谷将吾の死のショックがとてつもなく大きいのだ。


「んー、じゃあ、1番ビビってる鈴村くんかなぁ」


『それ』は次の標的に鈴村直紀を選んだ。


「嘘だろ、冗談じゃない。俺は逃げるぞ!」


鈴村直紀は拷問部屋から勢い良く飛び出して逃げて行った。

それの後に続くかのように『それ』は鈴村直紀を追いかけて行った。


拷問部屋には戦意喪失の渡瀬ひかりと床に倒れたままの檜山暁人の2人だけになった。


もう何でもいい、どうでもいいよ……。

桐谷はもうこの世にいないんだもん。

私も桐谷のこと好きだったのに、それを伝える前に死んじゃって、私はどうすればいいのよ……。


「渡瀬!今のうちに逃げよう!」


そう言ったのは檜山暁人だった。



◇◇◇



俺は昔から幽霊とか怪奇現象とか、そういうものは全く信じて来なかった。

超常現象研究部に入ったのも、怪奇現象なんてものは偶然が重なって出来たに過ぎないものであると証明するためだ。

だが、他のやつらは幽霊だのUFOだのを信じて、怖がるやつがいたり、目を輝かせるやつらしかいなかった。

だけど、意外と俺はこいつらのことを嫌いではなかった。

変わり者ばかりだが、悪いやつは一人もいなかったのだ。



広崎愛莉に成り代わったやつが俺を追いかけてくる。

何故俺なんだ。

俺なんかより今の檜山や渡瀬の方が簡単に殺しやすいだろうに。

誰になんて言われようと構わない。

俺は、生き延びなければならないのだ。

俺は将来、父の会社を継ぐべき人間なのだから。


「キヒヒッ!待ってよ鈴村くん」


不気味な笑みを浮かべながら『それ』は鈴村直紀を頑なに追いかけて来ていた。


「そう言って、待つやつなどいるわけがないだろうが!」


鈴村直紀は『それ』を振り切るように全力で走った。

後ろは見ずに、走って走って、全力を振り絞って走って、辿り着いたそこは、観覧車だった。


な……何故だ。

俺は出口を目指していたはずでは……。

無意識に観覧車に引き寄せられたとでも言うのか?

いや、そんなことある訳が……。


鈴村直紀はそんなことを考えていたら、どこからか、か細い声が聞こえてきた。


「出して……」


「誰だ!」


「出して……、ここから出して……」


鈴村直紀はふと、この遊園地に纏わるウワサを思い出した。


『廃園になった遊園地、人なんか誰もいない筈なのに……

観覧車の近くを通ると声がするらしい。

小さい声で、「出して……」って。』


「い、いや、そんなことあるわけがない。あれは迷信だ」


鈴村直紀はブツブツと自分に言い聞かせるかのように、何度も何度も繰り返し言った。

だが、鈴村直紀は気付いていなかった。

自分が無意識に観覧車に向かって歩いていることを。


「俺は間違ってなんかいない……俺は……俺は……」


鈴村直紀は観覧車の扉を開け、中に入った。

ガチャリと閉まる扉の音など、今の鈴村直紀には聞こえない。

気付いた時には、きっと鈴村直紀も「出して……」と言っていることだろう。






第4話目です!

今回はドリームキャッスルの話の続きです!

+αとして観覧車の話も入っています!

残り僅かですが、読んて頂けると嬉しいです(*^^*)

よろしくお願いします!

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