第1話 メリーゴーラウンド
ーーねぇ、廻るメリーゴーラウンドのウワサって知ってる?
メリーゴーラウンドが勝手に廻っていることがあるらしいよ。
誰も乗っていないのに。
明かりが灯っているのはとても綺麗らしいんだけど、ね。
◇◇◇
裏野ドリームランド。それは数年前に廃園した遊園地である。
廃園する前から数々のウワサが流れ、廃園した後も不気味なウワサが耐えない、そんな遊園地である。
新しく建て直すために業者が取り壊しを行おうとしたが、不気味な事故が多発して取り壊しが中止になったとか、ならなかったとか、そんなウワサも流れている。
そんな遊園地のウワサが本当なのか、興味本位でやって来た超常現象研究部の5人。
肝試し感覚もあってのことか、恐怖感を増すために夜に忍び込むことにした。
「うへぇ、流石に夜の遊園地ともなると不気味だなぁ」
「不気味だからこそ本当に出るんじゃないかってワクワクするよ」
「だな!」
桐谷将吾と檜山暁人は遊園地に忍び込む前から、遊園地の不気味な雰囲気にテンションが上がっていた。
「そこの2人~、置いてくよー」
「あぁ、ごめん!」
「よっしゃ!真相を確かめてやるぜ!」
渡瀬ひかりの呼び声に檜山暁人と桐谷将吾は後を追う。
そして、超常現象研究部の5人は裏野ドリームランドの園内へと入って行く。
◇◇◇
流石に夜ということもあってか、非科学的な現象が好きな俺も少し警戒心というものが出てきた。
夜の遊園地、それも不気味なウワサが多く流れている遊園地だ。好奇心に任せて動くのだけはやめておこう。
檜山暁人はそう心に強く決めた。
ここに来る前に、どの順番で周って行くかは5人で話し合って、あらかじめ決めてきた。
そして最初に行く場所はメリーゴーラウンド。
最初から危険なウワサのところに行くとなると、みんな反対するだろうと思い、ウワサの中でも比較的軽めなメリーゴーラウンドにしたのだ。
「これがウワサのメリーゴーラウンドか?」
暗くてよく見えないためか、少し残念そうに言う桐谷将吾。
「たぶん、ね。でも明かりはつかないわね」
期待していたのに明かりがつかなくて残念がる渡瀬ひかり。
「本当に明かりがつくわけがないだろう。単なるウワサに過ぎないのだからな」
自分は予想が出来ていたと言わんばかりに冷静を装いつつも、足はガクガクと震えている鈴村直紀。
みんながいくらメリーゴーラウンドを見つめても明かりが灯ることはなかった。
本当にウワサだけだったのだろうか。残念だ。
みんなを見てみると平然としている。直紀は足が震えているが見なかったことにしよう。
愛莉だけはまだ怖いのか、警戒心は緩めていないが、遊園地に入った直後よりは少し恐怖感が弱まったようだ。
「よ、よかった。ただのウワサだったんだね」
渡瀬ひかりの腕にしがみつきながら少しだけ安堵する広崎愛莉。
メリーゴーラウンドのウワサは単なるウワサに過ぎなかったと分かり、次の場所へと5人は向かおうとした。
その瞬間……!
メリーゴーラウンドの明かりが突然、一瞬にして灯った。
それどころか、メロディも流れ始め、数々の馬達は命を吹き返したかのように動き始めた。
さっきまでは全く動く気配を見せなかったのに。
それだけじゃない、一体誰が動かしたと言うのだろうか。
やっぱりこれは……
「きゃぁぁぁぁぁ!」
広崎愛莉の叫び声に檜山暁人とはハッと意識を戻す。
「え、嘘……ホントに動いてる……」
渡瀬ひかりは目の前の光景が信じられないのか、呆然と立ち尽くしたまま苦笑いをしていた。
「あ、はは……マジか……」
桐谷将吾も流石に不気味に思ったのか、上手く笑えてはいなかった。
鈴村直紀は声すら出せなかった。
そんな中、檜山暁人ただ一人、期待に胸を躍らせているかのように満面の笑みで笑っていた。
これが檜山暁人が初めて体験した怪奇現象だからだ。
だが、5人はまだ何も分かっていなかった。
これから起こることが最悪な思い出となることを……。
第1話目です!
ホラーというのは難しいですね(´∀`;)
なかなか怖く表現ができないです( ´-ω-` )
もっともっと上手く書けるように頑張ります(`・ω・´)