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-幸せの星は一瞬だけ輝く-

 ことりと付き合うことになった俺は、幸せな気分と裏腹に、少し気まずいと思った。

 理由は、山本の件だ。

 彼が先に告白したということはきっとフラれたのだろう。

 しかも、好きな人が俺だ、なんて言われたのだから、結構心にきてるはずだ。

 明日はちょっと面倒なことになるかもしれないな。

 そー思いながら眠りにつくのだった。




 次の日、俺は重い足取りで1年2組の教室に向かっていた。

 すると突然後ろから大きな声が聞こえた。


「おっはよーリア充君!」


 山本だった。

 でも、どーしてこんなに機嫌がいいのだろうか、そんなことを考えながら返事をした。


「あぁ、おはよう。そのリア充君って言うのやめてくれないかな?」


 きっと彼は少し無理をしているのだろう。

 でも、今はそれがとても助かった。




 6時間目の授業が終わり、いざ帰ろうかと考えているところに、


「ねぇ、楓汰。一緒に帰らない?」


 と、先に帰りのHRを終わらせたことりが少し上目遣い気味に言ってきた。

 うん、かわいすぎる。

 どーやったらこんな子がうまれてくるんだ!親の顔が見てみたいわ!なんて事を考えながら、


「あぁ、もちろんいいよ。」


 と笑顔で返したのだった。




「今日、色んな人に質問されたよー。ほんとに楓汰と付き合ってるのかーって。」


「そーなのか?俺は誰にも聞かれなかったぞ。」


「えー!なんかずるいなぁ。私だけすごく恥ずかしかったんだからぁ。」


「ごめんごめん。」


 そんな会話をしながら人通りの少ない道を2人で歩いていた。

 人通りが少ない道を選んだ理由は、2人でいるとからかわれてしまうのが嫌だったからだ。

 俺は別に構わないのだけど、ことりはどーやら恥ずかしいらしい。

 でも、その選択は間違えだったのかもしれない。


「なぁ、そこのカップルさんたちよ。ボコられるのが嫌だったら金出せよ。ほらほら!」


 そこには不良という文字をそのまま具現化したような3人組がいた。

 ことりは「ひっ・・・」と怯んでしまった。


「あの〜。邪魔なんでどいてもらってもいいですか?」


 俺は少しふざけた調子で言ってみた。

 ことりは驚いたように俺を見上げている。

 不良たちは俺の挑発にまんまと乗ってくれたようで、指を鳴らせながら俺たちに迫ってきた。


「おいお前、調子に乗ってねぇか?見た感じ中学生だろ?そんなんで俺らに勝てると思ってんのかおら!」


 不良たちは俺だけを囲むように寄ってきた。

 ことりは「楓汰・・・危ないよ!」と震えた声で言っていたが、そんなことはもー聞こえていなかった。

 俺はこいつらみたいな不良が心の底から嫌いだった。

 だから、小学1年生の時から今まで習ってきた柔道の技でなんとかこいつらを一泡吹かせてやれないか、と考えたのだ。


「なめた野郎だ。お前ら、殺さない程度にやっちまいな。」


 不良のリーダーらしき男がそー言った瞬間、2人の男が俺に飛びかかってきた。

 構え方といい、あまり喧嘩には不慣れと見れた。

 俺は1人の右腕を左手で掴み、右手は相手の左肩を握って、もちあげるように体を捻った。

 一本背負いという背負い投げの一つだ。

 投げられた相手は背中をコンクリートの地面に叩きつけられて悶絶していた。

 もう1人は、一瞬戸惑いを見せたが、すぐに突撃してきた。

 馬鹿な奴だな。

 俺はそー思いながら、1人目と同じ方法で相手を投げた。

 子分の2人が地面で悶絶しているのを見た不良のリーダーは、一体何があったのか、とわからないような顔をしていたが、すぐに子分を連れて逃げていった。おきまりの言葉とともに。


「お・・・覚えてろよ・・・!」




「どーしてあんな無茶したの?楓汰がボコボコにされちゃうと思って、すごく怖かったんだよ?」


 ことりが悲しそうな顔で俺に問いかけてきた。


「いや、つい、ことりを守らなくちゃ!って思って・・・」


「本当に?」


「本当に!」


「なら、ありがとう・・・。でも、2度とあんな無茶はしないって約束して?」


 そー言いながらことりは小指を立てた右手をこちらに向けた。

 つまり、指切りをしたいということだろう。

 なんてかわいい生き物なんだ!

 そー考えながら、2人は指切りをして、お互いの家に帰ったのだった。




「あぁ〜疲れたぁ!」


 俺はお風呂の湯船に浸かりながら呟いた。


「やばいなぁ、ちょっと肩やっちまったかも。」


 そー言いながら腕を組ん上げてみる。


「いででで」


 かなり痛い。

 これは湿布でも貼らないとな。

 そー思ってお風呂を出た。

 湿布は痛めていたところをキンと冷やしてくれているよーで、とても気持ちがよかった。

 明日は土曜日なので2日ほど腕を休ませられる。

 そー考えていたとき、俺のスマホに1件のメールが来た。

「明日暇?よかったら今日のお礼にクッキー焼くから食べにこない?」

 ことりだった。

 俺は少し笑いながら、

「うん、暇だよ。クッキー、食べに行くよ。」

 と返事をした。

 よーし、明日も幸せな気分でいられる。

 そー思いながら、数通のメールのやり取りを終え、俺は眠りについた。




 目覚まし時計のアラームの音で目が覚めた俺は、洗面所で顔を洗って服を着替えた。

 ファッションなんてものはあまり気にしていないのだが、今日は少しましな服を選んだ。


「そこが見えたら次にそこを右だよー!」


 電話越しにことりの指示を聞きながら、俺はことりの家に向かっていた。


「曲がった?なら近くを探せばあるはずだよー!」


 ふむふむ。

 少し探したが、無事見つけることができた。

 良くも悪くも、普通の一軒家だった。

 そんなことを考えていたら、突然家のドアが開かれて、


「いらっしゃい楓汰!ほら!上がって上がって!」


 満面の笑みで手招きをすることりが現れたのだ。

 俺は手招きに誘われるよーにことりの家に上がった。


「私片付けるの苦手だから、汚かったらごめんね?」


「そんなことないよ。綺麗に片付いてる。」


「そーかな?ありがと!」


 照れたような笑顔はまるで天使のようで、俺は心臓が飛びてるかと思った。

 やはり、俺と彼女は釣り合わないんじゃないか?

 そんな事を考えながら、ことりがクッキーを持ってくるのを待った。

 久しぶりにクッキーを食べたが、これがまたとてもおいしかった。

 俺とことりは、何気ない話をしながら、クッキーをすべて食べ終えた。


「クッキー、すごくおいしかったよ。ごちそうさま。」


「いえいえ、お口にあってよかったよ。お粗末さまでした!」


 帰ろうとすると、ことりが玄関まで見送ってくれた。

 外はもう暗く、空には夏と秋の間に見ることの出来る星々が輝いていた。

 別れ際、俺は彼女に小さい声で言った。


「もーちょっとこっちに寄ってきて。」


「ふぇ?なんでー?」


 そー言いながらことりはこっちに寄ってきた。


「ちょっと目瞑って。」


「ふぇ?ほぇ?な、なにするのー?」


 ことりは目を瞑ってオドオドしながら言った。


「こーするの。」


 そー言いながら、俺はことりを軽く抱き寄せて、キスをした。


「!?」


 ことりはビクッとして驚いていた。

 その顔は真っ暗な夜でもわかるほど真っ赤になっていて、俯いていた。


「君は・・・俺が絶対守るから・・・」


 俺は消えそうな声でそー言った。

 ことりはさらに顔を赤くして、


「うん・・・ありがと・・・」


 と、今にでも顔から湯気がでそうだった。

 俺が彼女を守る。

 その日はそー強く誓った1日になった。




 だが、2日後の月曜日にある事件が起こった。

 俺のクラス、1年2組の教室の黒板に、大きな文字で


「渡辺 楓汰は暴力魔だ。路地裏で男子3人をボコボコにしているのを見た。」


 と書かれていたのだ。

 俺を見る周りの人たちの目が変わる。

 誰だ・・・誰がこんなこと書きやがった・・・!




 この黒板に書かれたたった2文で俺の生活は大きく変わった。

 いや、変えられたのだ・・・。

第2話目です!

前話でいただいたアドバイスを元に書き方を変えてみました!

この話を気に入ってくれる人が増えてくれるといいな、と思いながら、次話も頑張っていきたいと思います!

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