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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ヘタレマスターに召喚されたんだが
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新たな仲間

そして3日目の朝。


俺はカエンの爆音みたいな笑い声で目を覚ました。最悪な目覚めだ、昨日の悪夢がよみがえる。



「うるせーな。なんで朝っぱらからカエンが来てるんだ……」


「朝ごはん持ってきてくれたんだ。すっごい美味いよ!」



見ればテーブルの上には、たぶん俺用なんだろう美味そうなサンドイッチとまだ湯気の立つ暖かそうなスープ、コーヒーまでもが置かれていて、さらに言うなら空の食器も置かれていた。


ゼロのヤツ、すでにちゃっかり食ってやがる。



「おいハク、お前スゲぇなぁ! オレ様を撃退したことになってるぜぇ? レベル尋常じゃなくあがってるんじゃねぇのか!?」


「あ、そういや昨日、撃退しましたってアナウンス流れてたな」



オレがぼんやり呟いたら、ゼロが興奮気味にオレを手招いた。



「見なよハク! ダンジョンコアが侵入者を撃退してもDPもらえるって言ってたけど、撃退でもすごいポイントだよコレ!」


「え!? マジで!?」



うわ、万単位のDPが付与されてる。さすが超高レベルの火龍なだけはある。初期でもらえたDPが1000DPなんだから、これはかなりスゴイと思っていいんだろう。



「訓練とはいえ初めてハクが戦って得たポイントだし、これはハクのレベルアップに使うよ」


「ゼロ……!」



マジかーめっちゃ嬉しい。なんていいマスターだ。そもそも俺、強くなりたくてダンジョンモンスターになったんだもんな。レベルアップは素直に嬉しい。



「へぇ、ダンジョンモンスターは戦闘でレベルアップするんじゃなくて、マスターがポイントを付与することによってレベルアップするのか」



興味津々のカエンの様子に笑いつつ、ゼロはカエン撃退でゲットした経験値を俺に全部付与してくれた。


途端、神々しい光が体を包み、指の先まで瑞々しい力がいきわたる。


うそ!? いきなりレベルが16までアップした!?



「ありえねぇー!」



カエンはまたも大爆笑している。俺もゼロも、想像以上の大量レベルアップに、ドキドキしながらステータスを確認した。



名前:ハク

LV:16

種族:龍人(白龍)

性別:オス

レア度:5


◆能力値

HP:2170/2170

MP:1420/1420

STR(筋力):850

VIT(耐久):695

INT(知力):700

MIN(精神):720

DEX(器用):650

AGI(敏捷):785

LUK(幸運):2220


スキル:下級白魔術・下級聖魔術・格闘・幸運

称号:主の忠臣・大金星


▽スキル詳細。

《下級白魔術》下級の白魔術を扱う事が出来る。


*NEW!

《下級聖魔術》下級の聖魔術を扱う事が出来る。

《格闘》自らの肉体を武器に俊敏な戦闘が出来る。

《幸運》ランダムで幸運を引き寄せる事が出来る。


▽称号詳細。

*NEW!

《主の忠臣》。主に一番の忠臣と認められたものに贈られる称号。

・全ステータスに補正+10・主の危機の察知


《大金星》。30以上のレベル差がある相手を撃破、もしくは撃退した者に与えられる称号。

・全ステータスに+10%補正。



「すごいよハク!」


「だな! ステータスめっちゃ上がってるし!」



ゼロとひとしきり盛り上がる。


俺のレベルもこれだけあがれば、ザコ敵なんかにゃさすがに負けないだろう。よし、あとはダンジョンをガッツリ造るだけだな!



「盛り上がってるとこ悪ぃんだが、オレ様は時間切れだ。ギルドに戻るぜ。終わったらまた速攻来てやっから、それまでにしっかりダンジョン造っときな」



そう言い置いて、カエンは名残り惜しそうに出ていった。


あれ? カエンが出て行ったのに、今回は撃退のアナウンスがなかったな。ダンジョンメンバーとの戦闘がないと、撃退にカウントされないのか? ダンジョンはまだまだ、分からない事だらけだ。


僅かな疑問を感じながらもカエンを見送っていたら、ゼロがにっこり笑って食事を指差す。



「ハクもまずはご飯食べたら? 食べながらでいいから、ちょっと情報整理しよう。さっき見たら、めっちゃお知らせ溜まってたし」


「そうだな」



たしかにちょっと腹も減ってきた。カエンが差し入れてくれたボリュームたっぷりのサンドイッチを頬張りながら、ゼロと一緒に新着情報を見ていく。



『ゼロ・ハクが、新たなスキルを入手しました』


『ゼロ・ハクが、新たな称号を入手しました』


『ゼロのレベルが上がりました』



次々と情報が流れていく。なんだか知らないが、ゼロもレベルが上がっているらしい。


あとでゼロのステータスも確認しないとな……そう思いながら聞いていると、これまた予想外の情報がアナウンスされた。



『ダンジョンが開放されました』


『早期開放ボーナスが発生します』


『2週間以内の開放ボーナス、3000ポイントが付与されました』


『1週間以内の開放ボーナス、ユニークチケットが付与されました』


『3日以内の開放ボーナス、レアモンスターチケットが付与されました』



おお!? なんか色々と付与されている! 早めにダンジョンを解放するだけでそんなボーナスがあるだなんて予想外だ。


さらに、開放した途端に高レベルの侵入者があったこと、それを撃退できたことなど、ボーナス対象の出来事が羅列されていくけれど、さすがに一度に情報があり過ぎて記憶出来ない。


新着情報はこまめに確認しようと反省した。


とりあえず、最終的にはレアチケット2枚、ユニークチケット1枚、スキルチケット1枚、ダンジョンポイントはなんだかんだでトータル14230DPになったらしい。



「すごい、すごいよ! さっきまでの僕のレベルじゃスライムとかしか召喚できなかったのに、レアモンスター召喚チケットがまた2枚ももらえるなんて!」



ゼロのヤツ、思わぬボーナスに有頂天になってやがる。


レアモンスターが新たに召喚されるのはなんとなく複雑な心境だが……でもまあ確かに、仲間が多い方が戦力的にも安心だし、どんな仲間かによって、ダンジョンの戦略の幅も広がるもんな。


俺たちは話し合った結果、まず、レアモンスター召喚チケットを試してみる事にした。


これから一緒にダンジョンとマスターを守っていくんだ。頼りになるヤツだといいけど。


期待と不安が入り交じった緊張感の中、ゼロがダンジョンコアの前に立つ。コアの無機質な声が、最終確認を促した。



『レアモンスター召喚チケットを使用しますか?』


「承認!」



そうやって1枚めのチケットで召喚されたのは、美しい女性のエルフだった。


柔らかなウェーブの輝くような金髪。深いサファイアブルーの瞳。真っ白な肌。女性らしい優美な曲線と豊満な胸。俺から見ても超絶美形だ。見た目は22~23歳くらいに見える。俺よりもちょっと背が高いかも……プロポーションも抜群だ。


彼女はゆっくりと周りを見回すと、「ああ、召喚されたのね」と呟いた。


早くも状況を理解したらしい。彼女は、俺達を舐めるように見ると、気怠そうに尋ねる。



「どっちがあたしのマスター?」



なんでだろう、俺を見る目が厳しいような。なんか感じわるいな。俺は無言でゼロを指差した。途端、美女エルフは満面の笑みを浮かべる。



「良かったぁ~! お姉さん、マスターみたいな素直そーな子、超好みよ♪ 絶対役に立つからね?」



いきなり抱きつかれ、ゼロは真っ赤になってもがいている。美女エルフはその反応をひとしきり楽しんだ後、俺をチラリと見てこう言った。



「それじゃあ、こちらは先輩かしら。嫌ねぇ、そんな怖い顔して。いくらマスターが大事でも、過保護にしたら嫌われるわよ?」



くすくすと、からかうように笑っている。


召喚されるなり、あまりにも物怖じしない態度に若干ヒいた。どうみても女慣れしていないゼロに抱きつくなんて、ゼロが恥ずか死んだらどうしてくれるんだ。一言もの申したい気持ちもあったが、言ったが最後こっちにも飛び火しそうだったもんだから、つい見守ってしまった。


すまん、ゼロ。


こいつにもカエンにも、なんか性格的に勝てない気がするのはなんでだろう。エルフってもっと清楚なイメージだったんだけど、なんかキャラが濃すぎて落ち着かない。


ゼロもやっと美女エルフの腕から抜け出し、ゼエハアと肩で息をしていた。


能力も大事だが、性格はもっと大事だと思い知った俺達は、無言でアイコンタクトすると、もう一枚のチケットを取り出す。願うのはただひとつ。


頼む、癒し系の可愛い子出ろ!


癒し系! 癒し系っ!


必死に念じる俺達の前に現れたのは……ふかふか、もふもふの、真っ白な毛皮を纏った、一匹の仔犬だった。



「か、可愛い~!!」



ゼロが抱き上げて、頬擦りする。


良かった! 超絶、癒し系だ!


ゼロから撫でられまくって、ジタバタしている姿も愛らしい。まん丸の黒くて大きい瞳。ヤンチャそうな顔。脚がでかくて、成長したら大きくなりそうだ。しっぽはふさふさで、くるんと上に巻き上がっている。どこもかしこも可愛い。


攻撃力は見た目的に一切期待出来ないし、さらに言うなら女の子でもないが、カエンとキャラの濃い美女エルフを見た後では、最早どうでもいいと思えてくる。


仔犬にすっかり人気が集まり、美女エルフはちょっとだけ面白く無さそうだが、まぁ、しょうがないよな。


楽しそうに仔犬にミルクをやっているゼロに、痺れを切らせたのか、美女エルフが話しかけた。



「ねぇ、マスター。その子が可愛いのは解るけど、あたしの事、放ったらかしはあんまりじゃない? せめて名前くらい決めて欲しいんだけど」


「あっ…ごめん!」



慌てて謝った後、ゼロは複雑そうな顔をした。



「やっぱり、復活出来なくなっても、名前って欲しいものなんだ……」


「当たり前でしょう。そこのおチビちゃんだって名前が欲しい筈よ?」



仔犬が嬉しそうに「わん!」と吠える。シッポもめっちゃ振ってるな。


それを見て、ゼロも腹をくくったらしい。ひとつため息をついてから少しだけ考えたあと、改めて二人に向き直る。



「じゃあ、お姉さんはルリ、ワンちゃんはユキ、でいい?」



なるほど、見たまんまだ。ユキは真っ白な毛並みからとった名前だろうし、ルリは……多分、美女エルフの瞳の色から思いついたんだろう。

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先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

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