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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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ゼロの懊悩

「すごかったな!第八王子の話!」



王宮からの帰り道も結局俺たちは馬車で送って貰っていた。なんせカエンは第八王子へのもてなしと情報収集で忙しいからだ。


さっきまでの会食で話された内容はそりゃあ多岐に渡っていて、第八王子がお忍びで渡り歩いてきた沢山の国や町の話がわんさか聞けた。


大陸の北に位置するレースラという国では、ファイアーバードが神としてあがめられているとか。毎年祭りが開かれて、国中から集められた中で最も美しいファイアーバードが神に選ばれるんだとか。


ヴェッスルー火山の中腹に位置する村では、村人全員が雪山に登って三日三晩火をたきながら焚き火の前で踊り明かし、その焚き火で焼いた神聖な供物を火山に投げ入れる祭りがあるんだとか。


日々の風習から結婚式だの祭りだの、場所が変われば習慣も変わる。人間ってのはホント色々趣向を凝らすもんだ。



「ゼロ?」



いつもだったら必ず返事をしてくれる律儀なゼロが、珍しく押し黙っているもんだから、俺はちょっと心配になった。


次々に語られた四方山話に俺はかなり楽しめたんだが、ゼロはずっと浮かない顔のままだ。理由はある程度分かってるけど、俺からしてみればそこまで落ち込むこともないと思う案件なんだけどな。



「大丈夫か? 顔色悪いぞ」


「うん……ごめん、心配かけて」



ゼロは笑ってみせるけど、気ぃ使って笑ってるだけなのがありありと分かる。



「アレだろ。ダンジョンの話が気になってるんだろ? あれからずっと顔色が悪かった」



指摘するとゼロは困ったように小さく笑った。



「全部お見通しなんだね。弱ったな」


「で? 何が気になってるんだ? そこまで気に病むような話でもなかったと思うけどな」


「僕は怖いよ」



そう言ったきり、ゼロはまた黙り込んだ。でも、視線がゆっくりとさまよっていて、自分の考えをなんとか言葉にしようと頑張っているのが感じられる。俺は、ゼロの考えがまとまるのを待った。



「クリームヒルト様は、巨大化してるダンジョンが増えてきてるって言ってた」


「そうだな。でも別の大陸の話だろ?」


「ダンジョンなら、海なんて越えられる。攻撃的で近隣の町や村を襲う事例が増えてるって……そんなヤツが、いつまでも大人しくしてるなんて思えないよ」


「ダンジョンの攻撃を受けて壊滅した国もあるって言ってたな。しかも複数」



ゼロの顔がいよいよ青白くなった。


こいつは最初っから甘っちょろいことを言ってたから今更ショックを受けるんだろうが、そんなの最初っから分かってるじゃねーか。力を手に入れりゃ行使したくなる。支配欲の強いヤツなら、そりゃあ次から次へと支配の幅を広げて行くに違いない。


めちゃめちゃ自然な流れだ。



「コアに……」


「うん?」


「ダンジョンコアにさ、近くのダンジョンの勢力図がでるんだ」


「なに!?」



そんなん出てたっけ? このごろ自分の訓練で忙しくて、そういやあんまり一緒にコアとか見てなかったかもな。それで一人で悩んでたのかと思うとちょっと申し訳なくなってくる。


俺も訓練ばっかりしてないで、もうちょっとダンジョンのことにも首をつっこもう。ちょっと反省した。



「僕のレベルがあがると見える範囲が増えるみたいで、別の大陸のでっかいダンジョンのえげつない勢力図が見えちゃうんだよ」


「マジか」



それでこの落ち込みようなのか。


どうやらゼロは、コアに出てくるダンジョンの勢力図をたまたま見てしまって、それ以後気になって仕方なかったらしい。



「だってすごい勢いで大きくなっていくんだ。隣の大陸はすごく大きいから、まだこっちには被害が及んでないだけで……クリームヒルト様がいってたみたいにいくつかデカイのがあるんだ」



知らなかった……! 道理でゼロが青ざめるはずだ。まあな、ゼロみたいに奇抜なダンジョン作って国と共存しようってほうが普通じゃないんだし。


「僕のレベルが低いから見えないだけで、もっと広範囲が見えるようになればもっと凄いのもあるかも」



怯えるゼロを見て、俺はむしろ冷静になってきた。


しょうがねえじゃねえか。こういうことは「あるかも」なんて怯えてたってなんら問題は解決しない。考えるだけ時間の無駄だと思う。



「いーじゃねえか、別にやることは変わんねえだろ。どんどんダンジョン拡大していくようなヤツがいようが関係ないだろう」


「ハク」


「俺たちにできることは、ダンジョンを成長させることだけだ。ゼロがレベルアップすれば、もっと広範囲が見渡せるようになるんだろ?」


「う、うん」


「俺たちが強くなって、冒険者達も鍛えればどんどん増えたりでかくなるダンジョンに、そんなにビビる必要もなくなるんじゃねえか?」


「うん……そうだけど」


「そうだけど、じゃねーよ! 帰ったらまた一緒にダンジョン作ろうぜ。ダンジョンをガンガン作って拡大すればゼロのレベルもあがるんだろ? どうせカエンたちからも頼まれてるんだ、一石二鳥じゃねーかよ」


「……うん!」



やっと少しゼロの顔に色が戻った。こういう時は変に慰めるより、やることいっぱい作って、頭も体も動かしといたほうがいい気がする。


よし!


明日からまた、ダンジョン作りを真剣に頑張るか!

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