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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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えげつねえ

「乗ろう」



漕ぎ手を失い不吉にゆらゆらと揺れる小舟をデカいアクスで寄せて岸につけ、筋肉男がそう宣言した。



「待て!」



それを、ちびっ子魔女が杖で制す。



「馬鹿野郎! 何も考えずに乗ったらあいつらの思うつぼだ。少しでもダメージが少なくなる方法がないか、考えるんだ」


「でも、あんまり時間がたつとタイムアウトになっちゃうよ?」


「確かに、かなり時間をロスしてる」



ちびっ子魔女の提案に二人が焦りを見せるけれど、ちびっ子魔女は「急がば回れって言うだろーが!」と一歩もひかない。


二人が小舟に乗り込むのさえも頑なに制して、ブツブツとなにやら呟いている。



「今使える魔法でなにか……なにか……そうか!」



思いついた!とばかりに顔をあげ、今度は大慌てで二人に小舟に乗り込むように指示をした。二人が舟に乗り、腰を下ろした瞬間、ちびっ子魔女はひらりと舟に飛び乗って、自分のローブを二人に手渡す。



「お前らこれ持ってろ」


「うん!」


「そーじゃねえ、風を受けるように、広げてろ!」



言うが早いか、ちびっ子魔女が思いっきり杖を振り回す。杖の先がギラギラと光って、大きな魔力がそこに集まったのがモニター越しでも感じられる。



「行けーーーーーーー!!!!」



船の後方に向かって、ちびっ子魔女が爆発系の魔法を唱えた。


大きな炸裂音。


岸にや壁に当たって跳ね返るその爆風の推進力で、小舟は一気に加速した。どんよりとしていた水面を切って、驚くほどぐんぐんと進んでいく。



「うひゃああああ、スゴイ風ー!!!」


「どーだ! 速いだろ!」



思わぬスピードに意表をつかれたのか、小舟が猛スピードで疾っていく後ろから、水面に水棲系モンスターの姿がひらりと現れてはキョロキョロとあたりを見回して、残念そうに潜っていく。


通り過ぎてしまった小舟を見つけた時のモンスター達のガッカリ感が半端ないんだが。


ああ、出番を楽しみに待ってたんだろうなあ。可哀想に。



「はーーーーっはっはっはっ!!! どうだ、ついてこれねえだろ、ウスノロども! あーもう、気分いいなー!」


「きーちゃん、カッコいい!」



トンガリ帽子をしっかりおさえて、ちびっ子魔女が上機嫌で高笑いする。



「ちょっと速度が落ちてきた」


「よっしゃ、追加だ!」



筋肉男の呟きに、ちびっ子魔女は得意げに杖をふるう。


大きな炸裂音が響いて、小舟はさらに速度をあげて沼を疾走した。ぐんぐんぐんぐん、黒い沼の上を一気に進んだかと思うと、岸にぶちあたって小舟は大破した。


おいおい、勢いつけすぎだろう。


思わず苦笑してしまったが、それでも反動で岸に三人とも着地で来てるから、なんだかんだでちびっ子魔女の思惑通りになったわけだ。


あれ?


この沼ほぼスルーでクリアしたってことは、もしかしてもう俺のボス部屋のすぐ近くじゃねーか!


やばい、まだ何にも考えが纏まってないんだが。



「やったぁ! 沼をクリアだよ、きーちゃん!」


「どんなもんだい!」


「すごいな」



細い腕を高らかに上げてガッツポーズを決めるちびっ子魔女を二人がほめたたえているさまは微笑ましいが、ゆっくり見物しているわけにもいかない。


そろそろ真剣に考えなければ。


焦る俺とは対照的に、三人は意気揚々と沼のある空間から先に続く、細い土壁の通路へとあゆみを進める。


簡易マップを見てみると、ラスボス部屋まではもうほとんど距離がない。わいわいと話しながら進む三人を睨みながら、俺は必死に頭を巡らせる。


……困った。


ゴーストたちがいい仕事しすぎなんだよ。


だいたいの怖いシチュエーションってやってるんじゃねえのかな。視覚的な怖さは狙わない方がいいかも知れない。


そう考えていた時だった。


フッ……と三人の姿が、モニターから消えた。



「えっ」



消えた!?


え、なんで!?


モニターにガバッと近づいたら、さっきまで三人がいた場所には大きな穴が空いていた。



「落とし穴!?」



これまた古典的な。


感心する俺の耳には、三人の絶叫が響いて来た。



「うふふー、見事にひっかかったみたいね」



ルリがニンマリと笑っている。どうやらこの落とし穴のトラップもルリの仕込みらしい。



「沼を攻略した! と思った瞬間の落とし穴からの強制中ボス戦よ♪ 結構イヤでしょ」


「えげつねえ」



つくづくルリだけは敵に回したくない。



「ああああああぁぁぁああ~~~~~!」


「もうヤダあああああ~~!」



悲し気な叫びが響くモニターに目を移せば、ちょうどドシンと重たい音が響いて、三人がどこぞの部屋に到着したところだった。



「ふぇ~ん………痛いよぅ」


「ちくしょう、なんて陰険なん……」



言いかけたちびっ子魔女の口が、そのままポカンと開いた。



「ひ…………!」



ふくよかちゃんの動きも止まる。



「…………」



無言で、筋肉男がふたりを庇うように前へ出た。


ゴクリと、三人がつばを呑む音がモニター越しでもわかる。



三人の前には、中ボスというにはあまりにも強大な敵が姿を現していた。


筋肉男の二倍は大綱がありそうな、巨大な骨だけのドラゴン。暗い眼窩に不気味な青い光を灯している。肉のない口からは濃い瘴気が絶えず吐かれているようだ。


そしてその背には、巨大なランスを携えた漆黒の騎士が騎乗していた。

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