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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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キング・ロードの挑戦者

「いいか、ここは素晴らしいシャンデリアが煌めくゴージャスな宮殿だ! 想像しろ!」



仁王立ちでそう言い放つちびっ子魔女の眼前には、目隠しをされたひょろ長君がいる。正座させられているのがいかにも痛々しい。



「無茶言うなよ、宮殿はこんなにおどろおどろしい音はしない。こんなに生暖かい風も吹かないし、床だってこんなにゴツゴツしてないだろう!?」


「鬱陶しい! てめえ、言う事だけはホント一丁前だな。いっそ五感を断て!」


「無理だって……! 見えない分余計に怖い」



あ、よく見たら確かに手とかプルプル震えてるなあ。どうすれば先に進めるんだよ、このパーティー。


一向に先に進める気配がないこのパーティーの事はゼロにモニターチェックを任せる事にした。


なんせ人ごとじゃないらしくハラハラした様子で見守ってるから、多分大丈夫だろう。この調子でこのホラーテイストのフロアを見続けて、慣れてくれるといいんだが。





ジョーカーズダンジョンのモニターから離れ他のモニターを眺めた俺は、思わず「おっ?」と声をあげた

。ルリがモニターチェックしているキング・ロードにちょっと毛色が変わったパーティー? が入ってるじゃないか。



「すげえな……」


「ホンットすごいわよ! 濃いっていうかなんていうか。まあ、面白いけど」



画面の中にはイカツい四つの影。


しかしその誰もが最大限に着飾り、全力メイクし、しゃなりしゃなりと歩いている。うん、俗にいうニューハーフの皆さんだ。


四人が四人ともと言うのも珍しい。


もちろん職業の違いはあるようで、戦士と思しき御仁は女性用のレザーアーマーを身に纏い、巨大な大剣を担いでいる。動きの妨げになるからか髪もベリーショートで後ろから見たらただのゴツい剣士、しかし前に回れば小麦色の肌によく映える真っ青なアイシャドウに真っ赤な艶プル唇というバッチリメイクだったりする。


色白で細身ではあるががっつり長身なのは神官だろうか。アイシャドウも口紅も淡めの紫で纏めたこの四人の中では比較的大人しめのメイクだ。金のストレートヘアに服も白が基調だから、アクセサリージャラジャラでもそこまでうるさくない。目が休まる。


お次は……武闘家か? 真っ赤なタイトのワンピース……足の付け根あたりからざっくりスリットが入った……そう、あれだよ。ゼロの言ってたチャイナ服とか言うヤツ、あれにそっくりな服着てる! 歩く度にチラチラ見える足は太ももの中間までアミアミな黒タイツで、なんか花っぽい模様も入ってる凝ったものだった。


うっかり服に視線がいったけど、この人のメイクはかなり濃い。睫毛も瞬きするとき音がするんじゃってくらいバサバサだし、目の縁がとにかく黒い。頬紅っていうんだっけ、頬っぺたがかなり広範囲にピンクに彩られている。髪の毛はもうどうなってるか分からないくらい盛り上げられていて、多分顔一個分は身長高くなってるんじゃねえかな。


ラストは……うん、なんかもういいわ。

多分魔術師。縦横どデカイ体に虹色のローブと幅広帽ってだけで凄さ伝わると思う。




「確かに濃い」


「ただね、実力はたいしたものよ? 動きとかは若干気になるけど、ここまではモンスターも瞬殺。特にあの戦士が強いみたい」


「へえ」



ルリと言葉を交わすわずかな間にも、現れたギガントフラワーを戦士が一刀両断する。派手に樹液を撒き散らすギガントフラワーは、今際の際何かを掴むように長いツルを伸び伸ばし、そのまま土埃をもうもうと上げて地に伏した。



「やだあ、ちょっともう、なにこのベタベタしたの! アーマーが汚れたじゃない!」



やるじゃないか、と思ったのもつかの間。急に身をくねくねと捩らせて不満を露わにする戦士に脱力した。見れば確かにさっきギガントフラワーが撒き散らした樹液がかかってモニターごしでもベタベタ、ドロドロしている。確かに気持ち悪そう。



「あらあら。いいわ、任せて」



神官のオネーサン? が小さく呪文を唱え優雅に杖を振り上げると、戦士のレザーアーマーは瞬く間に新品みたいに綺麗になった。これは、浄化だろうか?



「準備運動にもならないじゃない!」


「そうでもなくってよ、今度は集団でおいでになったわ」



戦士の不満に、真っ赤なチャイナ服の武闘家がウインクしながら答えた。多分今、睫毛がバサッって言ったと思う。



「ああ、これなら少しは」



戦士がニヤリと笑って舌舐めずり。あれで艶プル口紅が剥がれないのって一体どうなってるんだろうなあ。



「うふふ、なかなかいいガタイしてるじゃない」



リザードソルジャー相手に目を細めた戦士は、そのまま大きく跳躍した。


ガキィィ……ンと、金属の当たる音がする。


おお! 剣士の剣筋を読んだのか、リザードソルジャーはしっかりと刃を受け止めていた。



「あんた、やるじゃない」



ニンマリと笑う剣士にさしものリザードソルジャーも怯えたらしい、肌がさあっと白くなった。なかなか見ない光景なんだけど。



「このリザードちゃん達は貰ったわ!」


「そう、ではわたくしはコカトリスをいただくわね」



三体のリザードソルジャーを纏めて相手するらしい剣士の言葉に、チャイナ服が鷹揚に答える。



「アマンダ姉様、あれ、お願いできるかしら?」



神官が指差す先にはグレートイーグルが三体。これはどうやら巨漢の魔術師が受け持つらしい。


うん、これは見応えがありそうだ!

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