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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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新入り君は爽やか系?

「ああ、せっかく挨拶してもらって悪いんだが、俺とこいつはこのダンジョンのメンツじゃないんだ。先輩はそこの二人と人形達に入ってるレイス達だよな」



相変わらず初対面のヤツにはビビりがちなうちのマスターの代わりに軽く事情説明しつつ、後をライオウに任せる。


そしてこれまた相変わらず空気の読める男ライオウは、おもむろに進み出て右手を差し出した。



「ライオウだ、よろしくな」


「へぇー、ライオンの獣人ですか、かっこいいなぁ!」



これ以上ない爽やかさだ、世渡りうまそうだなぁ。



「それから、もう寝ちまってるがこのフクロウの爺さんもついさっき召喚されたばかりだぜ。まだこのダンジョンは出来てから日が浅い、それに普通のダンジョンともかなり趣きが違うからな」



ライオウが苦笑しながら話し始める。


それにいちいち首肯いたり大袈裟に驚いてみせたりしながら聞き入っている爽やか天使君は、見る限り問題なく溶け込めそうだ。


長い話になるからと、ラビちゃんが手ずからお茶を淹れてくれて、まったりとティータイムを楽しみながらの話となった。


さすがは女の子で、まだダンジョンが出来てからさほど経ってないというのに、ティーセットやキッチン用品が尋常じゃなく充実している。


色鮮やかなランチョンマットが置かれた白くて繊細なつくりのテーブルセットに近付くのですら敷居が高く感じるのに、これまた白い華奢なティーセットとか。目の前の金の縁取りと花がふんだんにあしらわれた皿に乗っかってるのがまぁるくてコロコロした色とりどりのお菓子だとか。


その卓を囲んでるのがふわふわした女の子ばっかりなら俺だって違和感ないんだろうが、実際は5人中4人男だしな。このテーブルに近付くには地味に勇気が必要だった。


はっきり言おう。

ぶっちゃけ居心地が悪い。



「おいハク、聞いてんのか?」



ライオウに話しかけられて思わずビクッとする。あまりにもメルヘンなティータイムにちょっと魂を持ってかれてしまっていたらしい。



「ああ悪りぃ悪りぃ、ちょっとボーッとしてた」


「でしょうね、なんかちょっと遠い目してましたもんね」



ハハッ、と爽やかに笑いながら天使くんも同意する。悪いヤツじゃないとは思うんだが、見た目年齢がさほど変わらなそうなヤツに敬語使われると、慣れないせいかやけに白々しく感じるもんだな。これも居心地の悪さを感じる理由のひとつなのかも知れない。


話す度に違和感を感じるのも嫌だから、正直に話してみる事にした。



「悪いんだけどさ、敬語やめないか?なんかむず痒い」


「えっ……ですが、話を聞く限りゼロさんもハクさんもマスターの恩人で師にもあたる方ですよね?」



いや、そんな大層なもんじゃない。

……っていうか、思ったより話進んでたんだな、こりゃあ。



「でも……確かに僕も、違和感あるかも」



ゼロがおどおどと口にすると、天使君は額を押さえて困った顔をした。



「そんな……マスターが敬語使ってる方にタメ口とか、俺、嫌なんですけど」


「そう言えばラビちゃんも敬語だね」


「でしょう!? 俺だけタメ口とかムリですって」



爽やかゆえの持論があるらしい。でもなぁ。



「でもラビちゃんは違和感なかったよな」


「キャラのせいかな」


「かもな。なんせ俺達のダンジョンに来た時ってビビりまくってたしな」


「うん、ライオウさんすら怖がってたもんね。敬語がどうとかの前のレベルだったよね」


「そーいうのはっ、恥ずかしいから忘れてください!」



真っ赤になったラビちゃんに怒られてしまった。



「もうっ、そーいうので揉めてる場合じゃないんですからっ。天使さんは敬語禁止! これでいいでしょう?」


「うっそ、マジですか!?」


「マジです。敬語禁止」


「可愛い顔してなかなかの暴君!」



ガックリと肩を落として見せたものの、ラビちゃんの意見が変わらない事を見てとると、天使君は溜息をひとつついてから、ゆっくりと顔を上げた。



「……分かりましたよ、じゃあ彼らにはタメ口で。……まさかマスターにも?」



無言で首肯くラビちゃん。天使君はそれを見て、諦めたように肩をすくめる。



「了解、マスター。じゃあ、ひとつだけお願いがあるんだけど」


「はい、なんでしょう」



今度はニッコリ笑顔のラビちゃん。ちなみに自分の敬語はなおすつもりはないらしい。



「名前、つけてください」


「えっと、エンジェ?」


「いやいやいや、もうちょっとちゃんと考えて! それ絶対エンジェルからとっただろ」


「えっ、分かっちゃいました?」


「そりぁあね。マスターが兎だからラビで、先輩はライオンだからライオウなんでしょ? 絶体テンちゃんとかエンジとか、そんなんでくると思った」



敬語がとれたと思ったら、早くもツッコミ全開で抗議する天使くん。確かにひねりがないもんな、分かりやすくていいけどさ。



「あ、テンちゃんも可愛いですねぇ」


「絶対止めて」


「うーんエンジェ、可愛いと思うんですけど……ダメ?」


「くっ……上目遣いで乗り切ろうとか卑怯だ……! エンジェって普通女の子につける名前でしょ。俺、かっこいいのがいい」



名前、大事だよな。一生モンだし。

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