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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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ラビちゃんのメルヘンハウス



「そうだな、虫の方はちょっとずつ慣らしていきゃいい事だ。今はこの街をどうするかの方が大事だからな」



すかさずライオウが賛同してくれる。ありがたい、さすが空気の読める男だ。



「そ、そうですよね、私ったら。ゼロさんしかわからない事が沢山あるんでした。来てくれたら聞こうって思ってたのに」



ごめんなさい、と素直に謝ったラビちゃんは、さっそく川向こうの一軒家に足を向けた。とりあえず、ラビちゃんの家で腰を落ち着けて話そうって事らしい。


ぴょんぴょんと跳ねるような足取りで先陣切って歩くラビちゃんに、最初に俺たちのダンジョンに来た日みたいなビクつく様子はもはや微塵も感じられない。


今の生活が楽しいんだろう事がありありと見てとれて、なんだかこっちまで嬉しくなってしまう。



「へえ、ここがラビちゃんの家か」



木でできた三角屋根のメルヘンチックな可愛い家だ。外装や内装はもちろんだが、小物やキッチン用品までどれもこれもがひたすら可愛くて、これがダンジョンだって事を忘れてしまいそうだ。


ソファーには抱っこするのにちょうどいいくらいのウサギのぬいぐるみ。ふわふわ気持ちよさそうなクッションとラグが女の子らしさを強調している。


白くて繊細なつくりのテーブルには、ランチョンマットと小さな花瓶。その向こうは寝室だろうか、レースの天蓋つきベッドにもでっかくてふわふわのくまのぬいぐるみが置かれ、飾り棚には大小様々な人形がところ狭しと並んでいた。


尋常じゃない乙女チックさ。目が痛い。


柔らかい木目調の家ながらカーテンから何から無駄にフリルとリボンがついている、淡いピンクだらけのその部屋。ゼロのシンプルで飾りっけのない居間兼マスタールーム兼寝室に慣れきっている俺にとっては、なんだか長居しちゃいけないようなむず痒い気持ちになってしまう不思議な部屋だった。



「これ、アンタも一緒に住んでるのか?」



だとしたら勇者だ。

そう思ってライオウに聞いたが、さすがにそれはないらしい。



「外聞が悪いからな、俺はあっちの男連中がたむろしてる宿で寝泊まりしてる」


「えっ、ラビちゃんの守りが手薄にならねぇか?ここにはダンジョンモンスターじゃない、一般人だっているんだろ」



少々心配になってツッコんでみれば。



「大丈夫です! ホラ、みんな!」


「うわあっ?」



楽しそうなラビちゃんの呼び掛けで、一斉にぬいぐるみ達が動きだした。


おもちゃの兵隊達が飛びかかってくるわ、楽器を持った人形達が一斉に楽器を打ちならすわ、ウサギのぬいぐるみが体当たりしてくるわ……。


もちろん軽く、あくまでもデモンストレーションといった風情だが、ぶっちゃけ結構びっくりした。


特にベッドにどーんと座っていたでっかいくまのぬいぐるみがラビちゃんの声とともに飛び上がり、クルクルクルっと三回転しながら着地して、その場でカンフーのポーズをビシッと決めたのには驚愕を隠せなかった。


なんだこれ、可愛いのにカッコいいじゃないか!



「こんなおもちゃ系モンスターなんかあったか?」


「いや、多分これって……」



驚く俺に、ゼロが歯切れ悪く答える。



「レイス、だよね?」



レイスってあの、透明でふわふわ浮いてる……人を驚かすのが趣味みたいな、アレか?



「さすがゼロさん、ご名答です!」



ラビちゃん満面の笑み。どうやら本当にレイスらしい。



「カエンさんに、ゼロさんに慣れてもらうためにも虫系とかアンデッド系を少し召喚して欲しいっぽく頼まれたんです」



なるほど、だからラビちゃんあんなに必死にゼロに言い募ってたんだな。



「でも、怖いのとか見ためが凄いのとかは、私も怖いですし、住人の方もびっくりすると思って。これなら怖すぎなくて可愛いし、他の住人の前ではオモチャのフリできますし、私の身も守ってくれますし」


「確かにこれなら僕でもそこまで怖くないよ。慣れるのにはちょうどいいかも。いいアイディアだなぁ」


「アイディア元はルリさんですよ。ゼロさんのために、なんとか出来ないか考えてたって言ってました」



そうか、ルリもゼロのこと心配してたんだろうな。ゼロがギリギリ拒否反応示さないレベルで感を狙ってくるあたりがさすがだ。



「そっか、僕色々な人に心配かけてたんだね」



ゼロは少しだけシュンとしていたものの、すぐに気を取り直したように顔をあげる。



「あのさ、僕、早く慣れるためにも僕のダンジョンの方でもこの方式取り入れてみたいんだけど、構わないかな」


「はい、もちろん!」



ラビちゃんが気前良く首肯いて、それを見たゼロはキュッと引き締まった顔になる。こういう顔をしている時は、既にダンジョンの構想を練ってるからな、多分今ゼロの頭の中は色々な仮説やアイディアで一杯になっている事だろう。



「じゃあちょっと聞きたいんだけど、さっきそこのくまがカンフーっぽい構えしてたと思うんだけど、あれってレイス個々が生前持ってたスキル?それとも新しく獲得した?」



案の定、ゼロの口から質問が飛び出した。

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