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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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天空のリゾート、建設中!

あれから一週間。

今日はラビちゃんのダンジョンにお邪魔している。


なんせあれからレジェンド達との会合やら何やらでこっちも忙しかったから、ラビちゃんのダンジョンのアイディアラッシュはルリに任せて、俺とゼロはこっちのダンジョンの事に集中していたからだ。


しかしなんともまぁ、マスターが違うとこうも違うものか……ラビちゃんのダンジョンに入って実感するのは、雰囲気が呆れるくらいに俺達のダンジョンと違う事だ。



なんというか、抜群のほんわか感。



一面に広がるニンジン畑で、ラビちゃんと見知らぬちびっこ達が楽しそうに汗を流していた。



「一体これはどうなってんだ?」



ラビちゃんの代わりに出迎えてくれたライオウに尋ねれば、開口一番「平和だろ?」と返ってきた。



「ああ、びっくりするくらい平和だな。まさかもう孤児院まで出来たのか?」



確か前話し合った時には、孤児院はもう少しダンジョン……ていうか街が大きくなってから、って話だったと思うんだが。



「孤児院って程までの規模じゃねぇけどな。ちょっとずつ入植者を受け入れる時に、チビ達も一緒に引き取ってるのさ」



やっぱりも早くも子供達を受け入れ始めているらしい。



「カエン達とも話したんだが、まずは小さな村を作って人力の開拓でもおかしくないとこからスタートしようって事になってな」



隣国から変に勘ぐられないように、それなりに注意を払うとなるとその方がいいんだろう。今のダンジョンは一面のニンジン畑に三戸程の民家、村の中を川が通り水車がゆっくりとまわっている。


森との堺なんかボア系のモンスターに体当たりされたら吹っ飛びそうな木の杭だ。


やっぱり圧倒的ほのぼの感だな。




「確かにこれが最終的に要塞兼ねてたりする天空のリゾートになるとは思わねぇよな」



広大なニンジン畑に隣接する川の向こうでは、屈強な男達が数人、大工仕事の真っ最中だ。まさに出来はじめの街。



「だろう?あっちのデカい家は宿屋になっている。威勢のいい女将さんと元気のいい看板娘が切り盛りしてるんだが、メシもなかなかのもんだ。時間があったら寄っていけよ」


「そうだな……おーい!ゼロ、ちょっといいか?」



それまであっちこっちを興味津々で覗いていたゼロが、慌ててこっちに戻ってきた。



「あっちの建物が宿屋で食堂も兼ねてるらしい。食っていくか?」


「そうだね、帰る前でいいんじゃない?それよりさ、ここのピクシー、ハチミツ集めてるよ!」



ほら、と指差す先には可愛い小さな壺を小脇にかかえ忙しなく働くピクシー達。



「ああ、本来穏やかな種族だからな。ああやって蜜を集めては宿屋に分けてやっているようだ。ハチミツには困らねえな」


「天然ハチミツかぁ、美味しそうだね」


「うちでも作ってみるか?」



そうもちかけてみたら、ゼロも全力で首肯く。



「ダンジョンクリアした後のご褒美ルームに花畑があったよね、あそこならすぐにでもできそうだもんね」


「ああ、うちにも畑はあるし、結構なんとでもなるんじゃないか?」



そんな事を話していたら、畑の方がからぴょこぴょことした耳がこっちに向かって駆けてくる。



「ゼロさーん!ハクさーん!」


「こんにちはー!凄い畑だねー!」



負けじとゼロも声を張り上げてるけど、もうちょい待てば普通に話せると思うんだけど。まぁほのぼの感半端ないし、これはこれでいいのか。


「えへへ、凄いでしょう?こっちはニンジンばっかりですけど、あっちにはじゃがいもとか大根とか、キャベツとか色々作ってあるんですよ!」



そう楽しげに言うラビちゃんの腕には、なるほど様々な野菜達が収まっている。とれたてだから当然かも知れないが、とにかく瑞瑞しい。



「ラビちゃん、その人達だぁれ?」



小さな可愛い声に視線を向けたら、うちのチビ達よりもまだちっちゃい女の子が、ラビちゃんのスカートにまとわりついていた。5~6才だろうか、こんなに小さな子も孤児なんだなぁ。



「えっとねぇ、ゼロ君と、ハク君だよ。ルリちゃんちのおうちの人なの。仲良くしてあげてね」


「はーい!」



すげぇなラビちゃん、保母さんみたいだ。女の子は溢れんばかりの笑顔で、今摘んだばかりであろうシンプルな野花を俺達にプレゼントしてくれた。



「向いてるだろ?」



ライオウが笑いをこらえながらこっちを見ている。確かにラビちゃんはダンジョンマスターやってるより、こうやって子供達と平和に暮らしている方が向いてるに違いない。


ちなみに笑いをこらえているのは多分、集まってきたチビ達に、ゼロがまとわりつかれたり花輪を貰ったりしているからだろう。俺より貧弱そうで俺ほど威圧感がないから、こういう時にはいいターゲットだ。


可哀相に、嫌だとも言えずにされるがままになってはいるが、まあ害はないから放っとく。



「確かに向いてる。このまま保母さんになっちまいそうな勢いだな」


「そんな!マスターの方だって頑張りますよ!だって私のレベルがあがれば、もっとこの子達みたいな困ってる子をたくさん助けられるんですもん」



ありのままの感想を述べたら、プウッと頬っぺたを膨らませたラビちゃんにしっかり反論されてしまった。


一週間前に自殺を図ろうとしていた面影なんかもはや微塵もない。守るものが出来ると人間変わるんだな。

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