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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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23/320

ダンジョン、準備中です。

7日目の朝。

今日の目覚めはまぁまぁのスッキリ感だ。昨日の夜寝る前に、居住空間を大きく改装したから、快適度が違う。



女性陣は個室だ。

ユニットバスがついた部屋を、自分好みにカスタマイズさせて貰って、物凄く喜んでいた。


ルリの部屋は意外にも、シックな木目調の家具で揃えられている。

クローゼットもベッドもドレッサーも、優しい風合いの木やラタン素材だ。


さらに驚いたのは、部屋にデカい花壇がある事だな。なんか、色々植物を育てたいと言っていたが、やっぱりエルフなんだな、と今更ながら感心した。



対してマーリンは、とにかく何もかもが乙女チックだ。

まず配色は淡いピンク基調。レース天蓋付きのベッドに、クローゼットやドレッサーは白のキュートなデザイン。


ただ残念ながら、本棚に並んでいるのは、錬金関連や魔術書、解剖学から合成学、薬学といった、重厚で怪しい本ばかり。


ギャップが凄い。



ゼロは女性陣には相当甘い。

それに比べると男部屋はかなり適当だ。


バス・トイレはもちろん共用。

ブラウとユキとスラっちで一部屋。

俺とゼロは相変わらずマスタールーム。俺がダンジョンコアに属性を付けられるまでは、個室はムリだろうな…。部屋のカスタマイズも、やっていいとは言われたものの、特筆すべき仕上がりでもない。


ただベッドが広く使えるようになった上、マスタールームの中でも、皆がメシを食うダイニングテーブルとベッドを仕切って貰ったおかげで、安眠度が飛躍的に向上したのだ!


俺的にはこれが一番嬉しい!



感慨に耽っていると、ゼロが遠慮がちに声をかけてきた。


「ハク、そろそろ起きれば?ご飯冷めちゃうよ」


「あー…ごめん、起きてる」


すでに皆テーブルについて、食事中だ。今日の話題は、ダンジョンの一般公開をいつにするか、のようだ。かなり大事な話だが、軽いノリで話は進んで行く。


「もうダンジョンも出来てるし、明日とかでもいいんじゃないの?」


ルリは相変わらず豪快な意見だ。


「えっ!まだ宣伝どころか告知さえしてないよ。冒険者の人達も来ないんじゃない?」


もっともな事を言うゼロ。むちゃくちゃ言うヤツがマスターじゃなくて、本当に良かった。


「そんなの、カエンに適当なの見繕って貰えばいいのよ。最初にダンジョンに挑む人さえいれば、後は芋蔓式に次も見つかるでしょ」


「まぁ、丁度鍛えたいヤツらはいるからなぁ。別にいいぞ」


話はやっ!

ゼロは流石に考えこんでいる。


「じゃあ、今日と明日でカエンは挑戦者、僕達は宣伝をなんとかして、ダンジョンオープンは、あさって!」


ゼロなりに覚悟ができたらしい。

俺はオープンに関しては、物凄くこだわりが有るわけじゃねぇし、別にいいけど…でもなぁ。


「あのさ、プレオープンって、ありか?1日開放して、本当のオープンは3日後とか、一週間後とか」


「なんでそんな面倒くさい事するのよ」


「いや、この前王子達が来た時は、想定と違って難易度に問題あったしな。今度も調整がいるかも、と思って」


プレオープンって銘うっておけば、少々調整しても受け入れて貰えそうだ。


「それ、いいね!」


ルリよりは慎重派のゼロは、すぐさま賛成してくれた。結局、あさってプレオープン、間2日開けて本番のオープンを迎える事になり、少し安心する。


オープンの日程が決まると、カエンは一旦ギルドへ戻る、と立ち上がった。もちろんブラウに声をかけるのは忘れない。


「11時くらいに迎えに来っからなぁ、用意しとけよ?」


腹ぁ空かせとけ、と笑ってカエンは出て行った。ブラウも緊張は隠せないが、だんだん街に行くのが楽しみになって来たようだ。


カエンもこれまで、沢山の王子や王女達の面倒をみてきただろうから、多分ガキの扱いは俺達より上手いだろう。意外と子供好きな感じがする。


二人、仲良くなれるといいけどな…。


カエンが立ち去ると同時に、今日は皆それぞれの持ち場に散っていった。


スキル教室を開こうにも、エルフ達の家庭教師テストが終了してないもんで、まずゼロはそっちに集中させる事になったからだ。


テスト合格条件が、ゼロに教えてみて、ゼロが習得できたら…なんて事にしたばっかりに、ナイフや投擲などの体使う系は時間がかかってしょうがない。もういいんじゃないかとも思うが、ゼロはどうしてもって、譲らないんだよな…これが…。


昼メシ後、いつもの新着情報チェックからスタートする事になっている。


俺はその間暇なので、ギルドと街の掲示板に貼るためのポスター作りに専念することになった。



しかし、ポスターか…。

何を書くべきなんだろうか。


正直絵心はない。

まずはできそうなところから…と、書くべき事を洗い出して、整理する。



・体験型ダンジョンを始める事。

・冒険者はレベルによって体験できるダンジョンが違う事。

・冒険者じゃなくても体験できるダンジョンがある事。

・モニターで冒険の様子が観覧できる事。

・カフェがあってゆっくり観覧できる事。

・アライン王子推薦。

・プレオープン日とオープン日

・まずプレオープン日に見に来て欲しい事。


……大体こんなとこだろうか。

次いで、思い付いた疑問点も書き出しておく。


・王子様にプレオープン日に来てもらう?

・練兵場やスキル教室については記述する?


他には…


「よう!…おっ?なんだ、一人か?」


…びっっっくりした!

なんだ、カエンか…。アラーム含め、心臓に悪いから、突然登場するのは止めて欲しい。切実に。


「なんだよ突然…ってそうか。ブラウか」


「そーいう事。おーい、ブラウ!準備は出来てんだろうなぁ」


「………」


おずおずと、錬金部屋から顔を出すブラウ。はは、カチコチに緊張してるな。


「ヨロシクオネガイシマス」


マーリンに仕込まれたんだろう挨拶を、たどたどしく口にする。カエンは面白そうに笑って、「ああ、任せとけ!」と請け負った。


それにしてもブラウの格好…これはマーリンの見たてか?


仕立てのいいパンツとベスト、ハンチング。真っ白いシャツにはわずかにフリルがついている。褐色の肌には意外と似合っていて、センスは悪くないが…


まるで良家のお坊ちゃまだ。あのいたずら小僧っぷりからは想像できなくて、むしろ笑える。


「よっしゃ行くか!」


カエンはブラウの首根っこを掴むと、「あ、そういや今日、アラインが来るって言ってたぜぇ!」という言葉を残して嵐のように去って行った。


え…今…王子様が来るって言ったか…?

確かめようにも、もういないし!


頼むから、爆弾発言残して行くなよ!!




「えっ!?アライン様が来るの?えっ?何時に!?」


知らねぇし。


「あらぁ♪ユリウス様も来るかしら」


だから、知らねぇし。

…まぁ、護衛隊長だから、多分来るだろうけど。


カエンからの情報を皆に伝達すると、当然のごとく質問される訳だが…答えられる筈もない。憮然とした表情だろう俺に、さすがに聞き辛くなってきたのか、ゼロはモニターごしに指示を出し始める。


王子様が来るかも、と伝えると、受付フロアーは大騒ぎになった。


バタバタとテーブルセッティングしたり、掃除しなおたり。もてなす準備は急ピッチで進んでいく。シルキーちゃん達は、顔は可愛らしいが、働き者で腕も確かだ。


あとは任せて大丈夫だろう。


そうだ、王子様が来るなら、ひとつ気になる事がある。


「なぁゼロ、家庭教師テストは結局終わったのか?」


ゼロ、笑顔でガッツポーズ。


「良かったな。頑張った甲斐があったじゃねぇか」


ゼロはホントに嬉しそうだ。


これで懸念事項がひとつ減った。

後は王子様が来るまで、出来る事をやっておこう。


まずは、新着情報のチェックからだな。


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