表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
王子様の視察

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/320

スラっち、進化!

マーリンが落ち込んだ様子で錬金部屋に帰ろうとすると、ゼロが引き止めた。


「ちょっと爆発に巻き込まれた?ケガしてる」


ホントだ。カスリ傷だけどな。

ゼロは、うーん…と考えると、ルリにスラっちを連れてくるように告げた。


お前、まさか…


「スラっち、この子マーリン。こっちはブラウ。新しい仲間だよ。マーリンがケガしてるから、治してやって?」


やっぱりかぁ!

でも、7色にビカビカ光って、初の大仕事に大興奮のスラっちを、がっかりさせるのも偲びない。


俺達は祈った。

成功しますように!!!



スラっちは回復魔法を放った。

立派にやり遂げた。


そして、スラっちはなんだか目まぐるしく光り…


メタモルフォーゼ!!!


スライムメイジに、進化を遂げた…。



「しっ…進化っ…進化したぁ~!」

「スラっち、凄い~!!」


もちろん大騒ぎだ。


とはいえ、見た目は大きくは変わらない。ひと回りデカくなり、色が青から緑っぽくなっただけだ。


ただヤツは、レベルの上げ底と自らの努力によって、ただのスライムから、魔法が使えるスライムメイジに進化したのだ。


いや、マジで結構凄い。



マーリンとブラウは訳が分からずポカンとしている。


俺はスラっちに施されている壮大な実験が、今実を結んだ事を、簡単に説明してやった。


「…あんた達、バカな事してんな~…」


ブラウの一言。

…否定できない。



落ち着いた所で、スラっちのステータスを見てみる事になった。


どれどれ…


名前:スラっち

LV:1

種族:スライムメイジ

性別:不明

レア度:2


◆能力値

HP:485/485

MP:485/485

STR(筋力):485

VIT(耐久):485

INT(知力):485

MIN(精神):485

DEX(器用):485

AGI(敏捷):485

LUK(幸運):485


スキル:

・回復魔術

・不屈の闘志

・開眼

・スライム一斉攻撃


称号:

・臨界突破の実践者

・スライムの星


▽スキル詳細。

《回復魔術》。回復魔術を扱う事が出来る。


《不屈の闘志》。類い稀な精神力で即死攻撃を無効化する。


《開眼》。戦った相手のスキルを身につける事ができる。


《スライム一斉攻撃》。スライムを率いて敵に一斉攻撃をかける事ができる。敵にスライム数×発動者レベルのダメージを与える。



▽称号詳細。

《臨界突破の実践者》。自らの限界に挑み続け、臨界点を突破した者に贈られる幻の称号。奇蹟を誘発すると言われるが、定かではない。


《スライムの星》。スライムの信頼と尊敬を一身に集めた者にのみ許される称号。全てのスライムを統率できる。



ちょっと待て。

なんだ、このスペック…!


スライムにあるまじきだろう!


いや、今はスライムメイジか。

にしても…


そして、思いあたった。

そう、こいつは進化前…レベル32だった。


名前を貰ったダンジョンモンスターは、レベルアップ毎に各ステータスに+10の補正が貰える。


進化前の強さは保持したままレベルだけ1に戻ったんだな。


…なんて羨ましい!!


俺なんか元々レア度もまあまあ高いから、レベルアップに必要な経験値も高い。


レベル1に戻ったスラっちは、またサクサクとレベルが上がるだろう。


強さでスラっちに追い抜かれる日も近いかもな…。


もはやスラっちも充分に戦える。

しかも、スキル:開眼があるなら、実践に投入すべきだな。俺達は、スラっちを、新しいダンジョンのラスボスに任命した。


ついでと言っちゃなんだが、俺も高レベル向けダンジョンのラスボスをやらせて貰う事にした。やっぱり戦いたいし、さすがにスラっちには負けたくないしな!



ダンジョンのラスボスが決まったところで、経験値配分だ。昨日の残りと今日の分で、結構あるはずだ。


ゼロが配分してくれた結果、俺たちのレベルは…


ハク:レベル27

ルリ:レベル21

ユキ:レベル20

スラっち:レベル8

マーリン:レベル10

ブラウ: レベル8



…絶妙なバランスで配分してきた。気を使わせてしまったかも知れないと反省する。ラスボスとして、しっかり働いて返す事を誓う。


働くぜ!



俺がラスボスとしての決意を固めたその時だ。俺の隣にいたユキが、怪しく光り出した。ユキも唸り始め、苦しそうにしている。


「ユキ!」


ゼロが駆け寄る。

ひときわ明るい光が走ったかと思うと、そこにはユキの代わりに、ブラウよりも小さい子が立っていた。


「えへへ…変身出来た。これで…皆とお話できるね…」


えぇ~~っ!?

幻獣って、変身出来るのか!?


驚く俺達を満足そうに見て、そのままユキは気を失った。同時に姿も白いワンコに戻る。


俺達はしばし呆然としてしまった。


変身は気力なりを大量に消費するのかも知れない。しばらくはムリさせないようにしないとな…。



ユキをベッドに運び、寝かせた所で、いつものデカい声が響いた。


「よう!なんだぁ?まぁた何か増えてんじゃねぇかぁ?」


けたたましいブザーと警告アナウンスを引っさげて、カエン様の登場だ。


今日は王様や王子様との作戦会議が忙しいだろうから、来ないだろうとたかをくくっていたが…意外とマメな男だ。そうでないと、何百年も王家の守護龍なんか、務まらないのかも知れないが。


そして例のごとく、ブラウは怯えきって部屋の角にいる。


マーリンはビックリしているが、ブラウほど過剰には反応していない。やっぱり人間という種族は鈍いのかもな。



面倒なので紹介はゼロに任せ、案の定ブラウは気絶し…


なぜかマーリンは、目をキラキラさせて、「凄いですぅ~っ!火龍ですかぁ~、カッコいいですぅ~!」と感動している。鈍いって最強だな。


ブラウもベッドに運び、色々あり過ぎてすっかり遅くなってしまった晩メシを食いながら、お互いに王子様が帰ってからの事を共有する。


王子様と王様は、ユリウスと兵士長、騎士団長まで巻き込んで、どんな練兵場にするかを検討しているらしい。



俺達も、王子様が帰ってからの数時間で起こった、様々な出来事をカエンに共有する。


カエンがまず驚いたのは、ユニークチケットでゲットした、錬金釜だった。


「お前ら、とんでもないモン手に入れてるなぁ…」


呆れられた。

なんでもこの釜は、一般人は一生かかっても手に入れる事ができない、幻の逸品らしい。


普通は錬金釜と言っても、金属用、薬品用、生物用、植物用など、細かく用途が決まっていて、それ以外は入れられないし、反応しない。


でも、この釜は節操なく、何でも入れられる。なんなら、金属と薬品を合成する…という荒技までやってのける、超特級品らしい。


当たり前の話だが…失敗も多く、危険な合成、人道に反する合成が後を断たないため、今ではこの釜自体が作られておらず、幻と言われる釜なんだそうだ。


さすがに長生きしているだけあって、知識は豊富なんだな…。


しかし、その発行禁止釜、ゼロとマーリンに好きにさせとくのは、ヤバかったりしないだろうか…。


俺はついルリに目をやる。…ルリも渋い顔で首を横に振っている。


だよな。

俺とルリは、出来る限り錬金部屋を監視しようと頷きあった。


そしてもう一つ、カエンが食いついた話がある。


スラっちの進化と超ステータスだ。

もう、カエン大爆笑!


「お、お前達っ…最高…っ!何やってんだ…っ」


ひーひー言いつつ、腹を抱えて笑っている。うん、まぁ…そういう反応だろうとは、思ってたけどな。



しばらく笑っていたカエンは、涙を拭きながら立ち上がると、周りを見回す。


「そんで?そのカッチョいいスラっち君は、どこに居るんだぁ?」


あ、そういえば…。

探してみると、部屋の角で気絶していた。きっと、カエン登場に伴い気絶していたんだろう。


気付かずに可哀想な事をしてしまった。

ゴメンな、スラっち。


…と、後ろから手が伸び、スラっちを取り上げられた。


カエンは可哀想に、スラっちをボールの様に手の上で跳ねさせている。気絶中のスライムメイジに、酷い仕打ちだ。


さすがに気絶から覚めたスラっちに、カエンは一言。


「よう、スラっち。進化の褒美に、俺様が直々に火炎系魔法を教えてやるぜぇ!」


スラっちがビカビカ光る。

今夜の生徒はスラっちらしい。


その日俺は、久しぶりに気持ち良く安眠した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
[一言] スラっち最高!!!! 将来このダンジョンのラスボスになるのでは?! まさしくスライムの星(≧▽≦) 成長が楽しみです! あと、ユキが健気でかわいい(*´ω`*) 続き楽しませて頂きます(…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ