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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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他ギルドの挑戦者達⑤

「なんだよ、突然」


「いや、あいつが今やったの、複合魔法だろう。回復と状態異常を同時に行う、それなりに高位の魔法だからなぁ」


魔術師もレベル50を超えると出来る事の幅が広がるんだな。


確かにカエンの言う通り、バトルマスターのクシャミも収まっているし、泥にはまって眠っていたムキムキ格闘家も泥だらけで目を覚まし、動き始めている。あの魔法は複数の状態異常に効力がある、優れものだったらしい。


スライム達が優勢になったかと思いきや、これでまた戦況は分からなくなった。なかなかいい勝負だ。


猛然と腕を振るい始めた挑戦者達に負けじと、スライム達もそれぞれの特色を生かして反撃している。ムサイカツい男達と元気いっぱいのスライム達の、一進一退の攻防が続いていた。


その均衡を破ったのは、やっぱりスライム達だった。


「おっとぉ!!なんでしょうか!眩い光が辺りを包んでいます!」


キーツのアナウンスが今日も響き渡る。


確かに眩い光だが…不思議な感じだ。

閃光の様に煌めくでもなく、暖かいような神々しいような光が辺りを包んでいる。


虹のように色々な色を感じるのに、虹のようにはっきりとした色でもない。黄金のようにも白のようにも見える、不思議な光だ。


ムサイカツい挑戦者達も、思わずといった顔で光の元を茫然と見上げていた。


光の中心にいるのは、大きな6枚羽根をゆっくりとはためかせ空中に浮かんでいる、なんだか神々しいスライム。


あ…。


あれは…能天使の光翼とかいうサークレットと合成したスライムだよな。今まであんまり見なかったけど、どこに隠れてたんだろう。


そんな事を考えながら見上げていたら、6枚の羽根がゆっくりと体を覆い、スライム本体を覆い隠していく。


二拍ほどの間があっただろうか。


閉じていた羽根をバッと開いた瞬間、無数の光が弾丸のように降り注いだ。


「うおっ!!」


「ぐあぁっ!?」


見惚れていたらしいムサイカツい挑戦者達は漏れなく被弾している。そして能天使の光翼を身に背負ったスライムは、ここから更に思わぬ攻撃を見せた。


一際高く飛び上がったかと思うと、鷹のように急降下してくる。


光の弾丸をまともに受けて悶えている挑戦者達の真上を通り抜けざま、光の弾丸を一斉に打ち出した。


低空飛行で大量の光の弾丸を一斉射撃された挑戦者達は驚く程甚大な被害を受けている。


「すご…戦闘機の機銃掃射みたいだね…」


ゼロが目を丸くして呟いた。


言ってる意味はよく分からないが、確かに取り敢えず凄い。


「かっこいい~!ぼく、ブラウ呼んでくる!!」


ユキが猛ダッシュで錬金部屋に走って行った。確かにブラウとか好きそうだな、こういうの。


小さな体で樹々の間を飛び回り、挑戦者達の真上を通る度に的確に光の弾丸を一斉射撃していく。見た目神々しい割に、なんて戦闘向きなスライムなんだ…。


「すっげぇ!なにコレ!?マジカッコいいっ!!」


ブラウ、大興奮。

うん、ちびっ子とはいえ、男たるものこういうの好きで当然だよなぁ。


「くそがぁっ!こんなスライムがあってたまるかぁっ!」


「卑怯だぞ!降りてこいやコラァ!!」


傷だらけで怒りの声をあげるバトルマスターとムキムキ格闘家。ダミ声がジャングルに虚しく響く。


「ヨネ!あいつ何とかしてくれよォ!」


魔法戦士がひょろ長魔術師に泣きついた。


「…こんな時だけ…」


ぶつくさ呟きつつ両手を高く掲げ、何か呪文を唱えているひょろ長魔術師。


ほぼ戦闘機と化し、滑空してきた能天使の光翼スライム(仮)は、真っ向勝負とばかりにひょろ長魔術師に照準を合わせている。


またもや、光の弾丸が放たれた。


…と思いきや。


たかだか2~3発光の弾が出ただけで、あとは弾を発する事もなく、ただひょろ長魔術師の頭上を素通りしてしまった。


…なんだ?

一斉射撃するんじゃなかったのか?


不思議に思いながら見ていると、能天使の光翼スライム(仮)は何度もひょろ長魔術師の頭上を旋回しては離れていく。


ついには、ちょっと困ったようにふにっと体を捩ったかと思うと、慌ててジャングルの向こうに消えて行った。


ひょろ長魔術師…あの一斉射撃を無効化するような魔法でも使ったんだろうか。


「すげぇ!すげぇな、ヨネ!何だよ今の魔法!?」


魔法戦士は大興奮しているが、ひょろ長魔術師は何故かチッ!と舌打ちしている。


「…俺はバリアを張っただけだ。多分……単に弾切れしたんだろ」


た…弾切れ!

あるのか、そんなもん?…いや、あの光の弾は魔力だろうし、魔力切れって考えれば充分あり得るのか…。


「バリア分のデカい魔力が無駄になった。大損だ」


酷く不機嫌なひょろ長魔術師を尻目に、他の3人は安心したように息を吐く。ぶっちゃけなす術がなかったんだろう。


そして、巻きこまれたくなかったのか一旦身を潜めていたスライム達までもが、またワラワラと姿を現した。

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