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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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110/320

武闘大会も準備中。③

27日目の朝。


「ハク、おはよー!今日のゴハンはパンプキンスープと焼きたてクロワッサンだよ~!スクランブルエッグもつけちゃうから、早く起きて~!」


ユキの朝メシ中継…だんだん情報が詳しくなってきたな…。


「んー…。すぐ行く…」


一応答えるものの、目があかない。夕べ、頑張り過ぎたか…。


布団の中で眠気と格闘する事10分。

なんとか起きて、食卓についた。


「お、起きたか。あと5分遅かったら、ブラウの出番だったのになぁ」


「明日はオレが起こしてやるぜっ!」


「遠慮する。ユキ、明日も頼むな!」


そんなに何度も飛び乗られてたまるか…!

カエンとブラウの攻撃をかわし、ユキの頭をなでなで。…癒されるなぁ。


マスタールームは焼きたてクロワッサンのいい香りで満たされていて、覚醒してきたら途端に腹が空いてきた。食卓について早速クロワッサンを頬張っていたら、ゼロが満面の笑顔で駆け寄ってきた。


「おはよう、ハク!」


「おはよ、なんか機嫌がいいな」


「うん!いい事思いついた!あのさ、今日のスターセイバーの特訓なんだけど、ちょっとやり方を変えてみようと思うんだ」


へぇ…。これだけ笑顔って事は、かなり自信がある方法なんだろう。正直かなりヤバいと思ってたから、なんだって試してみたい。俺の覚えがあまりにも悪いから、色々考えてくれたんだろうな…。


申し訳ないやら、ありがたいやら…。


「前にさ、下級魔法を覚えてからだと、その上位の魔法は習得しやすいって言ったよね」


そう言えば、そんな事言ってたな。


「スターセイバーにも、下位の魔法があるんだよ。スターレイピアっていうんだけど…僕もそっちから先に覚えたんだよね」


なるほど!やってみる価値はある!

…気がする。


「サンキュー、ゼロ!確かにそっちの方がいい気がする。とりあえず、やってみたい」


そう答えたら、ゼロはめっちゃ嬉しそうに笑った。かなり手間かけさせたから、なんとか習得して、早く役に立ちたいんだけどな…。


よし!

さっさと食って、さっさと練習するか!!




メシを食ったら早速スターレイピアの練習に入る。


ゼロが呪文の言葉と共に、一言一言が示す意味から説明してくれた。


不思議だ…。


スターセイバーの時はちんぷんかんぷんだったのに、この呪文はちゃんと耳に入ってくる…。


一言が短いからなのか、昨日まで難しい呪文と戦ってきたから簡単に感じるのか…。理由は不明だが、呪文が理解できる。


それでも最初はつっかえつっかえで、上手く魔法が発動しなかったが、1時間程でキラキラと魔法が形になり始め…。


俺はなんと、2時間しないうちに、スターレイピアをマスターしてしまった!


こんなに短い時間で魔法をマスター出来るなんて、俺の人生で初めてだ。

すげぇな、ゼロ!!


「やったね!ハク!!おめでとう!」


いやもう、全てゼロのおかげだ!

スターセイバーも覚えられる気がしてきた!




上機嫌で昼メシを済ませ、上機嫌で本日の挑戦者を見守り、お客様が帰ったのを見計らってすぐにスターセイバーの特訓に入る。


ゼロが、スターレイピアの呪文を元に、呪文が増えた部分とその意味をひとつひとつ丁寧に教えてくれた。


なるほど、昨日までとは違って、理解は出来る。不思議なもんだな。


何度か魔道書を見ながら文字を目で追い、ボソボソと口にしてみる。うん、いい感じだ。いける気がする…!



その時、受付が急に騒がしくなった。

突然の怒鳴り声。


「失礼する!」


この声はカルアさんだな。

相変わらず道場破りみたいに威勢がいい。

そういえば来るって言ってたか。


おお!

久しぶりに見ても美人!

黒髪にハリのある褐色の肌。健康的なダイナマイトボディは健在だ。


目の保養になるな~。



「ハク、行こう!」


おっと、見てる場合じゃないな。


ゼロに急き立てられるように、カフェに向かう。心なしかゼロは顔色が悪いようだ。



「えっと…お久しぶりです」


ちょっぴりモジモジしつつ、挨拶するゼロ。カルアさんは微笑ましい、という表情で見ている。


今日はカルアさん一人なんだな。


「久しぶりね、ゼロくん。今日は相談があって来たの。悪いけど、ちょっと時間ちょうだいね」


相変わらずゼロには優しいカルアさんだ。


応接室に通すと、シルキーちゃんがコーヒーと本日のおすすめケーキ、ティラミスを持って来てくれた。


騎士団長なんて男勝りの仕事をしていても、やっぱり女性。甘いものは好きなんだな。幸せそうな顔で食べている。


「カルアさん、あの…」


「なぁに?」


言い辛そうなゼロに、満面の笑みで答えるカルアさん。


「すみません!…申し訳ないんですけど、1ヶ月で熟練冒険者に勝てるような特訓って、どうしても思いつかないんです!!」


ええ!?

いきなり、一言の前置きもなく、本題に入った!?


カルアさんも驚いた表情で一瞬固まってしまった。次いで、深いため息が漏れる。

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