キャラクターの個性と設定の必要性
物語には、必ずと言っていいほど「登場人物」「キャラクター」が存在します。もちろん、語り手以外にキャラクターらしいキャラクターが無い話もあるでしょうが、それは少し特殊なものだと考えていいでしょう。
ことラノベであれば、特に登場人物の個性が重視される傾向にあります。漫画やアニメといったメディアミックスまで視野に入れているものが多く、その時にキャラが立っていなければ他のアニメと差別化できなくなります。
個性の出し方は人によってそれぞれだと思います。例えば服装や見た目が個性的だったり、しゃべり方が個性的だったり、能力が個性的だったり、出自が個性的だったり……どのようにキャラクターの個性を引き出すかによって、作者の個性も出てくるでしょう。もちろん、「個性がない」という個性も存在します。
上記の通り、個性の種類はいろいろあるのですが、具体的にはどういう点で個性を持たせればよいでしょうか。思いつく限りを列挙してみます。
・見た目の個性
→服装、外見、髪型、髪や目・肌の色、体型
文章だと表現しにくいものですが、読者の頭に浮かべるキャラクター像を示す重要な項目です。
・話し方の個性
→方言、丁寧語やため口、語尾、特徴的な言い回し、枕詞、自身や他の人の呼び方、一人一人に対する対応の仕方
文章で差別化する方法としては一番やりやすいのではないかと思います。
・生い立ちや経歴の個性
→両親の生死、幼少期の過ごし方、出身学校、現在の職業、出身国、経済状況
過去のエピソードなどは、そのキャラクターを掘り下げるのに便利です。また、お金持ちのキャラクターは、話を進める上で意外と便利なキャラクターとなります。
・性格の個性
→ネガティブorポジティブ、悲観的or楽観的、コミュニケーション能力、努力家or天才肌、執着型or広く浅く型、まじめor不真面目、理系or文系、文科系or体育会系、器用or不器用、独裁的or民主主義的
性格は二分されることが多く、どちらかに偏っている場合が多くなるでしょう。バランス型もありますが、極端な方が個性が出易いでしょう。また、複数組み合わせるのもありです。
・能力の個性
→身体能力、学力、特殊技能、能力ものにおける能力、得意技、趣味
ファンタジーや能力ものであれば、使える技や魔法などで個性を出すことができます。ただ、それに頼り切りにならないように注意しましょう。
・弱い部分の個性
→弱点、欠点、トラウマ
パーフェクトな人間なんてそうそういません。自身の弱い部分を克服したり、指摘されたりすることで成長していくものです。また、そこが魅力にもなりえます。
まだまだ個性の種類にはたくさんあるでしょうが、上記の組み合わせだけでも無数の個性が存在することが分かると思います。
ただこれらを組み合わせるだけでも、オリジナルと言ってもいいキャラクターが出来上がります。既にキャラクターの個性については出しつくされているように感じると思われますが、まだまだ個性的なキャラクターというものは創り出せるものです。
しかし、人間はどうしても経験した物に引っ張られがちになります。つまり、キャラクターを作ろうとしても、知っているキャラクターに似てしまうことが往々にしてあります。
そういう場合は、個性を足したり引いたりしてみてはどうでしょう。少し変えるだけでも、個性的なキャラクターに生まれ変わるのではないかと思います。
私もキャラクターを作るのが苦手で、別の小説を書いていてもどうしても似たようなキャラクターになってしまいます。特徴的なキャラクターを作れる人が本当にうらやましいです。
そういう人は、「キャラクターの設定に頼らない話」を作るのも一つの手です。つまり、詳しい描写があまり重要でない、ストーリー重視の短編などが挙げられます。また、書き分けをそれほど行わなくてもいいように、登場人物の人数を絞るという方法もあります。
なかなか書き分けが難しいキャラクター。しかし、小説の質を左右する要素の一つでもありますから、しっかりと設定していきたいものです。