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「タイトル詐称」「ジャンル詐称」って何? やるとどうなる?

 タイトルやジャンルを決めるとき、皆さんはどのように決めているでしょうか?

 ネット小説では長文タイトルが流行っていて、タイトルを読めばどういう話か分かるのでそれで読むかどうかを決めるという人が多いと思います。

 しかし、中にはタイトルをあえて「内容は関係ないけど読まれそうなもの」にしている人もいるようです。

 また、異世界が流行っているからジャンルを異世界にする、という人もいるみたいです。

 このような「タイトルと内容の関連性が薄い」ものや、登録したジャンルの要素が薄い小説は「タイトル詐称」「ジャンル詐称」と呼ばれるようです(「タイトル詐欺」「ジャンル詐欺」と言うことが多いみたいですが、「詐欺」より「詐称」の方が意味合いとしては適格だと思います)。


 さて、この「タイトル詐称」や「ジャンル詐称」、意図的にやるとどういう影響があるのでしょうか。きちんと効果はあるのでしょうか。実体験を交えて話をしていきたいと思います。


【「タイトル詐称」「ジャンル詐称」の目的】

 タイトル詐称やジャンル詐称をする目的としては、「多くの人に注目してもらう」ことが挙げられます。そうでなければ、わざわざ中身と違うようなタイトルにしたり、他のジャンルが適当なのに別ジャンルにするメリットがありません。

 とにかく話題になっているようなものをタイトルに取り入れたり、そのサイトで読まれているジャンルに入れれば読まれる、というのがロジックとしてあるようです。


【効果的な例もある】

 タイトル詐称を行うことで、よりインパクトのある作品に仕上がる例もあります。タイトルやあらすじというのは、読者に「こういう話ですよ」とあらかじめ伝えることに、読者に「こういう感じの話なのだ」という準備をさせる(「マインドセット」を作る)ことができます。きちんと準備ができていれば、物語に入りやすくなりますし、ある程度先の展開が見えていればワクワク感も得られます。

 さて、これらの準備(マインドセット)をさせたうえで、読者の想定外の展開で話を進めた場合、どのように感じるでしょう。うまくいけば「わぁ、こうこうこういう話だと思っていたのに、こう来たか」と「驚き」を与えることができます。「いい意味で裏切る」ことで、評価を上げることができます。

 ジャンル詐称も同様、途中までそのジャンルと関係ない、あるいは関連性のうすい話で進めていたとしても、最終的にそのジャンルにふさわしい終わり方であれば、読者を納得させられるかもしれません。


【「タイトル詐称」「ジャンル詐称」の最大の欠点】

 うまくいく例や、効果的な例もありますが、タイトル詐称やジャンル詐称には最大の欠点があります。

 それは、「正当に評価してくれる人が読んでくれる可能性を低くする」ことです。

 たとえばがっつり異世界ファンタジーの小説のジャンルを「恋愛」にしたとします。「恋愛」ジャンルから来る読者は、もちろん男女の恋の駆け引きだとか、人間関係だとか、そういったものを期待します。しかし、中身ががっつりファンタジーだと、恋愛小説としての評価はされません。いくら面白くても「あ、これ恋愛小説としては面白くないな」と思ってしまいます。逆に、異世界ファンタジーを読みたい人はわざわざ恋愛ジャンルから探そうとはしないでしょう。

 タイトル詐称も同様で、ある程度タイトルやあらすじでマインドセットが出来た状態で読んで内容が伴っていないと、「この小説はタイトルに反して面白くない」と判断されかねません。ネット小説だと、数話読んでタイトルやあらすじから予想される話からはなれていると、恐らく読むのを辞めてしまうでしょう。

 もちろん内容が面白い、先を読みたくなるような話であれば問題ないでしょうが、そもそもそれくらい腕があるならタイトル詐称やジャンル詐称をする必要がありません。

 わざわざタイトル詐称やジャンル詐称をする人は普通のタイトル、ジャンル設定では読まれない人ですから、ますます読まれなくなる、最悪名前を覚えられて「この人の話は面白くない」というレッテルを貼られる可能性があります。


【「タイトル詐称」「ジャンル詐称」に関する体験談】

 タイトル詐称については、ちょっと腹が立ったことが2件ほどあったため、「読者視点で考えるとどうなのか」ということに関連づけて話したいと思います。


1.ある書籍を買った時の話

 書店でタイトル買いでもしようと小説のコーナーを探し、「これにしよう」と思って1冊の本を買いました。

 タイトルからしてデスゲーム系の話で、内容も大体タイトルから想像できるようなものでした。とはいってもそこまで面白いものでもなく、「まあ、こんなものか」と思いました。

 これだけなら良かったのですが、この本、後半6~7割がそのタイトルと全く関係がない歴史小説のような話になっていました。何とか全部読み切りましたが、読んだ後本をぶん投げました。

 正直出版社が自費出版強いところなのでいやな予感はしましたが、それが的中する形になりました。

 自費出版なのでこういうのもあると思いますが、商業作品で自分が読みたいものと全然違う話が収録されていたらどう思うでしょう? おまけで数十ページならともかく、半分以上占めてたら「金返せ」と叫びたくなると思います。

 こういうのがあるので自費出版の作品はなかなか売れないんじゃないかとも思います。


2.あるネット小説を読んだ時の話

 時々、タグでいろんなネット小説を募集して読ませてもらっています。書籍化いけるレベルからこれは私には合わないなぁ、というものまでさまざまでした。一応感想つけたり評価シート作ったりして自分なりの感想は持っているのですが、それぞれ読む人によって評価は変わってきますし、何が良いか悪いかの評価なんて読者次第ではあります。それぞれの作品に良いところも悪いところもあると思います。

 ところが、とある作品を読んだ時に、「これは面白いか面白くないか以前の問題を抱えている」と思った作品がありました。タイトルとあらすじからすると異世界ものなのですが、なかなか異世界に行かず、延々と日常生活が続きます。目次を見ると、それがずっと続いたため、読むのを辞めました。

 この作品を読もうと思う人は、「異世界で活躍する主人公たち」を読みたいはずなのに、延々と学園生活の話が続くのです。読者はどう思うでしょうか。また、このような作品が書籍化された場合、購入した人はどう思うでしょうか。私だったら上記の通り、途中まで本をぶん投げます。

 これは極端な例でしたが、今まで読んだ中でも「なかなか核心に行かない話」というのはいくつかありました。ネット小説では、なかなか「読みたい話」までたどり着かないものは早々にブラウザバックの対象となります。


【最終的には作者の判断】

 タイトルやあらすじは「こうしなければならない」という決まりはないですし、ジャンルについても(各プラットフォームである程度定義がされてるものの)決めるのは作者です。

 中にはジャンル分けがおおざっぱになっており、自分が書いたものがどのジャンルに該当するのか判断に困ることがあります。ですから、多少ずれていたとしても仕方ない部分はあると思います。

 ですが、意図的に内容とズレが大きいタイトルにしたり、明らかに異なるジャンルに入れるメリットは大きくないと思います。そのようなことをするよりは、


・タイトルやあらすじに沿った内容の話を書く

・ジャンルを適切に設定する


 方が、結果的に読まれるのではないかと思います。


 以上のように、タイトル詐称、ジャンル詐称には大きなデメリットがあり、それを行って効果があるようにするには技術が必要になります。変な小細工はせず、まっとうに勝負した方が良いでしょう。

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