「おもしろい小説」とは何なのか、一言で説明できますか?
小説を書いている人は、日々「おもしろい小説」を目指して書いていると思います。誰も自分の話がつまらないと思って書こうとは思わないのではないでしょうか。
ところで、「おもしろい小説」とは一体何なのでしょうか。これが分からないと、おもしろい小説を書こうとしても書けないと思います。
小説を読んで、漫画を読んで、ドラマやアニメを見て、「これおもしろいなぁ」と思うことはあっても、「何故おもしろいのか」ということを説明するのは難しいと思います。
ということで、「おもしろい」とは何なのかを考えてみたいと思います。
【「おもしろい」の正体】
私が考える「おもしろい」の正体は、【感情が揺さぶられる】ことだと思います。
「感情が揺さぶられる」というのは、例えば恐怖を覚えたり、感動したり、そういったことです。
ジャンルによって「おもしろい」という尺度は変わってきます。例えばホラー映画を見た時に、「笑えたかどうか」を「おもしろかったかどうか」とする判断基準にする人はあんまりいないと思います。普通は「怖かったかどうか」を基準にするのではないでしょうか。もちろん、ただ怖ければおもしろい、という話でもないかもしれませんが。
このように、人は感情が揺さぶられたときに「おもしろい」とか、「すごい」とか思います。もちろん上記の例のように、単一の判断基準だけではないと思いますので、ホラーだからただ怖がらせればいいかというと少し違うかもしれません。それでも、「心を揺さぶる」というのは非常に大切だと思います。
【「心を揺さぶる」の例】
どんな時に心を揺さぶられるか。それは、人の感情を考えればすぐに例示できると思います。
恐怖、感動、感心、笑い、怒り、憎しみ、共感、安心……
こういった言葉が思い浮かびます。
コメディやギャグであれば思いっきり笑えた時に「おもしろい」と思いますし、恋愛であれば感動した話であれば「おもしろい」と感じるのではないでしょうか。
【心を揺さぶられない話はおもしろくない】
上記にもあるように、ただ心を揺さぶればおもしろい話になるとも限りません。そこまで持って行くための経過の話や文章構成などもきちんとしないと、おもしろい話にはならないと思います。
また、心が動く幅というのは個人差がありますから、ある人にとってはめちゃくちゃ刺さる話でも、別の人にとってはまったく心が動かないという場合もあります。
しかしながら、逆にきちんとした文章が書けていたとしても、心が動かされるようなところがない話はつまらないと思います。どんなに日常的な話を描いたとしても、どこかで心が動かされる場所があるはずです。その振れ幅が大きいほど、おもしろさも大きくなるのではないでしょうか。
【心が動く場面と振れ幅を意識する】
何をもって「おもしろい話か」というのはなかなか難しい話だと思いますし、それが分かっているなら悩む必要はないと思います。
とはいえ、上記のような考え方をするのであれば、「心が動く場面」というのを意識してみると良いのではないでしょうか。
ホラーであれば思いっきり怖がらせる場面を作る。
恋愛であればものすごく感動する場面を作る。
コメディであれば笑える場面を意識する。
異世界ものであれば、主人公の活躍場面を作ったりして共感できる部分、感心できる部分を作る。
推理や謎解きであれば、納得感がある解決方法を提示する。
ファンタジーであれば敵キャラを思いっきり悪くして嫌悪感を抱かせる。
こういった、「心動く場面」を意識すると、おもしろさが上がるのではないかと思います。
しかしながら、「常に心動かす」状態だと、読む人も疲れてしまいますし、慣れてしまっておもしろさが失われてしまいます。
例えばホラーで常に怖い状態だと、思いっきり怖がらせたい場面なのにあんまり怖くない、みたいなことが起こってしまいます。なので日常風景を取り入れたり、安心できるような何でもない場面を描いたりして、「ギャップ」を作ると良いと思います。めちゃくちゃ悪そうな人が実はめちゃくちゃ優しかったりすると心動かされる「ギャップ萌え」なんて言葉もありますよね。
このように、「振れ幅」についても意識すると良いのではないでしょうか。いわゆる、「起承転結」や「序破急」を考慮するのも、このような「振れ幅」を作るのに役立つと思います。
【自分の小説の「おもしろさ」を説明できるようにする】
あなたの小説はどういうところがおもしろいでしょうか。それを説明するためには、「どこを読むと一番心を動かされるか」を考えると良いのではないかと思います。
おもしろい話を作る際には設定があって、山場があって、結末があって……といろいろと考えることが多いと思います。その中で最も心が動かされている場面を考えてみましょう。それが説明できたら、それがあなたの小説の「おもしろいところ」「見せ場」になるのではないかと思います。
また、自身の小説のおもしさを説明できれば、自分の武器が分かるようになります。私であれば「意外なオチ」=「驚き」となるでしょうか。そんなサプライズを小説で感じてもらえれば、と思いながら書いています。
このように、「どの感情を揺さぶるのが得意か」が分かることによって、それを武器におもしろい話を書くことができるようになるのではないかと思います。
もちろんこれは「おもしろい」の定義の一説に過ぎませんが、是非とも参考にして、あなただけの「おもしろい話」を作ってみてください。




