「説明過多」の「説明不足」
必要な説明というものは場面で変わってくるもので、「どこでどのように説明を入れるか」というのは、文章を書く上での悩みどころと言えるでしょう。
特にネット小説では、あらすじや最初のページを読んでもらえないと、続きを読んでもらえないのでこの配分はさらに重要となります。
さて、「書き出し祭り」というイベントがあったので全部の作品を読ませていただきましたが、その中で気になったのが「説明過多の説明不足」という状態です。
一見すると矛盾している言葉のように思えますが、案外こういう状況に陥っている人は多いのではないでしょうか。
「説明過多」は「説明が多すぎ」であり、「説明不足」は「説明が足りない」という意味ですが、ちょっと意味合いが違います。
ここで言う「説明過多」は、「この状況でする説明ではないものが多い状態」を示し、「説明不足」は「今必要な説明が不足している」という状態を示します。つまり、「不必要な情報が多く、必要な情報が足りていない状態」ということになります。
特に設定が複雑になりがちなファンタジーやSFでは、世界観を表すために様々な説明が必要になってきます。しかし、最初からずっと世界観や用語を説明していたのでは、読者は飽きてしまうでしょう。
よって、「今必要な説明を把握し、後回しにしても良いものは後の話に説明する」という意識を持つ必要があります。
また、説明自体や説明くさい文章は、長々と書くと飽きてしまいますので、「描写」をするように心がけましょう。
例えば、わざわざ説明をしなくても、その時代や文明を示す小物を置いたり、情景を描いたり、といった感じです。
説明が足りなければ言いたいことが伝わらず、説明が多いと読み手が飽きてしまう、このバランスをとるのは難しいと思います。
また、情報が足りているかどうかは、かなり個人差が大きくなります。例えばSFを読むのに慣れている人であれば、多少情報量や説明が多くても読み進められるかもしれませんし、そうでなければ説明が多くて飽きる、と感じるかもしれません。
なかなか「これがベスト!」というものが見つからないと思いますが、読み手のことを考えて、情報量をコントロールしてみましょう。




