存在の意味 。〜その先にある未来〜
あてもなく、波打ち際をただ歩く。
寄せては返す私の心。
何故か虚しさ胸にささり、海辺を彷徨う。
波の音が耳にこだまし、遥か遠くの鳥に目をやる。
ただ歩く波打ち際。白浜を踏む音が身体に響く。
行くあてもない。帰る場所もない。
思い立ち、海へ来たが、意味を成さない。
何があったのか。思い出すのも苦々しく、ただ歩く。
虚しさとは言うけれど、どれ程の物か分からずきたが、今の心を虚しさと呼ぶのだろう。
明日自分がどうなろうとも、今自分がどうしようとも。
あの場所には帰らない。
たった十六の自分では、何も変える事などできないが、地獄へ落ちた方がまし。
生きる事よりつらいものが、自分に降りかかるのなら、いっそ本物の地獄へ行こうか。
つらく、悲しい気持ちなど、持てる感情は捨てたけれど、この心から抜け出すことができるなら、何も厭わない。
人として生まれたはずなのに、人として扱われないのなら、海深く沈むのも怖くない。
虚しさと共に蒼く深く、荒いこの中に沈むのも悪くない。
十六年の扉を閉めた時、柔らかな気持ちになるだろうか。
波に身をまかせ、のまれてみようか。
苛立ちも、不自由さもない海の中へ。
生きる意味。それさえ分からずの十六歳。
勇気を持って、立ち向かえない十六歳。
守られない。守られたいけれど。味方はいない。
それでも生きろと言われたら。それでも生きるのだろうか。
人並みに生きろと。
自分の存在に、良い意味などないのに。
波の音、砂舞い上がり一人佇む。