神様の世界
次回の内容がわかりやすくなるようにのつなぎです。
神様はいつも美しく、清らかで、
周りには天使様がたくさんいるの。
私達は神様のお決まりになさったことを必ず守るわ。
そうすれば人は、幸せになれるのでしょう。
少女の祈りが教会の静けさに木霊する。
その祈りを聞いた神様は、上々から階下を見下ろしていた。
「僕はただ、愛と美を食べるだけなのにね」
神様はとてもつまらなさそうに世界を見下ろした。
その台詞にあきあきした天使達は、それでも神様のそばを離れなかった。
天使にとって、神様のそばにいられるということは何よりも名誉なことだった。
「あれではまずそうで、とても食べられそうにないな」
天使達はくすくす笑っている。
生きた人間など汚すぎて神様は食べられない。
引き裂けば引き裂くほど美しくなる愛。
戦の中で強く輝かせる精神。
眠りの中で見る人が創造した空想。
自らを犠牲にして大衆に一時的な幸せを与えた人間の魂。
「さて、君達。あの少女に、美しい歌声をあげよう。誰よりも美しい歌声だ。祈りにくるのに、いつもあの声では、まるで僕が汚らわしいみたいだろう」
「はい、主様」天使が3人ほど下界に降り、祈りの少女に美しい声を渡した。
「こういうことをなさるから、人間はさらに我々を誤解されるのです」
まだ神様のそばに仕えて間もない天使が言う。周りに一瞬の緊張が走り、その一瞬とともに爆発音が響いた。
「つまらん」
神様はそう言って、天使を塵よりも小さな個体にして地上に捨てた。
「僕はただ、美しいものが欲しいだけだよ」
神様は別の場所へと移動した。
ついていく天使達と、その場に留まる天使達。
発言した天使がいた場所を、留まった天使達は凝視した。
「いつか言うのではないかと、危惧しておりました」
留まった天使達のうちの一人が口にする。
「わたくしは、彼女とともに下に降ります」
留まった天使達は口々にいった。「私も」
そうして塵よりも小さくなった天使を追って、下界へと天使達は羽ばたいた。
小さくなった天使を見つけ、皆が少しずつ力を与えた。
下界から力を吸収しては与え、吸収しては与え。
その力とは、大地から自然治癒と、悪魔や人間の魂だった。
そうして小さくなった天使は成長していった。
少しずつ、少しずつ。
「ほぅ、ここに随分と美しい子がいるな」
神様は天使が減ったことに気付きながら、気にする様子もなく新たな発見を楽しむ。
ついていった天使達も、気にすることなく神様のそばを離れない。
一人、また一人と天使が近づいてくる。
神様は天使とともに新たな愛を見学していた。
「彼女を天使にしようか。悪いね。君達ライバルがまた増えてしまいそうだよ」
天使はいつも笑顔で答える。
「主様のためなら」
彼女達には信仰心しかない。いや、ないはずだった。




