8 平城院梨沙の思惑side平城院梨沙
8 平城院梨沙の思惑side平城院梨沙
家礼様のお菓子作りの会は思ったより有意義なものであった。
平城院梨沙の眼から見て、家礼様は器用に細やかにお菓子作りを成さっており、可愛かった。
平城院は家礼様の仕草や線の細い体付きを見て、やはり女の子だと確信を深めた。
最近、聞いた情報によると、御学友の皆様に身長について悩んでいるとの指摘があった。
――馬鹿な事を。
今日、家礼様は自らの部屋へおいでだ。
「平城院、良い事を思いついた」
家礼様は突然、何かを閃いた様子であった。
嫌な予感がした。
聞きたくない。
平城院の脳内は警報を鳴らした。
家礼様は近頃、調子に乗りすぎている。
「何をなさるのですか?」
平城は恐る恐る聞いた。
「有能な護衛が欲しい」
言うと思った。
最悪。
護衛が欲しいというのは分かる。
だが、有能と言うフレーズに読み取れるのはイケメンの彼氏が欲しいという事だ。
馬鹿な事を、と平城院は思ったが、逆に飛び切りのイケメンを用意しよう。
家礼様を改心させる為の人材を用意すればいいのだ。
「すぐにでも用意させます。
家礼様のお眠りあそばす間に最強の人材を用意いたします」
平城院はため息をついた後、一礼してその場から離れて、石舟院工作員から見繕うことにした。
石舟院源様にまずはご報告しなければと足早に動き出した。