6 DNA鑑定side石舟院源
6 DNA鑑定side石舟院源
源は至理の進言もあり、遂に家礼のDNA鑑定を行うことが全会一致で決定した。
ここまで踏み切ったのは相当に勇気を伴うものであったが、日に日に疑いが強まるのも事実。
石舟院家の周囲も家礼の所作、振る舞いが女子のようだとの指摘が発生した。
頭がおかしい程に甥があり得ないぐらい可愛すぎる。
何か秘密がある筈。
それに十五歳になるのに身長が低い。
石舟院家の家系はそこまで大きくなる事は無いと思うが、家礼は百五十センチ台だと、日本一の探偵の至理は説明してくれた。
あまりにも低い。
低すぎる。
まるで女性の様だ。
さらに聞くところによるとぬいぐるみを山程、黒服に命じて買いあさっているという。
しかも最近、お菓子作りにはまりだした。
「馬鹿な!? 石舟院家の若君がぬいぐるみとお菓子作りだと!?
女のような、小娘のような趣味だ。謀ったな!」
源は自宅の書斎で怒声を挙げた。
いかん。
甥が女性である筈がないが、もし女性であったら家礼は終わりだ。
恐ろしい事になる。
だが、家礼の疑いを晴らす為にも、鑑定しなければならない。
そうと決まれば早かった。
石舟院本家の屋敷に足を運んだ。
少々勇み足かもしれないが。
深夜の十二時。
家礼はぬいぐるみに囲われながらスヤスヤと気持ちよさそうに仰向けで眠っていた。
源は屋敷の使用人を全員、買収して家礼の部屋に辿り着いた。
だから大手を振るって屋敷の中を我が物顔で歩ける。
全ては家礼の為。
使用人たちも家礼の疑いを晴らす為にも一致団結して事に及んでいたのだ。
「家礼。お前の無実を晴らす為だ。頼む、甥であってくれ」
源は優しく家礼の頭を撫でた後、家礼の華奢な細腕から血液を採取した。
これを鑑定に出して結果を待つだけであった。