4 日本一の探偵side宝蔵院至理
4 日本一の探偵side宝蔵院至理
日本一の探偵、宝蔵院至理は京都石舟院家の分家の屋敷にて石舟院源と顔を合わせた。
190の体躯の細身の至理と、背が低い石舟院源は異色な顔合わせだった。
「初めまして、至理です。
最初に私の推理では石舟院家礼は女です」
至理は既に源と会う前に家礼を洗い出した。
監視カメラを家礼の私室に仕掛け、尾行、音声データ、交友関係から推理。
日本一の探偵を自称する至理ならば、いとも容易かった。
「家礼が女だと!? 確かに甥の、いや姪の挙動、振舞いを見れば明らかだ。
ならば、家礼は主上を謀った罪で死刑だ」
目の前の、自分を小男だと思っている石舟院源は狼狽えている。
当然だ。
石舟院家礼、彼女の実の叔父なのだから。
「まだ石舟院家礼には疑いのある可能性があるだけです。
確たる証拠を突きつけなければ最上級国民という特権関係にいる彼女を追い詰めることは出来ない。それは日本一の探偵である私と叔父という権力の座にいる貴方にしか出来ない。
よろしくお願いします」
辛辣な声音でそう言い、石舟院源に手を差し出した。
「勿論だ。宜しく頼む」
二人はがっしりと固い握手を交わした。